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stage_05:speed option(その2)

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stage_05

speed option(その2)



 十月になると九月半ばまで続いていた夏の暑さはもうすっかりなくなり、朝早くの空気は心地よい涼しさというよりも肌寒い感じの方が強くなっていた。

 うだるような暑さに悩まされていたのがほんの一、二週間前のことだということもすっかり忘れてしまう。

 冬服の制服は親に言われてノリコも用意したが、私服はまだであった。

 もうちょっと暖かい服の方がよかったと、腕をさすりながらノリコは思った。

「そう言えばダイキはミチルさんのとこ行くのは初めてだっけ。日頃はあんなだけど、本来は馬魚区を中心に手広くやっている梅屋敷グループのお嬢様だからな。くれぐれも粗相のないよう頼むよオイ?」

 ダイキは気にしてない風であった。しつこく念を押すことはないだろうが、気をつけておいた方がいいかなとアツシは思った。

 アツシの車は環状道路から脇道に入り、カーナビの指示に沿ってリイサの住むアパートに向かった。JR魚森駅から結構離れた静かな住宅街。

「おはようございますアツシさん、マドカさん。ノリコちゃんおはよう。ダイキくんもおはよう……これで五人だけどミチルちゃんのとこ着いたらどうするの?」

「ダイキがとりあえず荷台で。早起きするんならウイカの手伝いに行ってやりゃいいのに」言いながらアツシは車を発進させた。

 ノリコは小柄だしリイサも背は普通よりやや低めだ。しかしその間に座っているダイキは窮屈そう、というより恥ずかしそうにしていた。

 そういう年頃なのかしらね。そうリイサは思った。

「何はともあれ迎えに来てもらって助かります。一人で浅草行くなら馬米からサクッと行けるんですけど、ミチルちゃんのところへ行くには一旦馬潟に行ってからでないといけないんで面倒で」

「地図見て思ったんだけど、ここから魚森女子行くのってめんどくさくないですか先生?」ノリコが言う。

「バス二本で行けるわよ。まあどちらかというと、学校より鰻ヶ原へのアクセスを重視して住むとこ選んだからね。魚森女子に就任してすぐくらいの頃は、毎日通っていたわよ」

 毎日。アツシやマドカが感心したような声をあげる。

「学校終わったら鰻ヶ原行って、しばらく練習して閉店ギリギリまで店長さんとだべったりね。最悪歩いて帰れる距離だし……でもすぐに、一日おきになって週二週一、平日には行けなくなって、一年しないうちに月に一度来るか来ないか、みたいになっちゃってね」

 環状道路に一度戻ったアツシの車は少し走ると交差する通りを曲がった。曲がってすぐ、大手スーパーの向かいにある雑居ビルをリイサは指差した。

「もう新しい建物になっちゃったけど……あそこの三階にあったのよ、シューティングレンジ鰻ヶ原。店長さんも店じまいを機に引退しちゃってね……走り続けるって大変なんだなって、思ったわ」

 短い沈黙。「……あ」窓に張り付いて後ろの方を見ながらノリコが言った。

「今の車。みちぇじゃなかった?」

「うん。イノさんとミチエちゃんだったね。さすがノリコちゃん、集中してるね」アツシが答えた。

「横にも誰かいた。お母さんかな?」


「パパ今の車、ノリコたちだよね」

 後部座席から振り返ってミチエが言う。

 アツシの車とはすれ違いもうかなり遠くなったが、窓からノリコが自分たちの方を見ているようにミチエには見えた。

 ミチエはリアウィンドウに貼り付くようにしながらうれしそうに手を振った。その様子を、ヨウコは助手席から眺めていた。

 もう高校生なのに、まるで子供みたい。ミチエがシューティングを始めてから、見ることのなかった顔。

「ミチエ変わったわね。大きな大会の時は、いつもピリピリしていたのに」

 ヨウコが言うと、喜んでいる顔を見られたのが恥ずかしかったのかミチエは下を向いてしまった。

「うん。雑色先生には感謝しないとな」シューティングレンジ鰻ヶ原のあった敷地を横目に見ながらイノが言った。


 一年前。アンリミットスチール会場。

「いやあマッハ酒井アカデミーは結果出しましたねえ。天空橋くんが堂々ジュニア一位、ミチエちゃんもレディース二位。無料練習会から一歩進んで、高い金払っただけの効果はあるって証明されちゃったよね」

 後ろでニシジマがイノに話しかけている。それをぼんやりと聞きながら、ミチエは配られた成績表に視線を落とした。

 総合タイム61.85。ジュニア五位。総合四十三位。練習ではもっといいタイムで回れた。なのになぜ。いや、言われなくてもわかってる。

「天空橋くんの伸びがすごいだけで、ミチエちゃんも練習の成果は上がっているよ。ドロウは目に見えてよくなっている。後はやっぱり……ね、一旦ペースが乱れるとメタメタになってしまうところ、そこさえなんとかなれば、天空橋くんに迫るタイムになるはずなんだよなぁ」

