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目の前に居る君の記憶を呼び覚まそう

泡が弾ける


音は、何も聞こえない。


暗く深い海底に、


水面の光が、微かに届く。


「あぁ・・・息ができる」


僕は、そう思い、胸いっぱいに呼吸した。


息ができる。


そう、思った瞬間、


僕の意識は、戻った。


「誰?」


僕は、また、沙羅の体の中に居た。


最悪な事に、僕の体は、全身、緑の液体に浸されていた。


そうだ。


僕は、あの時、所々、亀裂の入った粘液の塊に呑まれていたんだ。


怪物。


「えぇ?」


気の強い沙彩が、床に倒れた瞬間、


また、この世界に戻ってきた。


どちらが現実なのか、わからない。


言えるのは、


目の前にいる小さな怪物が、


あの大きくて、動く度に生臭い匂いを放った抜け殻だって事。


そして、


その小さな怪物は、


酷く怯えて、僕を見ていたって事。


「臭・・・」


僕は、声を上げた。


間違いなく、


女の声だ。


また、沙羅の中に戻ってきた。


沙羅は・・・。


あの沙羅は、どこに行った?


気の強い沙彩。


僕は、彼女に何を求めていた?


「驚かせた?」


小さく震える怪物に、僕は、声を掛けた。


「ここに、どうして、居るの?」


驚く事に、そこの小さな怪物は、言葉を話す事ができた。


「話せる?」


怪物は、頷く。


「いつから、ここにいるの?」


「ここが、できた頃から」


「できた頃?ここには、昔から人が住んでいたのに。君達が、後から住んだと聞いているけど」


「住んだのではない」


側で、見ていた骸骨が何か、言いたそうに、歯をカチカチ言わせる。


「連れてこられた。逃げられないだけだ」


「連れてこられた?」


わざわざ、君の悪い類を家に連れてくるか?


臭さえ、酷い。


汚物なのか、


腐敗臭。


「閉じ込められている。逃げられない」


小さな怪物が言う。


話す度に、全身の毛穴から、何かが、吹き出してくる。


水っぽく、


生臭い。


「誰が?」


こんな怪物を、城に閉じ込めてなんの得策があるのか。


「お前こそ、何をしにきた」


「勿論、ここに住む者の正体を確かめにきた」


「中にある魂は、違うようだな」


骸骨は、中身のない、眼で、僕をじっと見下ろす。


「ひょっとして、お前さんも、俺達と同じ仲間かな」


「僕と?同じ?」


僕は、素っ頓狂な声を上げた。


僕の事情を知っている?


「どうして、私らが、ここにいるか、聞きたいかい?」


骸骨の真っ白な鼻先が、僕の前にあった。

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