この素材。僕が磨いてみようか。
僕。沙羅の朝は、早い.
一番鶏が、鳴く前に起き出して、水汲み.
一番鶏って、名前の鳥がいるのかと、思っていたけど、
鶏の事なんだな.
朝早いのは、苦手だけど、夜寝ないのは、いつもの事だから、
寝ないで、水汲みに出かけた.
全身の傷は、不思議な事に、カロンにもらった薬で、
癒えていた.
「どうして、たくさんのドラゴンがいるの?」
僕は、聞いた.
不気味な暗い集まっている.
ハンターが来ると、逃げていくけど、
また、すぐ戻ってくる.
「どうして?」
「そのうちね・・・教えるから」
カロンは、何かを気にしていた.
「どこの城にも、こんなに、集まるの?」
「どこもではないよ」
「どうして、ここに?」
「う・・ん」
カロンは、何も言わなかった.
集まっているドラゴンの表情が、悲しそうに見えている.
誰かを待っている様な.
「僕には、言えないんだ」
「まだ・・・」
まだ、夜明け前。
東の空が、ぼんやりと明るくなる.
何か、カロンは、隠している.
恩人と思っている沙羅に言えない事.
そもそも、僕が、沙羅の体に移ったとして・・・。
僕の顔をしているアレンがいて.
沙羅の魂は、どの器に入っていのか、
わからなかった.
意味もなく、この世界に来たのか.
あの時、沙羅は、死んだのか.
ただ、意識をなくしただけなのに、
僕の起こした事故の後、
何が起きたのか.
この体の持ち主は、今、どこにいているのか.
「ずいぶん、大きな桶を持てるんだね」
後から、起き出したおばさんが声をかけてきた.
「昨夜も、大変だったんじゃないか?」
「あぁ・・ヒステリーですね」
僕は、答えた.
「そういう日があるみたいです」
「そういう日?」
おばさんは、目を丸くした.
「そんな事、言えるのかい?」
「まずいですか?当たっても、治るわけでない.後で、ハーブ茶でも、考えておきますよ」
「ハーブ?」
「あぁ・・・薬草かな」
「へぇ・・・」
おばさんは、僕の顔をしげしげ、眺め始めていた.
「おまえさん・・・何か、いつもと、違うね」
そうだった.
冴えない沙羅。
だとしても、
僕が、中に入っている以上、このまま、冴えないままでなんて、居させない。
僕は、ローズマリーで、髪を洗い、頭のてっぺんで、編み上げていた。
ラベンダーで体を洗い、大きな花を編んだ髪の中に挿していた。
動きやすいように、裾をふわりと結んだ、スカートは、サルエルパンツの様に見えた。
「ふんふん」
おばさんが、鼻を鳴らした。
女の紐?
僕の得意な事。
クラブの女性達を、綺麗にする事が楽しかった。
沙羅を綺麗にする?
そんな事、考えた事なかった・・・。
が、
この素材。
磨いてみようか。
僕は、初めてそう思った。




