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8. ここはどこだ

「心配される云われはないとさっきから言

、と言うセリフの途中からスタート。


前回からの開きが凄い、ので念のために登場人物。


リョーン・・・我らが主人公が、本物のリョーン(女)に罪をなすりつけるために名乗った偽名。

ナッシャ・・・リョーン(偽)に惚れてる?…さて。

灼眼・・・十二使徒が一柱。



「え。……で、どこだここ?」


気づいた、と言う言い方が正しいと思われる。

一瞬で移動したと考えるよりも意識がトンだと考える方が妥当だろう。今の俺の体調を考えてもそう言えるはずだ。


身体中は相変わらず痛い、が以前よりも少しましになっている気がする。

……と、言うよりも痛みを感じなくなってきている、とした方が正確かもしれないがどちらにしろ大差ない。

一度倒れた今となってははっきりと己の体調不良が分かる。体調不良、と言うのも適切ではないか。

持ってどれだけかは知らないが、『死にかけ』と表した方が正しい気もする。

別に、こんな世界で長生きしたいわけでもないしな。


「気がつきましたか?」

「ああ、気がついたみたいだな」

「随分とヒト事な物言いですね?」

「ああ、ヒト事だからな。で、ここはどこだ?」


当然だが見た事のない景色だ。目の前にいた鬼族の男は同じ奴だったが。

だが俺は結構運がいいのかもしれない。何処となく以前見た『昏白の神殿』と同じ雰囲気をまとっている気がする。……自称“女神さま”とやらにも愛されているみたいだしな。

――ふん、嫌な事を思い出した。


「……自分の身体をヒト事、ですか」

「悪いか?」

「言いか悪いかと聞かれれば悪いですね。自分の体は大切にするものですよ。親にそう教わりませんでしたか?」

「……――あぁ、教わったな。だから、それ以上に大切な事がある」

「それ以上に大切な事?」

「それよりもここはどこだ?それとも答える気がないのか?」


それならそれで勝手に動かせてもらうが。

いや、むしろそっちの方が都合がいいか。こんな奴にかかわっているだけ寿命の無駄だ。



「リョーンさん!? 目を覚ましたんですか!!」


≪Stumble――黙って転べ≫


「ぶひぇっ!?」


襲いかかろうとしていた女が何もないところで転んだ。

無様だ。――無様だが当然の報いだ。、姿を見せるなり飛びかかってきやがって。やはりこいつも狙いは俺の身体か。


「俺に触れるな、と言うよりまだ俺をつけてたのか、女」

「彼女は倒れた貴方の事をずっと看ていてくれたんですよ。そんな言い方――」

「いえ、それはいいんです。……どうせいつもの事ですから。でもそこがいいって言うか、ワイルドな感じが素敵?」

「……あ、そうですか」

「はい。て、でもリョーンさん、私は女じゃなくて、ちゃんと名前が」

「ナッシャ。そのくらい覚えいる」

「そ、そうですかぁ」


何だ、顔を赤くして気持ち悪い奴め。まさか、まだ何か企んでいるのか?


だが……ふむ。

さっき魔力を使ったがさほど身体の方に負荷を感じない。既にぼろぼろ、と言う事もあるだろうが、若干スムーズに魔力の引き出しが行えるようにもなっているな。

どうやら死に際に際してようやく体の方が慣れてきやがったか。……こんな忌々しい“奇跡”なんかに。

……ちっ。まあ、奴を殺す可能性が増えたと思っておくか。


「それで、いい加減答えてもらおうか。此処は何処だ?」

「聞いて驚かないで下さいよ、リョーンさん。なんとここは――」

「おい、鬼。一応聞いておくが此処は『灼眼の神殿』だな?」


「……酷いです。折角私が驚かせようと思ったのにぃ」


「ええ、その通りです。ここは十二使徒の一柱【灼眼】の坐す神殿、『灼眼の神殿』に違いありません。しかしこの一部屋を見ただけでよく分かりましたね」

「ああ。以前似たものを見た事があるからな」


ただし、ほとんど崩壊してた『昏白の神殿』だけどな。


「そうなのですか。いえ、それほど見事な“赤”を持っているのなら納得できますか」

「……だが、そうか。ここは『灼眼の神殿』か」

「ええ、そうですが、どうかしましたか?」

「いや、何でもないさ」


あぁ、少なくともお前に関係ある事じゃない。

――邪魔をするならその限りじゃないがな。


「そう言えばリョーンさんって一体どんな用事があって『灼眼の神殿』に向かってたんですか?」

「おや? このヒトはここに向かってたんですか。それはちょうど良かったですね。倒れて運び込まれた場所がちょうど目的地だなんて、運がいい。さすがは女神様に祝福されし者ですね?」

「――」


奴は、どこだ?

