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喫茶パメラ  作者: 星々 世々


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1/3

少年は

少年は馬鹿ではなかった。


だから、わかっていた。


自分のすべきことは何か。

そしてそれが、確実にこれでないことも。


だが、

少年は賢くあれなかった。


だから、喫茶店を覗くのに徹している。




少年はまともな教育を受けていない。

ただそんなことは、この街ではざらである。

そもそも、そういう類たぐいの話ではない。


生き残るための本能、知恵が働くこと

この街ではそれが「賢い」のである。



「運よく追手から逃げ切れたが、安心とは言えない。」


──そんなことはわかっていた。


「腹が減っているが、埋める手段がない。」


──それもわかっていた。彼には手持ちの金も、盗む勇気もない。


「では、助けてくれる人や職を探すべきでは?」


──ああその通りだとも。今すぐにでもそうするべきだ。



しかし、全てわかっていた上で、動けない。



・悪しき孤児院の長に、口減しで奴隷商に売られた。

・変態爺に売られそうになり、急所を蹴って逃走。

・一晩中逃げ続け、治安がマシな隣の区にやっとの思いでたどり着く。


これらが昨日の朝から今までに、少年の身に起きたことである。


おかげで腹はぺこぺこ。足はふらついて、精神にもきている。

いい匂いのする喫茶店に辿り着くののも、体力の限界で動けないのも至極当然。



…しかし、それを全て上回るような、動けない主な理由。




喫茶店の赤髪の娘に、一目惚れしたのである。




歳は18くらいだろうか。

店名の、「パメラ」と呼ばれているようだから、店主なのか?

一つに括った赤い髪と、イタズラっぽい笑顔がなんて可愛いんだ!

店に入ろうか、でもお金がない!!


店前のメニュー板の前に佇み始めてはや1時間、

ガラスを覗き込みながら、彼はこのようなことを考えつづけている。



そんなことをしている場合ではないぞ、少年。


12歳の少年にとっては大問題、特大の衝撃!!!


…とはいえ、君はもう気絶寸前だ。

体力の限界まで数十秒しかない。しかも心は彼女に奪われて正気ではない。


ふらついてふらついて、ドアの前へ。



突然、ドアが開く。



「いらっしゃい、喫茶パメラへ!君、顔色悪いけど大丈夫?」



あぁ、声まで素敵だ



彼の意識はそこで途絶えた。

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