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短編集 ~お題で500文字小説~ 改訂版

お題:夏の花⑦

作者: 三原 やん

じっとりと纏わり付くような、この季節特有の熱い空気を吸うと、柄にもなくボンヤリしてしまう・・。

――らしくないだろ?


はい、そこ笑わない。

・・・俺にも“忘れられない思い出”があるんだ。





あれは、まだメジャーデビューする前の事だった。


仲間達と必死でチケットを売りながら、狭いライブハウスで必死に歌っていた。

あの頃は、とにかくCDを売ることしか考えてなかった。

固定ファンの付いてる他のバンドと競い合い、どっちのファンの方が多いとか熱狂的だとか。

とにかく、マイナーなバンドなんて星の数ほどあるからな。

つまらない事で優劣を付け合って、頭ひとつも抜け出せない現状から目を逸らしていた。


そんな時、・・多分、他のバンドを目当てに来たんだろうな。1人の女性がいたんだ。


その時の衝撃は、一瞬、歌うのを忘れてしまう程だった。


一目惚れ。

そんな言葉があるのは知っていた。

ただ、それを俺が経験するとは思ってもみなかった。


でも、そこでは幾つも参加してるバンドの1つでしかなかったし、下手な行動をしたら出入り禁止。

それだけじゃない。経験不足な俺は、声を掛ける事もできなかった。


あれから、時間があればその女性の事を考えている自分に気付いた。

いや、全ての時間が彼女に染まっていた、が正解だ。


彼女の為にうたを書き、ライブハウスのどこかに彼女がいるのでは・・と思いながら歌った。

結局、彼女とはそれ以来逢えなかったのだけれど・・・・・・。




なんで今日、そんな話をしたのかって?


・・・・・わかるだろ。


その彼女が、俺達のライブを見に来てくれたんだ。


覚えてるかな。


一目惚れの君へ捧げる歌。

俺達のメジャーデビューソング、聞いてくれ。





――“夏の花”。










title:夏の花 ~ M C ~

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