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決して、人魚姫などではなく

キラキラした雫が、僕の顔に落ちてきていた。


力強い翼が、視界いっぱいに広がる。


あぁ。


僕は、胸一杯に、息を吸った。


全ての種明かしが、そこにあった。


「カロン・・・」


まだ、僕は、異世界にいた。


沙羅。


君と一緒に。


カロンは、見事なドラゴンとなり、僕の体をしっかりと支えたまま


陸へと飛んでいた。


「やっぱり・・・君だったんだ」


何も言わず、僕をそっと、地上に置くと、首を垂れ頷いていた。


「君だったんだ・・・どうして、何も言ってくれなかったんだ?」


カロンがそっと、僕の頬に触れる。


「やっと・・・わかったよ」


アレンが、顔に傷を負ったのも。


「君は、そうする事で、同じ気持ちにしたかったの?」


カロンは、もう、話せない。


成長したドラゴンが、話す事はない。


「君が、そうしたいのなら、僕は、甘んじて受けるよ」


西の塔の小さな怪物。


形も、不定形で、定まっていない。


それは、そうだ。


まだ、生まれる前の僕らの子。


骸骨の哀れな伯爵。


僕を永年、苦しめてきた裸の王。


家を顧みなかった父親。


全て、僕の世界の歪んだ業が形を変えて現れていた。


それなら、どうして君は、爬虫類の中にいたの?


カロンは、目に涙を一杯に溜めて、首を振った。


「あぁ・・・謎解きだね」


僕に冷たくされ泣き腫らした顔の君に、言った酷い言葉。


「爬虫類と変わらないな」


全て、歪んだ僕の思いが作り出した世界だった。


「沙羅・・・。僕は、どうやって、償えばいい?」


この世界で、2人で、生きていくのもいい。


それでもいいと、沙羅が、思うなら。


「帰れるなら、もう一度、最初からやり直さないか?」


沙羅。


僕の名前は、沙羅。


決して、人よりも美しくもなく、何処にでもいる女性。


だけど、誰よりも、強く、気高く。


しっかりと優しさを備えた人。


僕は、気付くのが、遅すぎた。


沙羅に変わって、


何を感じ、生きてきたのか、ようやく、わかったんだ。


カロンが、優しく僕に触れる。


この世界は、穏やかで、美しい。


眩しい光に包まれて、僕の意識は、戻ってきた。


真っ白い天井と人々の声が耳に届いた。


「あぁ・・・良かった。」


聞き慣れた声。


「先生!意識が戻りました」


慌てて、走り抜ける足音と声。


「大丈夫か?酷い怪我だけど」


包帯の隙間から、覗くのは、軽薄な父親の顔だった。


慌てて、表彰式を辞退して駆け付けたと言った。


僕は、運転を誤り崖から、転落したらしい。


運悪く、顔には、酷い怪我を負い、その傷は、そう簡単には、治らない。


いや。


もしかしたら、現代医学なら、治せるかもしrない。


だけど、暫くは、このままで、いようと思う。


あの世界のアレンと同じ傷が、僕の顔には、あった。


「あの・・・一緒にのっていた」


僕は、ドキドキした。


彼女は。


そして、あの小さな怪物は。


「待ってましたよ」


看護師が言った。


僕は、1ヶ月以上も、意識を失っていたらしい。


転落した車は、たまたま、道路にあったワイヤーに間一髪で、掛かり、大破を免れていた。


すぐ、救助された沙羅は、運ばれ、僕より、ずっと前に処置を受け、親子共々、命に別状はなかったらしい。


「逢えますか?」


僕は、聞いた。


「もちろん」


沙羅は、僕の部屋に現れた。


言葉もなく。


交わす瞳が、全てを物語っていた。


「もう一度、始めないか?」


僕は、言った。


沙羅は、笑って首を振った。


「その顔じゃ、もう、好きでないかも」


「そうだよね」


そう言いながら、僕を抱きしめた。


これが、僕のどうしようもない話。


あの世界に言って、僕は、沙羅を知る事ができた。


今度は、ドラゴンの飼い主となって、あの世界を征服しようか。


只今、考え中。


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