 はい。言葉は口に出る。それはわかってる。でも何をどうなんとかすればいいか、それがわからない。

 パパにもニシジマさんにも、酒井さんにもきっとわからない。成績表を穴が開くほど眺めても,答えはない。

 あれぞうしきさんおひさしぶり、きょうはうたなかったんですか?まだちょっとれんしゅうできるよゆうができなくってね、きょうしっておもったいじょうにたいへんですよ。きょうはけんがく……というか、ちょっとおはなしがあって。おおもりさんもすみにおけないなぁ、ぞうしきさんみちえちゃんもいるのにそんなはなししていいの?どんなはなしですかっ。

「それに用があるのは……正直なところ大森さん、と言うより……ミチエちゃんの方なの。いきなりで申し訳ないのだけれど,大事な話があって……ミチエちゃん,高校どこ行くかもう決めてる?」

 見覚えのある顔、小学生くらいのころにマッチでよく顔を合わせた。レディース部門でよく上位に上がっていた、雑色リイサさん。

……目の焦点は合ったが、ミチエの意識はまだぼんやりしている。

「えっ……一応……青山の高校に、行こうと思っています。あそこなら……」

 ミチエは口ごもったが、続きは皆言わなくてもわかったようだ。マッハ酒井アカデミー。

「そうよねえ……。だけどちょっと、検討してほしいことがあるのよ。単刀直入に言うわね。ミチエちゃん……馬魚区にある私立魚森女子高等学校……私が勤めているところなんだけど、そこでエアガンシューティングの部活を立ち上げようと思っているのよ。ミチエちゃん……私のところに、来てもらえないかしら?」


「まあ、学校のランク的には青山の方がよかっただろうし、酒井さんの指導は受けられなくなったけど、今のミチエを見ているとこれでよかったんじゃないかって思っているよ」

 信号で車を停めて、カーナビの画面を見ながらイノが言う。

 シューティングレンジ鰻ヶ原の場所はまだマークしてあるが、交差点に着く前に画面の外に出て見えなくなっていた。

「だけど同時に思うよ。ミチエももっとずっと先の方まで行きたいと思っているんじゃないか……だとしたら、これは少し回り道なんじゃないか、酒井さんが行ったところまで行くのに、足を引っ張るんじゃないか」

 ミチエに話しかけるようでいて、しかし誰に言うでもなくイノはつぶやいた。

「自分のことなら悩まなくてもいいのだけど、……シューターとして、人として、何がミチエにとっていいことなのか、まだ悩んでいるよ。パパが酒井さんのところまで行けないとわかった時には、もう手遅れだったからな」

「まあ、遅かったわよね。銃や弾にお金をつぎ込んで、暇さえあれば練習に出かけて……一生治りそうにない。それどころか娘にまで移して」ヨウコが言うとイノは少し恐縮したように縮こまった。

「だけど手遅れじゃなかった。そう私は思ってるわ」


 アツシの車は環状線からミチルの家のある高級住宅街に入り、駅を通過したところでアツシがミチルに連絡を取った。

 リイサやマドカはだいぶ緊張した面持ちになり、バイトの後何度もミチルを家まで送っているアツシも、心なしか背筋を伸ばして緊張しているようであった。

 一方初めて来るダイキは、派手な豪邸がズラリと並んでいる光景を想像していたのか、地味な雰囲気に少し拍子抜けしているようであった。

 そう口にすると、本当の金持ちってのは無闇に派手にしたりしないもんだとアツシが答えた。

「みちぇから連絡。浅草着いたら駐車場のあたりで合流しようかって」ノリコが言うと少し考えてリイサが答えた。

「ちょっと時間が開きすぎるわね。先に行っててって伝えといて。こっちはまずミチルちゃんの大荷物を会場で降ろすから、ちょうどそのくらいにミチエちゃんも会場に着くんじゃない?」

 アツシの車がミチルの家に着く時には、正門の前にはミチルと両親、そして祖父が、荷物を用意して待っている状態であった。

「おはようございます理事長、常務理事!」

 車から飛び降りるとリイサが緊張しつつ挨拶する。続いてマドカも車から降り、アツシは車を降りると反対側から回って後部ドアを開けつつ挨拶をした。

「ノリコ姉ちゃんはここで待ってなよ。ノリコ姉ちゃん乗り降りがとろいんだし。荷物は俺と兄ちゃんで積むから」

 そう言うと自分の荷物を荷台の方に置いてからダイキは車を降りた。

「おはようございますミチ……ル……さ」

 いつものように気軽に挨拶しようとしたダイキの動きが止まる。

 いつもの、コンビニのバイトからの帰りに食堂に寄ってくる時のミチルとはまるで別人のような佇まいにダイキは思わず息を飲んでいた。

 服装が特にいいというわけではない。ただ背筋を伸ばして立っているだけ。なのに気軽に話しかける隙がまったくないようにダイキには見え、軽く微笑んで会釈する姿は風に揺られる花のようにも見えた。