使徒の気配はこの前、昏白のところで覚えた。独特のものだから探せばすぐに――




「――いた」

「いた? リョーンさん、何がいたんです」

「邪魔だ。それと二度目だ、俺に触れるな」

「きゃっ!? ……え?」



「≪Srash――慈悲深く刈り取れ≫」

≪Congeal――永久の眠りに凍れ≫



ころん、と女の首が転げ落ちた。が、関係ない。黙ってくれたから丁度良いくらいだ。

奴を、【灼眼】を見つけた。“あいつ”を探し出すために必要な導の一つ。

時間がない。だから、この機を逃す気もない。


「あな、一体何――」


「煩い」

≪Press――圧し潰せ≫


「ぐっ!! ……じゅ、重力の魔ほ、いつの間に……!?」

「俺の邪魔をするな、神のイヌが」

「な、に……を――」

「――あぁ、そうだな。一応態々目的地に運んでくれた事には礼を言っておこうか。ありがとよ、俺を目的地まで運んでくれてな」

「貴方、一体何を……」

「何を? んなの決まってるだろうが」


――神を殺す


「それ以外に何がある?」

「な!?」


「沈め――≪Crash≫」


「がっ!?」

「……ああ、それと一つだけ忠告しておいてやるからありがたく受け取れ。そこの女、ナッシャとか言ったか、助けたいなら早く治療した方がいいぞ。今ならまだ間に合うからな」

「ぐ、がっ……」

「流石戦闘種族。タフだな。まだ意識がある。なら今のもちゃんと聞こえてただろ?精々足掻け。それと――全部、憎むなら自分のふがいなさを憎め、雑魚が」


ま、本当にこれ以上遊ぶなんて余裕ははないしな。……いくか。


「じゃあな。機会が有れば……また俺に遭わない事でも祈ってるんだな」



でも俺も、まだ呆れるほど甘いな。

『助けたいなら治療を早く』か。……そもそも急がずとも身体組織一つ傷つけずに“黙らせた”から治療が的確ならまず助かる。それにこんな俺に纏わりつくよりあの鬼族の方がまだ――っと。


……俺には関係ない、過ぎた事だな。




◇◆◇




直線。たどり着くまで誰にも会わなかったのに若干の作為的なモノを感じるが、まあいい。障害物がないってのは良い事だ。

例え罠だろうと何だろうと、ただ進むだけだしな。……いや、使徒様ともあろうモノが罠なんて事はないか。


……ふん、考えても仕方ないな、こんな些事。

で、だ。


「――よぅ、お前が【灼眼】で違いないな?」


目の前にいるのはまた女。“あいつ”と【昏白】に続いてこいつもヒトと同じ姿か。今更驚くでもないが、すると使徒ってのは全部ヒトと同じ姿なわけか、成程。

……意外と気配に気づけなかったらそいつが使徒って事にも気づけないかもしれないな。


「……待ってたよ、異界の堕し子」

「へぇ、俺に殺されるのを待っててくれたわけか。そりゃ都合がいい。――“あいつ”の居場所を吐け。そうすれば今すぐ殺してやる」

「断る」

「そうか、断るか」

「うん、断る」


判ってた、事だけどな。ならこんな腐れ外道のいるところにようなんてない。さっさとこいつを――


「  なら    死ね  」

≪Srash――静かに斬り棄てろ≫



全てを斬り捨てて、コマ切れに、塵を塵に。――そこには誰もいない。



「断る、と言った。聞こえなかった?」

「……っ!!」


こいつ、いつの間に後ろに来た?

……見えなかった、か。

使徒【灼眼】。……ふん、なるほどな。高速移動……いや、厳密にいえば時間を支配する、か。

――知った事か。


だが捉えられないってのは厄介だな。

さっきからちょくちょく使ってる感じ、魔力の使い方にも慣れたようだし“これ”ももう出来そうか。なら……




有難く思え【灼眼】、使ってやる。




「全て“こわれろ”こんな世界」

≪Godless――全てを殲滅せよ≫




世界を壊す、これは――“よこうじゅんび”だ。




相変わらず荒れてます。でも少しだけは優しさも…あるのか、あれは?


と、言う訳で二番目の使徒『灼眼』との決選の火ぶたが開かれる!

…う〜む、更新速度が遅い。



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