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3 衝撃

この会は残酷な描写やグロい表現があります。苦手な人はご遠慮ください。

俺は今の事態を湖の横に突っ立って呆然と眺めている。

そこら中に散らばる肉片。血だまり。トリケラトプスの数々の死体。骨や内臓が露出している。

紅く染まった視界から解放されて、目の前の阿鼻叫喚の地獄絵図を眺めている俺であった。


思い返せばなぜ茂みを飛び出たのだろう。トリケラトプスたちに向かって俺は何をした・・・っ。

噛みつく。

食い破る。

踏みつぶす。

トリケラトプスたちが痛みに吠える。

お構いなしに肉に喰らいつく俺の身体。

次から次へとトリケラトプスが横たわっていく。子供さえも、喰ってしまった。

空腹が満たされ、体の自由が元に戻る。


そして、今に至る。

<<「竜ノ本能」ヲ停止シマス>>

また男の声が聞こえた。

「な、なんだよ竜の本能って!」

始めて喋った。今まではずっと心の中で思っていたから。

が、今そんなことはどうでもいい。

俺の質問に答えてくれる者はいなかった。

俺は涙をあふれさせながら、トリケラトプスの死体に近づく。

口からは血を吐いていた。

今思えば俺は「肉食恐竜」である。肉を食わなければいけないのだ。

それに、今の世は恐らく「弱肉強食」である。強いものは生き延び、弱いものは死ぬ―――

たとえそうであろうとも、可愛くトリケラトプスを眺めていた俺にとってはショックが大きかった。

空腹によって目覚めた俺の本能は、生きるためにこうしたのだろう。

仕方ないのだ。仕方ない・・・っ!

折角の肉は「いただき・・・ます」と言って全て食べさせてもらった。

言っていることとやっていることが違う!と思った画面前のキミ。

君は奪った命をそのまま無残に放置できるのか?

食べもせずにただ殺戮を楽しむだけ?

そんな礼儀もないことはしてはいけないのだ。

奪ってしまった命がもったいなくならないために喰った。

ちゃんと「ごちそうさまでした」も言った。

骨になったトリケラトプスを見て、

「スマン・・・」

と謝っておいた。

もう群れはいない。逃げたのだろう。それでいい。

俺も一つのトラウマに心を抉られながらこの場を離れようとした。

その時―――


ザアッバアアアァアァッァァ―――


湖から大きな何かが飛び出してきた。

俺は反射的に後ろを向く。

でかいワニが俺に口を開けて迫っていた。

ぎょっとなったが、いそいで逃げようとした。

しかし、がっちりと咥えられてしまった。首元に。

「ッ!!」

猛烈な痛みが襲い来る。

湖に引きずり込もうとしているらしいこのワニは恐らく巨大ワニサルコスクスだ。図鑑で見たことある。

って、呑気なことを考える時じゃねえだろ俺!死にそうなんだぞ!

必死に地面に足をつけようとしながら、あることを考えた。

罪もないトリケラトプスを殺した罰なのではないか、と。

俺は肉食恐竜。しょうがない事なので考えすぎだとは思うが、トラウマとなって残っているのでそう考えずにはいられなかったのだ。

サルコスクスは何を思ったか、いったん俺から口を離した。首の鱗は裂け、血まみれである。

「・・・逃がしてくれたのか?」

そう問うと、湖に戻っていった。

本当に逃がしてくれた・・・のか?

と、その時さっきよりも勢いよく飛び出してきて、今度は身体にかぶりつかれてしまった。

か、考えが甘かった・・・。

油断していた俺はなすすべもなく水中に引きづりこまれていくのであった。

主人公ヘレラサウルスはどうなってしまうのか!?

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