 オーラ。そう、オーラ。オーラが漂っているという言葉の意味を理解できた気がする。

「おはようございますダイキくん。申し訳ありませんが、荷物を積むのを手伝っていただけますか?」

「えっあっ……はい」返事をするタイミングが遅れ、何だか間の抜けた雰囲気。取り繕うようにダイキは口を開いた。

「あっ……すいませんミチルさん。ミチルさんいつもと違ってすごく雰囲気が……こう、オーラが出ていて」

 ダイキがミチルの台車を受け取り車の後ろまで持っていく。礼をする仕草も、いつもと変わらないはずなのに感謝の気持ちが骨の髄まで伝わってくるような妙な感じを覚えた。

 何かこそばゆくて居心地の悪い。何か言って場をつなごうと、

「なんていうか……いつもの変態ポンコツねえちゃんと全然違ってて」

「」

「」

 場の雰囲気が凍りつく、という言葉の意味を真に理解したと、のちにダイキは思った。



 リイサが言った通り、ノリコたちが会場近くで荷物を降ろしているところで駐車場から戻ってきた大森一家と合流し、駐車場へ向かったアツシ以外で開場入りとなった。

「おはようございます皆さん。ウイカさんがテーブル広げる場所を確保してくれたから、ミチルさんの荷物を預かっとくよ……ウイカさんはまだ、打ち合わせで忙しいみたい」

 エレベーターを降りるとケイが待っていた。ケイは一般エントリーを済ませていたが、会場設営のお手伝いを募集していると聞いて、ウイカと一緒に会場入りしていた。

「なんかこう……ずいぶんと大所帯になった気がしますね、シューティング同好会」

 ケイが台車を押してまだ開放されていない入口に入っていくのを見ながらマドカが言った。

 参加者家族の席については、リイサもミチルやウイカを交えてジャパンスティールカップの運営と相談していた。相談する時期が遅く椅子や机を追加でレンタルはできなかったが、今回はミチルの用意したテーブルを置くスペースを確保することでとりあえず話はまとまった。

「こうしたビッグマッチでも、参加者以外の人が来ることってそんなには想定されていないからね。借りられる会場に限りがあるからしょうがないところもあるんだけど」リイサが言う。

「でもジュニアシューターが増えるって、たぶんこういうことなのよ。ミチエちゃんみたいに親もシューター、って人ばかりじゃないというのは、歓迎すべきことだと私は思うわ」

 ミチエにイノとヨウコ、ノリコにマドカ、ミチルにリイサ、ウイカにアツシとダイキ。ケイの両親は競技が始まるまでには来ると言う。

 マドカやアツシ、ダイキの方を見る。続いて、自分が引率しているミチル。保護者同伴が必要なジュニアシューターが参加するための、選択肢。

 これからどうなっていくのか、考えるとちょっと楽しいわね。リイサは一人ごちた。

「おはようございます雑色さん。今日は皆さんと同じスクワッドで回ることになるようなので、よろしくお願いします」

 リイサたち一行が階段近くのスペースに集まって落ち着いた頃合いに、セビオが挨拶に来た。

「よろしくね。シューティングスポーツ同好会とマッハ酒井アカデミーとでひとつのスクワッドができるなんてね……思った以上に早かったわね」

 言いながらリイサはセビオの後ろを見回す。「来たわね……マッハ酒井アカデミーの新戦力」

 おはよう雑色さんお久しぶり。お久しぶりです萩中さん。近付いてきた年配のシューターとリイサが挨拶を交わす。年齢はイノと同じくらい。その後ろに。

「おはようニシオくん、久しぶりだね……もう10歳になったんだ」珍しくミチエが話しかけた。

 父親の後ろに隠れるようにしていたニシオと呼ばれた少年は、やはりまだ父親に隠れるように、しかしミチエに姿は見える角度まで移動して、ミチエに挨拶した。

「紹介するよ。萩中バンさんと……その息子の、ニシオくん。酒井さんの無料練習会とか、フロンテーラの練習会でよく一緒に撃ったんだ。8歳の頃から銀ダンで撃っていたから、キャリアはみんなより上だよ」

 バンがみんなの前にニシオを押し出そうとすると、今度はセビオの後ろに隠れた。

「マッハ酒井アカデミーに入ったのは7月。大森と入れ替わり……と言うにはちょっと遅いが、こう見えても熱心に通っているし、家でも練習を積んでいるそうだ。来るたびに上達しているのが見ていてよくわかるよ」

