どしようもない奴
羽衣石 朝陽。
僕。
名前だけ立派。
午後の日差しが当たる壁を見つめ、ぼーっとしている。
みんなは、午後の授業。
変わりない大学生活。
僕は、どうだろう。
昨夜、飲みすぎた。
バイトで、飲み過ぎ。
酒好きには、たまらない。
生まれた時から、貧乏の僕は、特別な才能もなかった。
見た目がいい事?
うんうん
口が上手い事。
それだけで、生き延びている。
愛想もいいかな。
三流大になんとなく通いながら、勝利を模索している。
何になりたいかなんて、わからない。
適当に、女の子と付き合って、
金持ちの子と結婚できればいいかな?なんて、考えている。
特に好きな子とかは、いない。
勿論、恋愛なんてした事がない。
「綺麗な顔に産んでやったんだから、感謝しな」
アバズレの母親によく言われた。
あんな・・。
女でも、子供を産めば、母親になるんだ。
僕は、家族の繋がりを知らない。
「今日は、休むの?」
この部屋の持ち主。
紗羅。
苗字は、よく知らない。
たくさん居る恋人の一人。
いや・・・。
正確に言うと、恋人でもないかな。
昨夜は、飲み過ぎて、紗羅のマンションに転がり込んだ。
その後、何があったか、なんて、覚えていないが、
紗羅h、僕が恋人だと思っている。
少し優しい言葉を掛けて、
優しく抱きしめる。
それを繰り返すだけで、紗羅は、僕の言う事を何でも、聞いてくれる。
都合のいい女。
見た目も、
そのへんに居る平凡な子と変わらない。
たくさん居る中から、紗羅を見つけろって、言われたら、
見つけられるかな?
僕は、紗羅の顔をまじまじと見つけた。
「なあに?恥ずかしい」
「そうか?」
全然、魅力のない身体。
今どき、小学生だって、女性らしい体しているって。
線の細い顔。
金持ちの娘でなかったら、
僕は、来ないだろうな。
そんな事を考えていた。
このまま、紗羅に既成事実を作り上げて、結婚する方法もある。
別れる時は、慰謝料をたっぷり、貰えばいい。
紗羅が、僕から離れたいって、言えればいいけど。
「今から、行っても仕方ないだろう?」
僕は、ベッドから起き上がった。
「まっすぐ、バイトに行くよ。送ってくれる?」
「う・・ん」
紗羅は、何か、話したい様子だった。
そう言えば、咲夜、帰宅した時にも、大事な話があるって、
言っていたような?
「何か、話があった?」
「う・・ん。それなんだけど。車の中で、話す」
それは、予測のつかない話だった。