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シロクロゲーム  作者: 竹取翁
26/44

2日目ー③ 直感と組み立てと

登場人物紹介でも明記していない通り、黒崎白馬くんは、この物語の「主人公」というわけではありません。目まぐるしく視点が変わる本作ですので、明確な主人公は設けなくてもいいかな、と思っています。なので、あくまで主要人物だとして考えてもらえれば結構です。

「お…おお…おおーーー!蒼山ぁーー!!」


象牙が歓声を上げて蒼山に抱き着こうとするも、蒼山は鬱陶しそうにそれをかわした。それでもなお、象牙の顔はキラキラと輝いている。


「あ、ありがとう!俺たちのこと助けてくれたんだよな!?お前って嫌味でやな奴だと思ってたけど、実はいい奴だったんだなぁ、ホント―――」


「何を勘違いしてんだ、俺は別にお前らのことを助けたわけじゃない。」


「へ…?」


「もし救えない状況なら、迷わずにお前らのことは見捨てたね。ただ、この勿忘バカは隙だらけだった。だったらここでこっちの人数が減らされるのも都合が悪いから、手っ取り早く殺しただけだ。まさか、お前ら自分たちの命にそこまでの価値があると思ってんのか?」


ぽかんと口を開けて立ち尽くしている象牙の頭を、蒼山はバカにするようにボンボンと叩いた。リは明らかに不愉快そうな顔をして、蒼山と勿忘の死体を交互に見た。


「何て傲慢なやつ、日本人の典型だな。」


「あのなぁ、トゥミョン…自分の情けなさを隠すために、大衆だの国を非難したって、お前が愚図なのは変わんねぇんだぜ?そろそろ気づけよ、自分の無能さに。」


「くっ、国を一括りで語ったな!?お前らはそうやって、俺たちやアジア諸外国を差別してきたんだ…!!」


「いや、一括りにしてねぇし。お前の母国が全員お前レベルなら、とっくに国家滅亡してるわ、アホが。お前は自分の国での競争に勝てないから、ぬるま湯の日本へ逃げてきただけだろ。それで、ここでも大敗北してるわけだ。悔しかったらちょっとは役に立ってみろ。」


蒼山はそう吐き捨てると、そのままどこかへ行ってしまった。象牙はようやくそこに勿忘の死体があることに気が付いたのか、「うわっ!」と跳ね上がり、死体から離れる。


「なんて奴…なんて奴だ!!象牙、お前はあんなやつになるんじゃないぞ!!?」


そう言ったリに向けられた象牙の視線は、非常に冷たいものだった。


「なんだその目は…?お前も、俺の国をバカにするのか!?」


「うるさいなぁ…俺はお前の国のこととかよく知らないけど、音楽とかアイドルとか、そういうの人気だしスゲーって思うよ。他の奴のことも、いやだと思ったことない。けど…俺、単純にお前のことが嫌いだ。」


「なっ…!?」


「自己中だしよぉ…何か、いっつもバカにしてくるし、それにさっき散々俺のことひどく言ってきたのに、自分だけ逃げるし…安全地帯にもひとりで行けよ。俺は知らないかんな。」


呆然としているリを残して、象牙は走って行ってしまった。




※※※




AM.8:23


 サイレンの音は島中に響き渡っている。思っていたよりも、ずっと早い犠牲者だった。


「勿忘くん…昨日の集まりにも参加してなかったし、もしかしたら追い詰められてたのかも―――」


「いや、アイツはそういうんじゃないだろ。今は他人のことは気にしてる場合じゃない。だが…同じ陣営が1人かけたのは痛いな。」


最上が黄島の心配をよそにそう呟いた。黄島は「もう、そんな言い方」と最上をとがめるが、彼本人はさして気にしていない。


「それから、やっぱり鬼銅と出くわした時のことは考えておかなくちゃな。牽制の意味としても、もっと強力な武器が欲しい。…それこそ、拳銃とかな。」


「どこで手に入れたんだろうな?俺たちも結構探してるつもりだけど、ナイフとか包丁ばっかりで、銃なんて見つかりっこなかったけど―――」


「きっと、強力な武器ほど隠されてるんだと思う。俺たちは昨日安全地帯にいる時間がほとんどだったからな。島の中心とか、それこそ人が立ち寄らないような、珍しい場所にあるんじゃないのかな?」