「ジャパンは練習だとどのくらいで回れるの?」ミチエがしゃがみ込んでニシオと目線を合わせる。

 ニシオは一瞬たじろいだが、「……120秒は、切るようになった」

 110秒台。ミチルやケイより少し遅いくらい。場合によっては。

「すごいね。うちの部員にも、7月から撃ち始めた人がいるけど、いい勝負になりそうだね」

 どちらかというと内気で人見知り、しかしシューティングの話題になると話は弾む。似た者同士ね……ミチルとニシオが話しているのを見ながらリイサは思った。

「そういえば天空橋くんは、マッチに来るときの保護者はどうしてるの?親がシューターというわけでもないし、ご両親は忙しそうじゃない。アンリミの時も、たしか酒井さんは来れなかったでしょ?」

「うちの使用人に来てもらっています。僕と一緒にWPSCのクノウさんから銃の取扱いや競技のルールなどを一通り教わって、フィリピンやアメリカで撃つ時も、彼に同行してもらっています」

 使用人。フィリピンやアメリカで撃つ。セビオが天空橋エレクトロニクスの御曹司だということをすっかり忘れてしまっていた。

 そう言えば梅屋敷さんは……セビオが言いかけたところで、リイサが自分を指差す。セビオはなるほどとうなづいた。



 ロック・ストック・アンド・スモーク。

 ストップターゲットは中央の5メートル先。そこから左右対称に3メートル、そして両端のターゲットは2メートルの距離にある。ストップターゲット以外は25×35センチの大きい鉄板。

 大きい的が近くにあるので速く撃てるステージではあるが、飛ばしすぎると最後のストップターゲットでつまずくことになる。


「えー、Hスクワッド……マッハ酒井ジュニアシューティングアカデミーと魚森女子高等学校シューティングスポーツ同好会、及び関係者の皆さん、おはようございます。本日このスクワッドのメインジャッジをします、ニシカワです」

 細身の男性が挨拶をした。着ているシャツは、チーム40ファイバーズ/ウインドカップ。

「サブジャッジの穴守でーす」ウイカが言う。それに合わせるように、「酒井でーす」

 マッハ酒井がサブジャッジ。ノリコは驚いた表情のまま。

「本当ならわたしが出るべきなんだろうけど……ウイカちゃんのおかげで楽させてもらってるわ」リイサが言った。

「メインジャッジのニシカワさんも、アンリミのスタンダード部門で何度もトップを取った実力者よ……一流のシューターは見る目も一流だからね、気を引き締めていきなさい。ノリコちゃんがトップバッターよ」

 うん。ノリコが答えるとすぐに呼び出しが入る。北糀谷ノリコちゃん。ネクストシューター、梅屋敷ミチルさん。

 ガンケースを持って立ち上がろうとするノリコの肩を、ダイキが叩く。「ノリコ姉ちゃん……頼まれてた奴」

 センチメーターモンスターの予備弾倉。わざわざダイキにお金を渡して買ってもらい、BB弾も、会場でダイキに装填してもらった。

「えへへ。これこれ……PASカップの時は、お守りがなかったからうまくいかなかったんだよ。これがあればきっとうまくいくよ」

 ダイキから受け取った予備弾倉を、ベルトのマガジンポーチに挿していく。大事そうに。そっと。

 まるで自分がそうされているような、そんな感じをダイキは憶えた。自分自身と言うか、自分の分身。まるで……思いつかない。

「しっかりしてよノリコ姉ちゃん。弾切れには気をつけなよ……おつりの勘定もロクにできないんだからさ」

 軽く苦笑い。うん、がんばる。そう一言言って、ノリコは射座に向かった。


 ロックストックは、右端から右側のターゲットを片付けてから左端に飛んで、そこから一気に中央のストップターゲットまでたたみかけるのがセオリーだ。

 しかしノリコは右から左へ大きな鉄板を撃っていき、最後に中央のストップターゲットと撃っていく。その撃ち方がノリコは気に入っていた。

 最初の一枚をできるだけ早く撃ちたいから、右端を向くように。最後のストップターゲットだけは慎重に撃たないといけないので、それを意識して体の向きを少し左にずらす。銃を抜いて構えた時、右端のプレートの左端がギリギリ入るくらい。

「メイク・レディ!」ニシカワの指示で銃をホルスターから抜き、弾倉を銃に装着する。

 お腹の底から力が沸いてくるような、体の節々にたまっていた緊張感が燃え上がって体を突き動かすエネルギーになったような。

 一発撃ちます。ニシカワの許可を得て一発。ぽこっ。弾が出るのを確認。ホルスターに収める。トリガーガードがホルスターのロックに擦れて、パチッとはまる。

 銃から手を離すとき、グリップセフティのスプリングが軽くきしむ感触。スプリングのテンションを感じなくなり、ちょっとの遊び。銃から手の皮膚が離れる感触が、まるでセロテープを剥がす時のように感じる。

