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プロローグ 異世界ってそんないいもんじゃない
春、それは出会いと別れの季節、新しいステージで期待に胸躍る季節。
そして、‘‘自殺’’が最も多い季節である。
僕の名前は、ルドリ。
転生庁異世界部人材課自殺班で働くしがない公務員である。
転生庁とは、現世で死んでしまった人の中で転生を望む人が行き着く場所だ。
その中で、現世に戻りたい人は現世部。
異世界に行きたい人は異世界部に送られる。
僕は、異世界部に送られてきた人材の中で自殺で死んだ人、
そんな人たちが異世界でやっていけるかどうかを見極め、手続きするのが仕事である。
正直、この仕事は辛い。
なにせ、人生に絶望して自殺を選んだ方たちだ。
その中で異世界を選ぶということは所謂オタクが多い、圧倒的に多い。
‘‘自殺したオタク’’これは酷い。
そして、この方たちは自分が異世界に行けると信じて疑わない。
正直、異世界に行ける人たちなんて限られている。
貴方たちが、現世で地位やお金、顔で比較されたように、
こちらは、運と現世の行いが全てですから。