「珍しい場所って?」


「そうだな、例えば…」


白馬はそう言いながら周囲を見回す。視線の先には、まだ踏み入れたこともない、整備のされていない獣道が見えた。


「この…森の中とか?」


「ホント?やっぱり、危ないところほどいい武器があるんじゃない?」


「そうかもしれないけど、中心に入るってことは、それだけ危険な目に遭うってことだ。2日目でみんなも殺気立ってる。昨日よりももっと激しい戦いになるかもしれないんだ。入る前に、試せることはしておきたいな。」


最上がそう言っているときも、白馬は獣道の方をじっと見つめていた。第6感、直感、としか言えない感覚だ。だけど、この道の向こうに何かある気がした。


「…よし、それじゃあ入ってみましょ。それから、2手に分かれて武器を探す。時間も決めときましょ。好奇、時計持ってるわよね?」


「ああ、そんないいもんでもないけどな。何で?」


「もう一人くらい、持ってる人がいればと思って…」


「あ、私…持ってるよ。腕時計。役に立つか分からないけど…」


水原がおずおずと腕に着けていた時計を外す。すると紅葉が、「あ、いいの。そのままつけておいて。」と声をかける。


「じゃ、好奇の時計、私に貸してくれる?私と白馬は森の右側、好奇たち4人は左側。30分経ったら、一度この道へ戻ってくること。そうしたら効率がいいでしょ?」


「何で2と4なんだ?3人ずつの方がいいだろ。」


「だって、最上は水原さんと離れたくないでしょ。それに、好奇だって―――」


あーーあーーわかったわかった!そんじゃそうしようぜ!何かあったらすぐに助けを呼ぶ!それでいいよな?」


好奇が紅葉の言葉を遮るように声を出す。最上と水原は顔を見合わせ、黄島もちょっと首をかしげながらも、その提案を了承した。


「…なあ紅葉、何で好奇についてきてもらわなかったんだ?最上の言う通り、3人と3人でいいじゃないか。黄島が心配なら、好奇を向こうにやって―――」


「あー…アンタ知らないもんね?ふふ、良いんだってこれで。大丈夫、大したことにはならないわよ。さっさと行きましょ。」


なぜか紅葉は楽しそうに笑って歩き出す。好奇の黄島への好意に対する配慮なのだが、白馬はそれを知る由もない。


「それよりさ…白馬は、これからどうするべきだと思う?やっぱり、このまま中心街へ行くべきかな?」


「俺に聞くなよ…紅葉の方が、いろんな事考えるの得意だろ?俺はてんでダメだから―――」


「いーや、私は白馬の意見を聞きたいの。」


「な、何でだよ…?」


紅葉はちょっとだけ躊躇したとに、「勘違いしないでね?」と念押しをして話し始める。


「白馬の病気のこと、私はそんなにマイナスに考えたことないの。そりゃ、たまにボーッとすることはあるけど、声かければ気づいてくれるし…」


「たまにじゃなくて頻繁にだけどな。」


「もう、茶化さないでよ。真剣に話してるんだから。」


「ハハ、悪い。大丈夫、お前にどういういい方されても、俺は嫌な気持ちにはならないよ。」


「…まあ、ある意味「病気のおかげ」っていう言い方もできるのかもしれないけど…白馬って、私たちが気づいてないこととか、気にもかけてないことにものすごく集中してる時があるの。この島に来てから、何もしてない時…ただ座ってるだけの時とか、白馬ずっと何か考えてたでしょ?」