 手を上げる。何度も練習した位置、角度。ロックストックでは、立ち位置と角度さえ合わせれば、上半身をひねったりしないで済むようにしている。構えはまっすぐ。ピッタリだ。

「ファーストラン!アー・ユー・レディ?」準備はできた。後は撃つだけ。早く撃ちたい!「スタンバイ!」

 ぴーっ。手を落とす。銃に手が触れそうになったところで、銃をすくい上げる。銃のグリップを握った時、もうホルスターのロックは解け、グリップセフティをちゃんと握りこめている。

 右端のターゲットの、左端。ノリコが意識したところに、ダットサイトの赤い光点が乗っかった。

 撃てる!撃つ!

 ぽこっ。次!意識は次のターゲットの中央に向いている。そこに体を引っ張る。後退したスライドが戻るのがもどかしい。ターゲットの中央に光点がたどり着く前に、スライドが戻った。撃てる!

 ぽこっ。次はストップターゲット。これじゃない!その次!意識が次のターゲットの中央に定まる。

 赤い光点がストップターゲットを通過した時には、銃のスライドはもう戻っていた。思わず撃ってしまいそうになるが、がまん。

 ぽこっ。次!ぽこっ。意識は中央のストップターゲットへ。ストップターゲットの中央に、意識が集中する。その一点に赤い光点が吸い込まれていく。

 体の向きが、銃の構えが、スライドが、引き金のスプリングが、その一点にその一発を撃ち込むための準備が、整っていく。

 ぽこっ。

 引き金にかかった指の力が緩む。ノリコの意識を追うようにBB弾が飛んでいくのを見届ける間に、銃を握る手にかかる力も緩んでいく。なんだか思った以上に、力をかけているようだ。

 ぱちん。集中していた意識が、パッと明るく、その分ぼんやりしたものになる。指をトリガーガードから出して、フレームに沿わせる。

 周囲から驚きとどよめきの声。1.53。何人かがタイマーの数字を読み上げ、どよめきが広がっていく。

 ウイカの方を振り返る。ウイカは淡々とスコアシートに記入をし、マッハ酒井もノートPCにタイムを打ち込む。しかしどこか微妙な表情。

 二人にタイマーを見せてその様子を見ているニシカワの表情は、険しかった。

 タイマーの数値に視線を落とし、真剣な表情で少し考え込んだ後、ニシカワはノリコに向き直った。

「ノリコちゃん……アンロード&ショウクリア」

 どよめきが一度に静かになる。他のステージでブザーの鳴る音や銃声が聞こえ、それが一層、この周囲だけ空気が周りと切り離されたような感覚になっていた。

 アンロード&ショウクリア……もう?終わり?弾倉を抜き銃に残った弾を処理しながらも、何があったのかノリコは考えていた。何も思いつかない。

「ちょっと確認したい事があるんだけど……ノリコちゃん、そのままドロウして、ターゲットを順々に狙ってみて」

 言われるままに、ノリコは銃を抜いてみた。練習でやっているように、手を落とす。銃をすくい上げる。構える。ターゲットを、狙う。狙う。狙う。

 銃をホルスターに収める。ニシカワはまだ何か考え込んでいる。マッハ酒井はそれを真剣に見つめている。……ウイカの表情は、何かまずいことになったと悟ったようであった。

「ひとつ聞かせてほしいんだけど……ノリコちゃん、撃つ時はちゃんとターゲットを見て、狙っているんだよね?」

 はい。ちゃんと撃てると思ったときに、撃っています。そう答える。

 ニシカワはもう一度、確認した。ちゃんと狙って撃ったのかと。はい。

「さっきの射撃、ちゃんと構える前に撃っていたよね。腕が伸びきっていない。肘を曲げて撃つフォームでもないね。それどころか左手のフォローが追いついていなくて、少なくとも二発目までは、片手で撃ってた」

 待機席で、ミチルがスマートフォンでの録画を中止して動画を再生する。一発目、二発目……明らかに左手が追いついていない。ちゃんと銃を構えているのは最後だけで、他も構えがちゃんとしているか怪しい。

「これはとても危険に見えるよ。実際は安全だったかどうかは……ノリコちゃんの言葉を信じるとしても、とてもそうは見えない。安全とわかっているとしても、わかっているのがノリコちゃんだけだったら、それを安全とは、言うことはできないよ。誰も保証できない」

