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君の事を知っている

カロンは、その話題には、触れなかった。


西の塔に、現れる怪異の事は、よく知っている風だった。


シャイルニアの僕・・・つまり、紗羅に対する嫌がらせは、


続いていたけど、


次第に、僕に、飽きてきたようだった。


女のヒステリーなんだな。


鞭を振り下ろした時、


思わず、僕は、その鞭先を掴んでしまった。


「何が、そうイライラさせる?」


思わず、口走ってしまった。


「ホルモンが暴れているのかな?」


「ホルモンて・・・?」


知っている筈もないか。


「同じ女性だから、わかりますよ」


僕は、庭で積んだ、レッドクローバーやレモンバームを、お茶にして差し出した。


向こうの世界で、女の子達に、アロマやハーブの話は、


人気があった。


意外と、僕は、女の子と話すより、


何かを作る事が好きだった。


あんな親父だったけど、


物作りの精神は、僕の中に受け継がれていた。


「飲まないわよ」


いつも、イライラして冷え切ったお姫様。


形ばかりの親の愛情は、


彼女を卑屈な大人に育て上げた。


「香りだけでも、嗅いでみたら」


僕は、シャイルニアの頸に沿って、ハーブ茶の香りをなぞらせた。


「!」


一瞬、彼女の頬が赤く染まった。


だが、それは、僕の顔を確認すると、たちまち、その姿を消した。


「ふ・・ん」


僕の中で、ムクムクと好奇心が湧き上がった。


「アレンとは、うまく行ってないの?」


僕は、首を傾げた。


意地悪っぽく、口の端を歪めて。


「何よ・・・お前に関係ないじゃない?」


「アレンには、好きな人がいるみたいですよ」


「それは・・・」


シャイルニアの顔が歪んだ。


「知っています?西の塔に現れるのは、アレンの死んだ彼女の幽霊だって」


「そんな・・・」


ほら。引っかかった。


おばさんが言っていた。


アレンには、彼女が居たけど、


シャイルニアのつまらない嫉妬で、亡くなってしまったと。


その亡くなった時期と西の塔に起こる怪異は、同じ時期だから。


次女達は、あらぬ噂を立て始めた。


「アレンとシャイルニアが気になって、この世に留まっている」


と。


カロンは、この話を怪訝な顔で、聞いていた。


ドラゴン達は、真実を知っている。


あの塔にいるのが、アレンの彼女の幽霊でも、なんでも、


ドラゴンが話したくない真実がある。


「私が、西の塔の謎を暴きましょうか?イライラしなくて済むように」


驚愕に満ちるシャイルニアの顔があった。


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