爬虫類が心配する者
こんなムチを人に使うか?
避けても、容赦なく振り落とされ、肉が裂ける。
床を打つならし、逃げ回る僕をしつこく追いかける。
「こんな・・・」
こんな綺麗な顔をして、酷い事をする。
仮面の様な顔。
感情が見えない。
強烈な痛みが、全身を走り、
僕は、悲鳴をあげる。
「止めてくれ!」
体は、女性なんだ。
こんな卑劣な事、できるか?
心は、男でも、体は、脆い女性なんだ。
いくら、気のない女性だったからって。
何度も、悲鳴をあげる僕は、ふとした事に気がついた。
「え?」
多くの視線を感じる。
窓の外だ。
多くの目線が、僕を見ていた。
外には、
そう。
屋根の上に、多くの爬虫類が住んでいた。
窓辺には、多くの香草が、下り、何かを避けている様だった。
「ぎゃっ!」
思わず、ムチが、頬を擦り、僕は、大きな悲鳴を上げた。
その瞬間、窓ガラスに何かが当たった。
「えぇ?」
たくさんのコウモリが、窓の外に群がっていた。
まるで、
僕の悲鳴に反応する様に、外にいる爬虫類達が、
動きを強めていった。
中に入ろうとするが、
何かが、邪魔をして、中に入れない。
「外にいるのは・・・」
僕は、目を凝らそうとした瞬間。
後頭部に一撃を喰らって、そのまま、意識を失った。
あとで、
わかった事だが、
シャイルニアお嬢様は、
城主に甘やかされて育った。
感情の制御ができない。
僕の存在が、気に入らないらしく、
死なない程度に、
僕をいたぶって楽しんでいた。
僕を叩いていたムチも、元は、馬様だったが、
僕が、死なない程度に、傷つくように、歩く改良されたものだ田。
沙羅は、こんなに、憎まれる存在なのか。
僕は、無関心だったけど、
こんなに、彼女を憎む感情はなかった。
彼女をこんなに憎むなんて・・・。
意識を失った僕は、
何かの気配を感じて、目が覚めて。
それは、
窓べに群がった
小さな爬虫類達で、
その中に居た
一匹のカメレオンだった。
「窓を開けて」
そう言っている様に聞こえた。
「話す事ができるの?」
屋根に見えたたくさんの爬虫類達を思い出して、
僕は、ためらった。
「そこに下がっている香草を、向こうに投げて」
窓辺に下がる香草を、外せと言ってきた。
「それがあると、入れない」
「入るって、どうして?」
「薬を渡したいから」
「誰に?」
「いつもの様に、あなたに」
「僕に?いつもの様にって・・・」
「傷が残らない様にしないと」
外にいる爬虫類達は、沙羅の身を案じていた。