 これは場合によっては。リイサとウイカの表情に、諦めの色が混ざった。

「もしさっきの射撃、一発でも外していたら……コントロールされていない発射とみなして、警告を宣言していたよ。失格もありうる。ニュータイプ撃ちも正直感心しないのだけど、……ともかく、ノリコちゃんはちゃんと狙って撃っていると言ったし、弾は全部当たっている。今回はそれを信じて、注意だけにとどめておくよ。でも次はないからね」

 ちゃんと撃てていない。警告、失格。体を流れる血が、急に冷たくなったような感覚をノリコは憶えた。

「ただ速くぶん回すだけなら、体力さえあれば誰だってできる。だけどノリコちゃんができるのは……みんなが期待しているのは、そういうことじゃないはずだよ。……プリペアー・フォア・ユア・ネクスト・ストリング(次の射撃に備えよ)」

 次がある。でも、どうすれば……銃を抜き、マガジンポーチに手をかける。予備弾倉。お守り。

「ノリコ姉ちゃん、まだこのテーブル、この辺とかちゃんと拭けていないよ。ゆっくり丁寧にやっているように見えても、四角いテーブルを丸く拭いてるだけで全然ダメじゃん」

 ウイカの店を手伝っている時のダイキの言葉がノリコの脳裏に浮かぶ。

 射撃とは関係ないはずなのに、それが今の自分にとって、すごく大事なことのようにノリコには思えた。

 銃口はターゲットの方から離さずに。弾倉は前に大きく曲がっているので、角度に注意。

「ゆっくり丁寧にやっているようで、本当は速くやろうって焦って、手を抜いちゃってるんじゃないかな。手を抜いたまま遅くやってるだけだよ。暇になったらちゃんとやってみようよノリコ姉ちゃん……もっとゆっくりでいいから、一つ一つやっていこう」

 弾倉を叩き込む。「一発撃ちます」ぽこっ。弾が出たのを確認。ホルスターに戻す。

「ノリコ姉ちゃん物覚えは悪いけど、覚えたことはちゃんとできるんだから……皿洗いとか、すげえきれいに洗えてるしたぶん姉ちゃんより速いよ。そういうの見てると、ノリコ姉ちゃんがシューティングで速い速い言われてるのって、なんかわかる気がする」

 思い出すんだ。先生やみちぇに教わったこと、全部。ひとつひとつ、やっていくんだ。

 セカンドラン!アー・ユー・レディ?

「ダイキくんのお守りのおかげで、次があるよ。だけどちゃんと撃つのは、わたしがやらないといけないんだ……ちゃんとやるよ、がんばるよ。だから一緒にがんばろう、センチメーターモンスター!」

 スタンバイ!

 ぴーっ。手を落とす、銃をつかんで、軽く引き抜く。左手は、銃口を横切らないようにお腹のあたりに当てておく。

 銃をすくい上げる。左手で追う。銃を握る右手に沿って、トリガーガードの下をチョップするように。

 ダミーのセフティレバーに乗せた親指に力が入る。銃を引きつけるように添えた左手が、それに応える。

 銃を上げる手が、ターゲットに近付く赤い光点が、とても遅く感じる。

 遅くて重い。しかし確かな手応えを感じる。

 以前何かの本で、”熱したナイフでバターを切るように”という表現を見て、コンロの火で包丁をあぶってからバターの塊を切ってみたことがある。

 抵抗がなくなったわけではないが、力を入れれば、包丁の刃は思ったようにバターの塊に沈み込んでいった。

 何も考えずに抜いた時よりも動きは遅い。しかしその、自分自身の遅さを切り裂くように赤い光点はターゲットに走っていった。

 遅くなった分、正確に狙える気がする。狙うところを、真ん中からずらしてもいい気がする。

 意識と体が集中する点が、ターゲットの上に見えた。そこに赤い光点が届いたら、……撃つ!

 ぽこっ。意識は次のターゲットにもう向かっている。体が追いつくのをただ待っていないで、どこを狙えばいいのか考えて、計算する。撃つべき点がまた見えてくる……遅さを切り裂く力加減も、わかってきた。

