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魔の城に住む人々

「なんで?」


動揺していた。


一度、整理しよう。


確か、廊下で言い争いになって、倒れた沙羅は、大怪我をしていた。


出血の量からして、命の危険があったかもしれない。


僕は、車に乗せて、マンションを出た。


病院に向かう途中、ハンドルを切り損ねて、崖下へ・・・。


落ちた筈だった。


だけど。


「沙羅!いつになったら、仕事になれるんだい?」


「沙羅?」


僕を指さして言っている?


「ちょっと待って!」


僕は、両手を見た。


細くて、長い指。


明らかに女性の指だった。


「何かあったのか?」


煌びやかなその貴公子が声を掛けてきた。


その顔は、僕の顔じゃないか?


「全く、使い物にならないです。いくら、奴隷市で安かったからって」


ヒステリックなおばさんがぼやく。


「何も、仕事ができやしない。せめて、庭の草刈りぐらいって、思ったんですけどね」


「ふうん」


その貴公子は、僕の顔をまじまじと見た。


鏡の中の僕の顔と全く同じ顔だ。


「女としても魅力は、いまひとつだし・・・」


その言葉は、僕がさらに対して思っている言葉だった。


「しっかり働かないと、また、売り飛ばす事になるよ」


「売り飛ばすって?」


「言葉のままだが」


反抗的な態度に、おばさんが割って入った。


「よく、言い聞かせますから」


何かを察したのか、おばさんは、その貴公子に


「シャイルニア様が、探している様ですよ。アレン様」


「あぁ・・そうだったな。マリーありがとう」


フリルの多い服をきた、アレンと呼ばれた貴公子は、そそくさとその場を立ち去っていった。


マリーって言うのか。


僕は、おばさんの足元の、桶を覗き込んだ。


張られた水の中には、


見慣れたつまらない女の顔が、浮かび上がっていた。


何度見ても、変わらない。


どうやら・・・。


僕の体に誰かの魂が入り込み、


沙羅の体に、僕の魂が入り込んだらしい。


だけど・・・。


ここは、一体、どんな世界なんだろうか。


整頓された広い庭。


多くの薔薇が咲き乱れている。


そこは、よくある庭園なんだろう。


僕が、


驚いたのは、見上げる城の屋根の上に無数に止まる異形の数々だった。


「何なんだよ・・・これは」


多くの爬虫類の巨大なやつが、城の屋根に、溢れていた。


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