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僕への復讐をどうぞ

「そんなに、思い詰めているなんて、思わなかった」


沙彩と名乗る彼女は、明るく笑う。


「死ぬかもしれないなんて、言うから」


「誰が?」


僕が言う訳がない。


「誰がって・・・あなたがでしょう?」


「僕が」


「ほんと!ごめんなさい。私は、あなたとの事、なんても思っていないの。勘違いさせたなら、謝るから」


「いや・・・ちょっと待って!」


話の流れから、察するに、


僕が、失恋したせいで、自殺を謀った事になっている。


「確かに、顔は、綺麗だと思うけど。なんて言うか、陰気なのよね」


「陰気?」


僕は、ムッとして黙り込んだ。


この沙彩とか、言う女の顔が見てみたい。


「逢える?」


「これから?どうしようかな。泣かれても困るし」


「僕が?」


泣くのか。


よほど、僕は、この女が好きなのか。


「そう・・・」


僕は、言った。


「新しいカフェができたって、聞いて。そこのタルトが期間限定なんだって」


「どこのタルト?」


「銀杏通りに新しくできたカフェ。セレクトショップの隣だよ」


「あぁ。あそこの?あなたと行くのは、どうしようかな」


「帰りに、ショップに寄ってもいいかなと」


「そうね・・・」


洋服とスイーツ。


嫌う女性は、少ない。


「ちょっと、行ってみようかな」


「待ってる」


僕は、鏡を見た。


陰気な奴だと。


沙彩と名乗る彼女は、言った。


陰気。


僕は、笑った。


いつも、友人達に囲まれて、騒いでいた僕が。


陰気。


確かに、心の中には、信じられないくらいの暗い影がある。


誰にも、見せた事がない。


長い間、両親のすれ違いで、抱えた心の澱が、深く凝り固まっていた。


この世界では、そんな事はないのか。


クローゼットの中を覗いても、


確かに、垢抜けない格子柄のシャツや、


いつの時代の服か、わからない物が、並んでいた。


「これはないよ・・」


僕は、部屋の中にあった親父のカードを取り出すと、ショップに向かった。


冴えない服を着て、女性に逢うなんて、耐えられなかった。


「一体、ここは、どういう世界なんだ・・・」


地味な僕。


派手目に感じる沙彩。


彼女が、沙羅なのか。


新しい洋服に着替えて、カフェに行った僕が、目を見張ったのは、


そこに眩い彼女が現れたからだった。


沙彩。


紛れもなく沙羅だった。


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