「え―――?」


ドキリとした。紅葉の言うことは、完全ではない死にしても的を射ている。そして、昨日の夕方から今日まで、考えているのはずっととある1つのことだった。


「だから、何か私たちが見落としてることがあって、それを踏まえたうえで意見してもらえるんじゃないかって思って。別に、だからってアンタの意見に全部乗っかるわけじゃないから。責任をなすりつけるつもりでもないし。けど…聞いときたいの。」


「紅葉…」


紅葉は自分の大きな、家族を含めても最大の理解者と言ってもいいかもしれない。白馬は常々、そういうふうに思うことがあった。好奇は親友だ。なんでも気兼ねなく話せるし、一緒にいてとても楽しい。紅葉はどちらかというと姉のようで、口うるさいけれどどこか居心地がいい。そして、もっと言えば―――


「…うーん、そうだな。これからどうすればいいのか、とかは分かんないけど…さっき最上が言ってた、「今日は昨日より戦いが激しくなるかも」っていうの。アレは俺は違う意見かな。」


「へ?どうして?」


「紅葉的にはどう思う?」


「えっと、そりゃあ…やっぱり、昨日より今日の方がみんな活発的に動くと思う。昨日は急にゲームをしろだとか、そういうこと言われて…どうすればいいのか分かんなかったけど、今日は違うもの。何かしようっていう目的があるし、それは他のみんなもそうなんだと思ってた。」


「うん、俺もそれは一緒。けど…だからこそ、なんじゃないかなぁ。」


「どういう意味?」


「昨日、枝野に呼ばれたみんなで集まって、色んなことを話し合ったじゃん?結局枝野の話したことはうやむやになっちゃったけど、たぶん、枝野はあきらめてない。それでいて、自分の言ったことを通すために、しなくちゃいけないことをしようとしてる。」


「それって―――」


「ああ、渋染と鬼銅のこと、攻撃するんだと思う。」


紅葉も、その点についてはなんとなく勘づいていたようだ。


「でも、たぶんそれだけだ。他のみんなは、昨日の「何をすればいいか分からない」状態から、「何をしなくちゃいけないか」を見つけた状態なんだよ。今日は、それをするために準備する期間。きっと明日になって、もっと色んな奴が動く。」


「どうして、そんなことわかるの?」


そう言われると困る、と言わんばかりに白馬は頭を掻いた。


「そこは…まあ、やっぱ「なんとなく」としか言えないんだよなぁ。みんなの顔とかみて、そういうとこ思ったんだよ。紅姫は何も考えてないような、茶化したみたいな態度取ってたけど、かなり汗かいてたし、視線も泳いでた。蒼山も挑戦的なこと言ってたけど、見た感じすっげーイライラしてるように見えた。あれって、「自分が倒せるターゲット」がいないからなんだよ。それに、松田も口ではああ言いながら、身体がちょっと震えてた。」


紅葉は感心していた。白馬にあって自分たちにあるのは、状況を読み取る力というよりは、自分以外の他人などに対する「観察力」だ。「時間把握障害」は、その人物が気になったことに注視して、そのことばかりにのめり込む性質がある。そのことから、たった数秒でその場にいた多くの人物を観察し、読み取ることに長けているのだ。


「それじゃ、今日みんなは―――」


「何も起きないとは思わない。現についさっきも、勿忘が殺されたんだからな。だけど、昨日と比べて一気に犠牲者が増えるとか、そんなことにはならない…と、思う。たぶん、みんな俺たちと同じようなこと考えてるんじゃないかな…?」


「同じことって…渋染と鬼銅と倒すってこと?」


「そっちじゃなくて、「戦える武器が欲しい」…とかかな。あとは、「戦う場所を整える」、とか――――」


そう言っている間に、2人は獣道を抜けた。そこには川が流れており、水の流れる音が一瞬だけ2人を現実から引き離すように感じた。自然のせせらぎのようなものに癒されるなんて、初めての経験だった。