 ぽこっ、ぽこっ、ぽこっ、ぽこっ。

 引き金から指を離し、胸元のあたりまで銃を引く。あとはホルスターに銃を収めるだけ。

 意識がぼやけて、しかし明るくなる……ファーストランを撃った直後のような喧騒。しかしどよめきというよりも、歓声。

「ナイスラン!」知らない人の声。知っている声も混じっている。言葉の意味をすぐには思い出せなかったが、彼らがどんな気持ちで口にしているのかは、すぐにわかった。

 ホルスターのロックがかかった感触。振り返る……タイマーの数値をウイカたちに見せながら、ニシカワが満足げな笑みを浮かべていた。

 ウイカやマッハ酒井も、スコアシートやノートパソコンに向き直っているが、その顔に驚きと喜びが浮かんでいるのは確かだった。


「ノリコちゃん、20秒深呼吸」リイサが言うと、ニシカワが被せるように言った。30秒。「30秒、休んでいい」

 ウイカが持ってきたキッチンタイマーを設定し直す。ちょっと心配そうにニシカワを見る……

「一人あたりの持ち時間は、目安として二分二十秒。だけど目安として、だよ。さっきの注意もあったし、ノリコちゃんにはちょっと無理をさせたみたいだからね」

 ノリコの呼吸はだいぶ落ち着いてきたようだ。しかしまだ目を閉じて、気力と体力の回復に集中している……息を吐き終える時、まだ微かに息が震えている。

 アンリミやPASカップの会場で撃ち終わると寝てしまう子の噂はニシカワも聞いていた。事前のROミーティングでウイカやリイサからノリコに関する話も聞いた。

 それでも信じられないところはあったが……2ストリング、合わせてわずか三秒ちょっと。

 一回の射撃、一秒半ですべてを使い切る、そういう撃ち方だという事は、実際に見てニシカワも納得した。

「だけど進行の遅れは他のスクワッドにも影響が出るし、会場を借りられる時間にも限度があるからね。ノリコちゃんの事情は実際見て納得したしそれになるべく配慮はするけど……それにも限度はある」

 ノリコの深呼吸は、動きが小さく、ゆっくりになってきた。まだ眠そうな顔をしているが、目は開けてターゲットを見据えている。

「時間が押した分は、雑色さんや同好会の他のみんながチャッチャと撃って速く回していく事で、補ってもらえるね?」

 はい。元気のいい返事。同好会やリイサだけでない。イノやセビオ、バンとニシオの萩中親子も。マッハ酒井も小さくうなずいているのもニシカワは確認した。

 タイムは1,74秒。ドロウは遅くなったが、それを補うかのように撃つ速度が上がっていた……みんなが期待したものを、ノリコは見せてくれた。

 シューティングを始めて半年足らず、体力もない子が、ほんの数秒だけ、見せる奇跡。

 キッチンタイマーが鳴る。プリペアー・フォア・ユア・ネクスト・ストリング。

 ノリコは寝起きの直後のよう。動きが緩慢だ。事前に聞いた、集中力が切れた状態なのだろう。

 サードラン。アー・ユーレディ?スタンバイ!

 ぴーっ。……ドロウの速度も撃つ速度も、目に見えて遅くなっている。タイムは……3.26。

 タイムは極端に遅くなったが、ドロウの動きは"教わった通り"のフォームを崩さず、動きが遅くなったからこそ、ノリコがちゃんとターゲットをとらえてから撃っているのがよくわかる。

 着弾を確認しないニュータイプ撃ち。暴走ぎみのファーストランでもターゲットを外さなかったのは、この"遅さ"に裏打ちされたものなのかもしれない、そうニシカワは思った。


「ネクストシューター、梅屋敷ミチルさん。インザホール、大森イノさん」

 ノリコがスコアシートにサインして待機席に戻ると、リイサが話しかけてきた。「ノリコちゃん……まだちょっと、余力がある?」

 なくはないけど。そういった感じの表情。リイサはギャラリーから離れていくシューターの一団を指差した。

 はいはーい、みるものみたんだからうちらもちゃっちゃとはじめるよー。かいじょうをかりられるじかんにもげんどがあるからね。

「あの人たち……あのスクワッド、ノリコちゃんが撃つのを見たいからってまだ開始していないのよ。せっかくだから時間が許す限り、ノリコちゃんも見てらっしゃい。まだわからないところはあるかもしれないけど、見ているだけでも得るものはあると思うわ」

 確かに他のステージは競技を始めているが、一つだけ……確かゴーゴーファイブ……始まっていないどころか人がいない。リイサが指さした集団はそこに向かっていく。

「酒井さんは確かに国内トップのシューターよ。だけど無敵じゃない……何度も負けてる。ここ数年でも、トップを取れなかった事は少なくないわ。練習や銃のカスタム……シューティングへの情熱を、酒井さんに負けないくらい持っていて、走り続けている人たちはたくさんいるのよ」

