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5. 旅路的な道のり


『harem!〜カオス煮、いっちょ上がり〜』のど-XXX. あくる日とリンクしてます…と言うよりもこの時の時間帯があそこに入ります。



見つめあっていた。


「「……」」

「お前っ!?」


漆黒の髪に瞳。

『昏白』の神殿でみたような小物じゃない、間違いようのない【大厄災】がそこにいた。


なに、一泊と思いたまたま入った洞窟内に先客がいただけだ。

気にするような事じゃない。

正直な話【厄災】に興味はない。そもそも殉教者じゃないからな。


「見られたからには殺すっ!!」


例えばそんな事を言われても大した興味もない。


「…ほぅ、俺を殺すと抜かしたか」


だが、暇つぶし程度には成るだろう。


「貴様こそいい度胸だ。わたしを見ても驚き一つ浮かべないとはな」

「別に。そんな大層なものでもないだろ」


毎日見てた色だし。


「だが運が悪かったと思って諦めるんだな。わたしの姿を見たからには生きていられると不都合なんだ。死んでもらうぞ」

「いやちょっと待て」

「何だ、命乞いか?無駄なこ――」

「そうじゃない。別に命乞いをする気はない。俺が聞きたいのはどうしてお前の姿を見た程度で殺されなきゃいけないのか、って事だ。ああん? 死出の手向けに吐けよおい」

「……無駄に高圧的な奴だな」

「ちょっとやさぐれてる最中だ。気にするな」

「まぁ、いい。だが、死出の手向けか。ふっ、ユルイ顔に似合わず殊勝な事だ。よし、いいだろう教えてやる」

「いや、別にそこまで気になってないし。勿体ぶるなら別にいいや」

「なっ。……貴様から聞いてきたことだろうが!」

「だからもういいってば。そもそもここには眠る為に来たんだしな。……永遠の眠りってのは想定してなかったけど」

「ふん、観念するんだな」

「それはそれとして、だ。『灼眼の神殿』にはどうやっていけばいいか分かるか?」

「そんな事を教えても無駄だとは思うがな。『灼眼の神殿』か……そうだな、ここから南に十日ほど歩いたところに街がある、そこから街道にそって更に南下すれば五日程度で『灼眼の神殿』のある中央都市まで行けるはずだ」

「ほぅ。丁寧な説明、それは助かる。と、言うわけで俺は寝る。オーケー?」

「ああ、抵抗しないというのなら痛みは感じさせない。安心するがいい」

「……貴様ももしやと思ってたが、まさか俺を襲う気か?」

「? 何を今更」

「そうか、そうなのか。貴様も俺の身体目当てだったとは、最近は痴女が乱置されてて困る」

「――わたしを痴女、だと? よし分かった、侮辱もここまで来れば大したものだ。せめて苦しませずに殺してやろうと考えていたがその考えを改める事にした。お前は、苦しめながら殺す」