「(…ここで、紅葉には話すべきなんだろうか。)」


渋染赤音のことを。彼女に対して、自分が思っていることを。抱いている感情を、気づいていることを。そうしたら、紅葉はいつものように自分のことを受け入れてくれるだろうか。それとも、もしかしたら――――


「白馬。」


その時、痛いくらいに紅葉に腕を掴まれて、白馬は我に返る。隣で硬直している紅葉の顔は引きつっている。見開かれた目の中の瞳に、誰かが写っていた。


「こんにちは。」


その声だけで、身体中に悪寒が走って、戦慄した。川を挟んだ向こう岸にいたのは、渋染赤音だった。




※※※




AM.8:40


 松田が戻ってきたとき、既に仲間たちは目を覚ましており、輪になって松田の帰りを待っていた。


「心配したよ…遅かったから、途中で何かあったのかと思って―――」


「ごめん。枝野さんのいた場所が思った以上に遠くて。」


十分間に合うと思って出発したのだが、周囲を警戒しながら歩いていくというのは、想像していたよりも時間のかかることだった。ゲーム開始前に枝野に会いに行くことは、新田と奥田に伝えていっていた。


「とにもかくにも、これでようやく始められますね。作戦会議!」


天王寺が仕切りなおすようにそう意気込むと、新田が頷く。松田が輪に加わって腰を落ち着けると、全員が彼の言葉を待っているように、視線を送ってきた。


「まず、戦うのに十分な場所を確保したい。僕たちが相手にするのは、あくまでも渋染でなく、鬼銅だ。」


「昨日の夜、話し合った後に少しだけ触れたけど…改めて、確認をさせて。どうして渋染さんじゃなく、鬼銅くんを相手にするの?」


「うん。結論から先に言うと、渋染に関しては僕らが戦わずとも、自分で自滅する可能性があるっていうことが一番大きい。」


「おいおい、何にも理解できねぇぜ…」


「順に説明していくね。昨日の殺人、渋染の犯した殺人はすべて、場当たり的で衝動的なものが目立ってると思った。チームの区別なく殺人を行っているのがその最たる例だ。そのことから考えても、きっと彼女は相手を選ばない。つまり、彼女以外のすべての生徒が、渋染の敵だ。」


「僕たちが相手をしなくても、出会った人物から渋染くんは襲い掛かっていく…あわよくば、同じチーム同士でも削り合いが発生するかもしれないし、見かねた「クロ」陣営の誰かが彼女を殺すかもしれない…そう言いたいんだね?」


松田が頷くと、奥田は複雑な表情で顔を伏せた。松田は続ける。


「一方で、鬼銅だ。彼がブラウンくんを殺したのは、殺人を行う中での事故だったように思う。彼が騒ぎ立てることで、自分が殺人者だと周囲にバレることを恐れたんだと思う。結局、枝野さんの呼びかけでほとんどの生徒が集まって、その場で暴かれてしまったけどね。」


「口封じでの殺し、ってことですね…」


「そうだね。だからこそ、鬼銅は「クロ」のチームからすれば、渋染よりは「得体のしれない」という印象が薄い、ポイントゲッターのように思われてる可能性がある。渋染とは違って、ルールの上で明確に勝ちを狙ってきている。」


「最初からゲームの規則に従うつもりなんだったら、どうして鬼銅くんはブラウンくんのことを口封じしようとしたの…?」


「自分が人を殺しているか分からない方が、相手を油断させることが出来るからさ。危害を加えないように見せて近づけば、殺せる確率はぐっと上がる。」


「だとすれば、本来なら初日にもっと殺人数を稼ぐつもりだったのかもしれないな。」


「僕もそう思う。そういう点で、ブラウンくんが混乱して叫んでしまったことが、結局「クロ」チーム全体の足を引っ張ることになったんだろうね。」


「そ、それでよ…何で鬼銅なんだよ?俺的には、ケンカの強いイメージのあるおっかない鬼銅よりも、女の渋染の方が勝ちやすいとか、そう思うんだけど―――」


「そこを一応確認しておきたいんだけど、鬼銅瞬は実際のところどんな生徒だったの?ケンカが強かったとか、何かスポーツをやってたとか…僕は転入して日が浅いから、そういう情報が疎いんだ。」


