ようこそ!異世界へ
身体が宙に浮いたと思った。
助手席で、意識を失っている紗羅の身体も浮いた。
もう、生きていない。
筈なのに。
一瞬、紗羅と目が合った感じがした。
「紗羅?」
薄く金色に近い瞳が、僕の前にあった。
そう思った。
瞬間。
僕の意識は、遠くなった。
暗いトンネルへと吸い込まれていった。
* * * * *
遠くで、誰かが、ヒステリックに叫んでいた。
「誰だよ・・・」
紗羅にしては、感情的すぎる。
こんなに、騒ぎ立てる女だった。
それにしても、頭が痛い。
ぼんやりと目を開いた。
確か・・・。
あの時、ハンドルを切り損ねて、
車は、崖下に落ちていったんだっけ。
としたら、
ここは、病院か?
そう思って、
見回すが、
僕が寝てたのは、ベッドなんかじゃなかった。
僕の身体の下には、雑草が、びっとりと生えており、
僕は、そこにひっくり返っていた。
いつ、こんな所へ?
「いつまで、寝てんだい!」
甲高い声で、怒鳴り立てていたのは、この人だった。
太い眉毛の年配層な小太りのおばさんが、
僕を見下ろす形で、怒鳴っていた。
「早く起きな!」
「え・・・と」
僕は、身体を起こした。
「全く、使い物にならないよ」
待って。
僕h、女の人にそこまで、言われた事はないよ。
「わかってんのかい?」
「はい」
え?
僕の喉から、出てきたのは、女性の声だった。
「早くしな!」
そう言われて、僕は、飛び起きた。
僕の手には、粗末な鎌が、握られていた。
付けているエプロンは、泥だらけで、
僕は、草狩をしていたようだ。
「いつの間に・・・何があった?」
記憶に欠如がある。
立ち上がった僕に、叔母さんは、
「全部、集めておくんだよ」
周りの刈り取られた草の山を、見回して言った。
「女だからって、容赦しないよ」
女?て。
「待ってください。女って?」
「なんだい?女じゃないって言うのかい?また、妄想癖が出たね」
「いえいえ・・・ここは、どこなんですか?病院じゃないし・・」
「病院?なんだい?そんなのは」
「そんなのって?」
混乱する僕とヒステリックなおばさんの側に、背後から近づく、影があった。
「何を、そんなに、騒いているんだ?」
振り向くと、
そこに居たのは、
僕。
僕の姿をした誰かだった。
「え?僕?」
僕の姿をした奴は、長い髪を後ろで、束ねた貴公子の格好をしていた。
「ホスト・・・?」
あまりにも、その姿が、どこぞのホストに見えたので、口走ってしまった。
どこかの、ホストクラブに来てしまったのか?
そんなバカな考えは、すぐ、打ち砕かれた。
そいつの背後には、馬鹿でかいお城が、立っていたからだ。
ここは・・・一体、どこ?
そして、そいつは、僕と同じ顔をしているんですけど・・・
そして、僕は。
ふと、
泥を払おうとして、
僕は、自分の胸元に気がついた。
この感触って・・・。
おっぱい?
ええええええ!!
一体、何が起きているの?




