醜いアヒルの小娘は、どこに?
気になる事がある。
僕は、沙羅の体の中にいる。
どうやら、僕の体の中には、誰かが、入っているらしい。
何度も、アレンの姿を見ていた。
僕とは、全く異なる行動。
真面目な奴だと思っていた。
僕だったら、その容姿を使って、気楽に生きる?
だけど、
目で追えば追うほど、
彼が真面目な奴だとは、思えなかった。
「一言で、言えば、陰湿なやつ?」
僕は、側から見たら、そんな奴だった?
と思うくらい。
シャイルニアが歪んでいるのも、彼が原因だと思う。
「おやおや・・・やっぱり、お前さんも、アレンが気になるのかい?」
アレンの様子を伺う僕に、おばさんは、残念な事を言ってきた。
「やめてくれよ。あんな奴」
そう言いながら、ハッとした。
あれは、僕だ。
だけど、あんなに、陰湿しつ奴だったか?
ある事ないこと、権力者に吹き込み、ゴマをすり、小金を手に入れる。
表向きは、華やかな貴公子だが、
影の顔は、とんでもなかった。
「頼むから、いい格好してくれよ!」
僕は、物陰から叫んでいた。
どうやったら、僕は、自分の体に戻れる?
どうやったら、沙羅の魂に出会える?
僕は、鏡の中の紗羅に話しかけた。
「どうしたら、元に、戻れる?」
そばかすだらけの顔。
消えそうな眉は、八の字を書いていて、瞼は、腫れっぽい。
分厚い唇。印象のない鼻。
かろうじて、僕の苦労もあって、髪だけは、美しさを取り戻した。
体に至っては、全く、魅力のない薄ぺっらな身体。
見れば見るほど。
僕は、彼女の財産に惹かれていたんだと思った。
考えると、
僕が、彼女に声を掛けたのが、間違いだった。
僕は、騙してはいけない人に、声を掛けた。
沙羅は、普通に、平凡な生活をしていた女性だった。
この世界のアレンも、元いた世界の僕も、同じなのかもしれない。
「今夜、西の塔に行ってみる」
カロンに言った。
「やめた方がいいよ」
自分の仲間がいるカロンは、止めた。
「止めるの?」
「人間の行く場所でないよ。危険だよ。どううして?前は、そんな危険な事はしなかったのに」
「賭けをしたんだ。お嬢様と」
「お嬢様と?」
「西の塔の謎を解くって」
「謎を解くと沙羅には、いい事があるの?」
シャイルニアお嬢様は、僕のハーブ茶で、ヒステリーが、治りつつあった。
「僕には、探したい人がいるんだ」
身近に沙羅がいる筈。
探していないのは、あの西の塔だけだった。
シャイルニアが、沙羅かもと思っていたが、全くの別人だった。
彼女は、どこにも、見当たらない。
「西の塔の謎を解いたら、僕を自由にしてくれるって」
この城から出て、彼女の魂を探さなければ、僕は、元に戻れない。
僕は、沙羅を探しに行く。
そう決めていた。




