表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IRSー内象再現性血症候群ー  作者: やはうぇ
第2章 別離と逃走
11/23

第11話 夜の外気

 施設の外に出た瞬間、冷たい空気が肺に入ってきた。

夜だった。空は曇っていて、星は見えない。外灯が遠く、敷地の輪郭だけをぼんやりと照らしている。


碧真は立ち止まらずに走りながら、周囲の地形を視覚で読んだ。フェンスの向こうに植え込み。その先に道路。舗装の幅からして、あまり交通量のない道だ。


「……たぶん、右側が低いです」


隣を走りながら、フィリアが小さく言った。


「わかるんですか」


「連れてこられたとき、車が右に傾いた記憶があります。坂だったと思います」


碧真は短く頷いた。

確証ではないが、情報としては十分だった。


フェンスの一角に、金属疲労の進んだ箇所があった。碧真が三日前に確認していた場所だ。力を込めて押し広げると、人が通れるだけの隙間ができた。フィリアが先に抜け、碧真が続いた。


施設の警報はまだ鳴っている。しかし音が徐々に遠くなっていく。


走る。植え込みを抜ける。舗装された道に出る。


碧真は一瞬だけ周囲を見た。

右側の地面がわずかに下がっている。


「右だ」


二人はそちらへ曲がった。


確かに、ゆるやかな下り坂だった。


足元の傾斜が川の方向を示していた。湿った空気の匂いが混じっている。


「川沿いに出れば、バイクがあるかもしれない」


フィリアが少し碧真を見た。


「バイク?」


「土手に鍵なしで停めてあるのを、施設に連行されるときに見ていました」碧真は答えた。「川沿いの土手です。ここから一キロもないはず」


二人は川の気配を頼りに、暗い道を走っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