骸骨は、踊る。そして、僕は。
何とも言えない腐敗臭。
扉の向こうで、蠢く者。
命があるのか、果ての姿なのか。
わからない。
わかるのは、この城には、とんでもない謎があった。
屋根に巣食うのは、魔除けの者達。
この中に居るのが、そうさせるのか。
僕は、ドアに手を掛けた。
普通なら、怯むだろう?
だけど、ここまで、何も障害なく来れたんだ。
僕が、沙羅の中に居るのも、ここに来たのにも、意味がある。
この中に、入らなきゃいけない。
「入るのか?」
ドアの中から、白くて細い指が除いた。
ぼんやりと、どれは、指だとわかる程度。
「入ったら、無事に出れると思うか?」
「ここまで、来たんだから、無事に帰るし、何も、問題ない」
「自信あるんだ」
「ここにきた時から、自信はないよ」
ドアを内側から、掴んでいた指は、するっと、下へと滑り落ちた。
なんか、違和感がある。
そうだ。
その指は、白い指なんかじゃない。
骨だから、白いんだ。
「あぁ・・」
僕は、笑った。
中から、顔を覗かせたのは、肉も、髪もない、まっさらの骸骨だったから。
「聞いたよ」
何日か前、アレンが声を掛けてきた。
こんなイケメンに声をかけられたら、普通の女の子だったら、のぼせるだろうな。
自分の顔に見惚れながら、中身が、僕で無い事に、戸惑う。
この顔は、あの世界では、僕の顔だったんだ。
今の僕の姿は、どう見える?
沙羅を冷たくあしらい、振り回したのは、目の前にいるアレン。
つまり、僕だ。
こんな見た目だけの男の何が、良かったんだい?
薄っぺらじゃないか。
見ていても、この程度の男なんて、どこにでも、いるだろう?
「聞いたって、何がですか?」
僕は、不機嫌に答えた。
「塔に何があるのか、暴くって」
「あぁ・・・お嬢様の悩みを消してあげるって、約束したから」
「やめた方がいい」
「そうだね」
「そう言われるのに、行くのかい?」
「探し物があって」
「大胆だな。君って、そんなだった?」
「あなたが、上部しか、見ないから」
「きつい事言うね。君が、解決する事ができないと思うな」
「相変わらず、ネガティブなんだ」
「相変わらず?」
アレンは、心外だって顔をした。
「この城の支配者に逢いたいと思って」
「城主は、領地外にいる」
「そういう事で無いよ。この物語の主人公を探しているんだ」
「君じゃないって事?」
「そうだよ」
僕は、沙羅の中にいる。
登場人物。
僕の顔を持つアレン。
屋根裏に住む魔物達。
謎の塔。
どこかに、沙羅が居るはずなんだ。
きっと、近くに。
僕らの居る反対側に、沙羅が隠れている。
きっと、
塔の中だ。
沙羅を見つけて、僕は、戻る。