 リイサに促されるようにノリコは席を立った。

 スクワッドは点呼中で、和やかに談笑をしていた。しかし点呼が終わり最初の一人が射座に着くと、一転して静かな、緊迫した雰囲気に包まれた。

 立ち位置や体の向き、体や手を動かす角度。神経質に気を遣っている。まるでミチエのよう……ふとノリコは気づいた。

 ミチエが目指しているのは、ここなのだと。

「酒井さんやニシカワさんもROやってなければあそこにいるはずなのよ。日本最速のシューターを目指し、トップラインを走り続けている人たち……Aスクワッドよ」


 スタンバイ!ぴーっ。ばん、ばん、ばん、ばん、ばん。

 ノリコは立ち位置や体の向きをそんなに気にしない。大体この辺、と決めて立つとそのまま撃ってしまう。手を上げる位置や角度も。

 ノリコのホルスターの位置や角度はミチエが調整してくれたのだが、ミチエに任せると撃つたびにしつこいくらい細かく調節しようとする。

 だけどそのおかげで、位置が決まってからは気持ちよく銃を"拾える"ようになった。

 ミチエは、そしてこの人たちはそういうことをずっと繰り返してきているのだとノリコは思った。

 ノリコが見てもわかるのは、スタンスと手を上げる角度。背筋を曲げたり、伸ばしたり。パッと手を上げる人、銃に手をかけた状態から逆算するように手を上げる人。もうポジションは決まっていて、ロボットやなにか特撮ヒーローの必殺技のように手を上げる人。

 そしてノリコでも間違いなくわかるのは、撃つ速度。銃声。鉄板にBB弾が当たって奏でるリズム。ミチエよりも速く、ノリコと違って最後まで安定した速度。

 ただ張り詰めた場の空気は、まるでミチエが集団で周りにいるようで、常に背筋を正していないといけないような。眠気に身を任せようとすると叩き起こされるような。

 みちぇはひとりでじゅうぶんだよ。ぴーっ。ばん、ばん、ばん、ばん、ばん。ぴーっ。かん、かん、かん、かん、かん。


「……をさましてくださいな。ノリコちゃん、起きてくださいませ」

 かん、かん、かん、かん、かん。まだ心地いいリズムが時折響いている。

 口元に何かが押し当てられる感触。ハンカチ。よだれを拭いてくれている。

 ノリコの正面にしゃがんでこっちを見つめる。みちゅ。

「Hスクワッドはもう撃ち終わりましたわ。今はスタッフシューティング……ニシカワさんとウイカさんが撃って、今は酒井さんが撃っていらっしゃいますわ」

 ぴーっ。かかかかかん。ひときわ速いリズムが聞こえてきた。

 さっきのノリコと同じくらい。ロックストック。一番速く飛ばせるステージ。それをこれだけ飛ばせるのは、この場にいるAスクワッドを除いては。

 ノリコは立ち上がりロックストックのステージに向かう……ガンケースを拾い忘れていたが、それはミチルが持ってくれていた。

 ステージの周りは人が集まっていて射座がよく見えない。

 ぴーっ、かかかかかん。歓声。アンロード&ショウクリア。

 まさしく糸が切れたように、射座やギャラリーに漂っていた張り詰めた感じが解けてギャラリーの人ごみが散らばっていく。

 射座近くのテーブルではニシカワが荷物を片付け、集計の終わったスコアシートをウイカが本部へ持っていった。

「酒井さんが撃つとこ見たかった」

 ノリコが言うとミチルが答えた。「では次からは、ノリコちゃんが寝ていたら少し強引にでも起こすことに致しますわ」

 ギャラリーが散らばると待機席にいる同好会の面々が見えた。「次はゴーゴーファイブよ。準備はいい?」

 準備。そういえば。マガジンポーチに入れたままの使用済みの弾倉。

「ノリコ姉ちゃん……弾入れてくるから、先に行ってなよ」

 それじゃあチャージよろしく。そう言ってノリコはダイキに弾倉を手渡す。

「そう言えばダイキくん……酒井さんの射撃、どうだった?」

「どうって、うん……速かったよ。ノリコ姉ちゃんが飛ばしてる時と同じくらい。ミチエさんや天空橋さんよりも速いってのがよくわかったよ。だけどなんていうか……動画で見てるのと実際に見てみるのとで、こう全然違うね!そう、オーラが違うよ!」

 ダイキの後ろにマッハ酒井が立っていた。荷物を片付けて、ノリコたちに話しかけようと近づいてきたところだったようだ……少し照れくさそうな表情。さらに後ろにいるセビオは、少し誇らしげ。

 実際に見て初めてわかる、動画では伝わらないマッハ酒井の凄さ。なんて表現すれば。

「すごいよね!プリヒーラの水鉄砲撃ったり山の中でカップ麺食ってるおっさんとは全然違うね!」

 沈黙。

 声をかけるタイミングを失ったマッハ酒井はリアクションに困ったような苦笑いを浮かべてそのまま立っていた。引きつった笑顔のミチル。

 セビオやミチエは驚愕の表情を浮かべ、驚愕の割合は少ないものの、リイサも似たような表情。

 呆然としたノリコがダイキとマッハ酒井を交互に見つめる。その視線を見て、何が起こったのか何となくダイキも察することができた。

「……ダイキおまえっ!おまえ、なんかこう……なんかこうなんとかなんねえのかそれ!?」アツシがダイキを軽くひっぱたくとマッハ酒井に平謝りした。



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