「うーんと、そうですね…体力テストは、すっごく成績が良かったと思いますよ。うちのクラスだけでなら、縹くんの次の良かったんだと思います。学力テストも9位ですから、不良っていうよりも秀才のイメージが、私にはありましたけど―――」


「高校に入ってから問題を起こした、なんて話は聞いてないな。アイツは部活動にも入っていなかったようだし。」


「そこんとこは、緑黄園が一番知ってるんじゃねーのか?同中おなちゅうだったんだろ?」


「…そりゃ、鬼銅くんは暴力団関係者の息子だって話はずっと流れてたし、いちゃもんをつけてくる先輩とかもいたよ。一度だけ、私たちが1年の時の3年生を殴って、問題になったことはあったけど―――」


「聞いただけだと、ただの不良の1エピソードのようにしか聞こえないな。鬼銅くんは、確かに生活態度にも問題は少なかったから意外だが。どういう状況だったんだ?」


「えっと、相手は7人で、それで―――」


「な、7人!?」


いつものように、異常なほど怯えた声を出したのが煉瓦。一方の松田は、その情報にますます危機感と闘志を強めるだけだった。


「つまり、そういうことさ。戦いにくい相手だからこそ、だよ。場当たり的なことだけ想定して彼に立ち向かっても、無傷で勝つことは難しい。まして向こうは拳銃を持っているんだ。きちんと計画を組み立てて、こっちに有利な場所で戦うことが望ましい。」


「それなら、萌葱と縹に任せとけよぉ。お、俺たちじゃ役不足だってぇ―――」


「…いいや、出来れば萌葱かれには頼りたくない。」


「何か理由があるのかい?」


松田は答えなかった。クラスメイトから絶大な支持を受けている萌葱を否定することは、ここでは得策とは言えない。松田自身も、彼に完全な疑惑を向けているわけでも、決定的な証拠を掴んでいるわけでもない。だけど、ひとたび彼を加えてしまえば、すべて彼の思うがままに動きを操られ、乗っ取られてしまうような気がした。


「…それに、理由はもう1つあるよ。鬼銅はたぶん、僕のことを殺そうと狙ってくる。」


「ひ、ひぃ!?マジかよ、それじゃあ、俺たちも…!?」


「いや、みんなはそこまで敵視されてないと思う。けど、僕と枝野さんは別だ。きっと殺しに来る。」


「そ、それじゃあお前と一緒にいると、まとめて殺される可能性が上がるってことか…?」


「そうはならない。それに、俺たちは仲間を見捨てて逃げたりはしない。」


新田が念を押すようにそういうと、煉瓦は慌てたように「わ、わかってるよ…」とつぶやく。士気の下がらないうちに、松田は畳みかけるように言葉を連ねた。


「だから、今この場所を…この建物を、鬼銅を迎え撃つ場所にしたい。安全地帯は今日限りでなくなる。僕たちの籠城先がここだと分かれば、鬼銅はきっと攻めてくる。」


「渋染くんのことを完全に無視しているが、3日目以降も彼女が不穏な動きをしていた場合、その作戦が崩れる可能性はないか?」


「彼女のことを過信しすぎだよ。アイツは、そこまで警戒すべき人間じゃない。」


そうかもしれない。だが逆に、鬼銅のことを意識しすぎることで渋染を過小評価している可能性もあるのではないか。奥田は、漠然とそんな不安を抱えていた。

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