……ここいらが限界か、眠気の。


前振りは一切しない。後が面倒そうだからな。


「≪Graviton――安らかに沈め≫」

「? ……なっ!? ぐっ!!!!」

「っ!!」


“反動”が来るが耐えなければいけない。

大した力も使ってない。こうして徐々に馴らしていく以外に手は思いつかないからな。


地面に沈めた筈の【大厄災】は顔を上げてこちらを睨みつけている。

……顔に似合わず中々のタフネスのようだ。


「きさ、ま。何をした……?」

「お前は体重が重い」

「な、に……をふざけた事を……!!!!」

「その割には随分と頭に来てそうだけどな。やはり体重が気になるか」

「…………。……とう、ぜん、だっ」


この【大厄災】も女だしな。まぁ。判ってて言ったのだが。


「繰り返し言おう。お前は体重が重い。具体的に数値を挙げるならお前の普段の十倍は重くなっている」

「どういう、まさか……これ、かっ!?」

「そう。身体を起こせないだろ? ズバリお前は体重が重い!!」

「何度も、言う……なああああああああ」

「威勢があって結構だ。だが俺もそろそろ限界だ。お前には特別な待遇を用意した。俺に感謝し、敬え」

「何を……わ、わたしに勝手に触るなっ!?」

「いっつ、しょーたーいむ」



◇◆◇



――簀巻きにして洞窟の端に転がしておいた。


「くっ、こんな屈辱……殺せっ殺すならさっさと殺せ!!」

「興味ねぇな。俺はお前が突っ掛ってきたから相手したまでだ。第一場所を知られたから殺すなんて理由で殺されてたまるか。俺は寝床を探してただけだ。てか、煩いなお前」


眠い。何と言っても子供は寝る時間だ。

言っている事も正直なところ既に把握していない。


「このっ、人間如きにわたしが……」

「せっかく簀巻きにしてやったのにまだ足りないのか?」

「黙れっ。こんな、屈辱的な恰好をさせておいてただで済むと思う……」

「だから、聞こえなかったか? もう一度言ってやるけど、黙れって。煩い」

「人間如きがわたしに命令する――っ!?」


唇を重ねて無理やりこじ開ける。

んで、準備していた睡眠薬を投入。


「……ふぅ」

「な、な、な、な……何をする貴様っ 」

「何? 煩かったから口移しで黙らせる薬を飲ませただけだ」

「……」

「お、やっと静かにな」

「こ――殺してやる!!! このっ」

「……無駄か。と、言うよりもこころなしか前よりもひどくなった気もしないでもないが。まあ、出来るならやってみろ。だがそろそろ痺れが回ってきたはずだぞ」

「くっ、薬程度でわたしを縛り付けれると思ったら勘違いだ……ぞ?」

「だから如何でも良いと言っている。逃げるつもりなら逃げろ。俺を殺すつもりなら殺してみろ。ただ今は黙れ、煩い。俺は寝るためにここにきたんだ」

「ぁ、く……な、んで……から……」

「やっと効いてきたか。けど、まあお前人間じゃなかったんだな、さっきの言葉から考えるに。道理で薬の効き目も悪いわけだ……一晩くらいは持つか?」

「……」


そう言えば人間、と言う総称を使うのは魔種か龍種くらいのものだったな。

と、言う事はまさかこいつ、【大厄災】じゃなくて本物の【厄災】だったりするのか?


……気にする必要もない事か。


「じゃ、お休み〜……ぐぅ」

「――!!!!!」



◇◆◇



朝だ。清々しい朝だ。

希望の朝――とは思わないが。


「よく寝た。……体調もいいみたいだな」


横を見ると目を開けてじっとこちらを睨みつけている黒い瞳があった。

特に気にする必要も感じなかったので無視したが。


いや、これの寝床だった為に快適な睡眠がとれたんだ。無言で感謝だけをしておこう。


「さて、じゃあ行くとするか」


『灼眼の神殿』までの行き道も教えて貰った事だしな。あと十五日ほどで辿り着けると分かった事は十分な収穫だろう。


「ちょ、待ておい貴様。行くならこれを解いてから行けっ!!」

「……嫌だよ。だってお前、それ解いたら俺に襲いかかってくるだろ?」

「当然だ!!」

「微妙に胸逸らして言われてもな」


嘘のつけない奴め。


「だからこれを解け!!」

「断る。俺はひどい奴だからな、お前は放置していく」

「くっ、この……」

「まあ見積もりお前の力なら三日ほど全力で抵抗してれば綻びが出来るんじゃない?あくまで希望的観測だが」

「そ、そんなっ!?」

「達者で暮らすんだな」


と、ひとつ言い忘れてたな。


「あと、別にお前がここにいる事を誰かに言いふらしたりなんてしないから安心しろ」

「そんな事、誰が信用できるか!!」

「信用しろとは誰も言ってない。ただ俺は言うべきことを言っただけだからな。じゃあな。精々また俺に遭わない事を祈ってるんだな」

「ま、待ってっ……!」


待てと言われて待つ奴はいない。


より道もまぁ、悪くはなかったが。


「……俺には過ぎた今更だな」


そう言う事だ。



物語&登場人物紹介


てか、ここまでが本格的なプロローグなのだけどね。物語で言えばようやくオープニングが終わったところですよ、本当にもう。


え、人物紹介?…仕方ない。

【厄災】

突拍子もなくであったラスボス的な存在である。世界を破壊するほどの力を持った、本当の意味での生れながらの黒龍。

力は強いけどその分、まだ完全に力を制御しきれていない様子。だから簡単に負ける。

ちなみにこいつも女だ。……主人公は痴女と認識しているだけだが。

名前は敢えて言うまい。この物語でもネタばれになるので。


と、言うよりも今更だけどこの劇場版ってネタばれだらけ…もとい、ネタばれ以外の方が少ないけどね。本編から見れば話の一つ一つにネタばれの要素が入っていると言っても過言ではない。……本当に今更だ。


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