怪異は、西の塔で塔で踊ります。
カロンのはっきりしない態度は、気になったが、
変わらず、雑用で忙しく、僕は、忘れていった。
「沙羅!」
「はーい」
沙羅と呼ばれる事に慣れ、僕は、彼女の体に慣れていった。
まるで、最初から、この体に生まれてきたかの様に、僕は、沙羅である事に慣れていた。
僕が、ここに居るって事は、
沙羅が何処かにいる筈なのに、探す事さえしなかった。
陽が沈む。
闇夜の中に浮かび上がる西の塔。
灯りがぼやっと、灯っていた。
「おばさん・・・見える?」
僕は、聞いた。
なんだかんだ言って、僕は、おばさんと会話する事が多く、
いつの間にか、おばさんは、僕を認めてくれる様になっていた。
「ウジウジしているつまらない子だと思っていたのに、あんた、変わったなね」
「そうですか?変わらないと思うけど」
そう答えた。
言いながら、
そりゃあ、そうだ。沙羅でないんだから。
僕は、そう思った。
僕が、沙羅の体にいるとして、アレンが、僕。
という事は、沙羅の魂は、一体、どこにいるのか。
沙羅への関心より、
誰もいない筈の西の塔の怪異に、興味があった。
「行ってダメだよ。あの塔には、お嬢様やこの家に、恨みを持つ霊が住んでいるって話があるんだ」
そう言われると行きたくなる。
「そんなに、恨みをかったの?」
「重税で、領地の民達は、苦しんでいたからね」
「ふうん・・。「
「おや・・忘れたのかい。お前も、食べる為に、親に売られたんじゃないか?」
「親の事は、忘れました」
そう言って、思い出した。
同じセリフを言っていた。
「親の事なんて、忘れたからな」
そう言った。
くそ親父。
生きているか?
僕も、親に捨てられたも、当然だった。
陶芸家の親父は、家に寄り付かず、暴力ばかりだった。
あんな親が、僕を薄情な男にした。
泣き叫ぶ母親もたくさんだった。
僕は、そんなふうに育っていったんだな。
異世界から来た事も、忘れ始めていた。




