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チートな異世界戦記  作者: sasurai
第一章 用意周到
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第二十話 後悔しても遅い話

今年最後の投稿です。


それではみなさん良いお年を。


反応があった場所は村のもう一つの出口の方だった。

そこには若い男性二人が馬車に重そうな荷物を運んでいた。

馬車は全部で三台。

内二台に山賊が乗っていた。


(もう一人の姿が見えないな・・・。様子を見よう。)


もう二往復ほど荷物を運びこんだころもう一人出てきた。

竜也は鳳凰と麒麟を二人に投げつけた。


ヒュンッ!ヒュンッ!


二本は一つが首に。

もう一つが頭に刺さり即死だった。


(残り一人!!)


しかし、ここで最後の一人が竜也に気付き馬車を走らせ逃げてしまった。

直ぐに追いたいところだがまずは二人の男性に話をしなければならない。


「大丈夫か?」

片方の男に話しかける。もう一人は疲れているのか座っている。


「あ、あんたは?」


「俺はこの村の警護に付くはずだった者だ。」


「そうか・・・。だがそれももう終わりだ。金目の物は全部あいつが持って行った。」


「・・・取り返してこようか?」


「何?」


「急げばまだ追いつける。取り返してくるか?」


「頼む。ついでにあいつを・・・!」


「分かっている。あっちの小屋に女達がいる、少しの間見ていてやってくれ。」


「分かった。気を付けてな。」


突き刺さった鳳凰と麒麟を抜き、式神の馬を呼びそれに乗って追跡を開始する。







時間にして数分。

いや、あるいは数十秒しかたっていなかったかもしれない。

もっともそんなこと今の竜也には全く気にも留めていないが。


「あれだな・・・!」


追い抜きざまに手綱をぶった切った。

手綱が切れたことに驚いたのかいきなり追い抜かれたことに驚いたのかは知らないが馬は転倒した。

山賊は転倒の拍子に森に投げ出された。

俺は馬から降りて森に入った。

山賊は投げ出された勢いで木にでもぶつかったのか立ち上がれなさそうだった。


「ヒッ!!」

どうやらこっちに気付いたようだ。


「ま、待て!俺と組まねえか!?」

何か言っている。凄ェ耳障りだわ・・・。


「お前ほどの腕と俺の統率力が合わされば無敵だ!報酬もたんまりやるぞ!!」

必死に俺の気を引こうとする。酷く醜く見える。


「そ、それに高価な武器や防具を手に入れたら・・・。」


「・・・うるせえよ。」


「!!」


「そんな物はどうでもいい。お前らは人としてやっちゃいけねえことをしたんだ!」


「許してくれっ!もうこんなことはしねえ!?本当だ!!」

もう聞きたくもない。


キンッ!


「ガァッ!」


金属同士がこすれ合うような音と供に喚いていた男の喉を斬った。

血が止めどなく溢れ出てくる

これはもう重症だ。

助かるはずが無い。

しかし、それでもここから逃げようと斬られた喉を押さえながら必死に逃げようとする。

俺は近づき心臓めがけて刀を突き刺す。


ドスッ!


二度三度痙攣して動かなくなった。

静寂が場を支配した。

得物を抜く


(これで全部か・・・。)


ポタン・・・ポタン・・・。


何処からか水たまりに水滴が落ちる音がする。

いや。

水滴ではない。

自分の刀から斬った男の血が落ちて血の溜まった場所に落ちている。

自分の体から急速に熱が引いていく感じがした。

死体を見る。


血を流すだけの


動くことのない


タダノニクノカタマリ・・・


「うっ!!」


刀を落とし(ヘルム)を乱暴に脱ぎ捨て、近くの木の根もとに盛大にぶちまけた。


「ぐっ!・・・ゲホッ!」


昼に食べた物が吐きもどされる。

同時に今まで殺してきた賊を思い出し、また吐く。

暫く吐いて胃の中に何も無くなってから竜也は寝転がった。

空は曇天だった。

今にも雨が降りそうな空模様だった

そんなことを思っていると本当に雨が降ってきた。

最初はポツポツとまばらに降っていたが、やがて小雨になった。

自分の顔に雨が当たる。

竜也は何も考えられずただ雨に当たっていた。







あれからやっと体を起こし、村に帰ってきた。

ちゃんと兜を被り直し鳳凰を鞘に納めて戻ってきた。

取られた物は全部馬車と一緒に運んできた。


「あ!お戻りになりましたか!?」

見るとさっき座っていた男が近寄ってきた。


「・・・取り返してきた。」


竜也の心はまだ沈んだままだった。

元々彼は山での修業経験があるのだ。

動物を捕まえてそれを調理した経験もある。

しかし、殺したのは野生動物のみ。

喧嘩の時も相手に怪我を負わせたことはあっても殺したことは無かったのだ。


「ありがとうございます!」

九十度に腰を曲げて頭を下げる。


「いや・・・。」

沈んだ気持ちを押し殺し答える。


「あの、もう一つ私たちの頼みごとを聞いてもらえませんか?」

怖々と聞いてくる。


「何だ?」


「はい。生き残った村人は全員街に移動しようかと思い、その道中の護衛を頼みたいのですが・・・。」


正直言うと、そんな頼みごと断って早く家に帰りたいと思った。

だが、生来の性分で断ることはしない。


「・・・分かった。」


「何から何まで感謝してもしきれません!」


「それで、歩いて行くのか?」


「いえ、無事馬車を使って移動する予定です。怪我をして歩けない人もいるので。」


「それなら、俺が直してやろうか?」

回復魔術は使えるから先天的なものでなければ大丈夫だろう。


「・・・え?治療もして下さるのですか!?」

これにとてつもなく驚く青年。


実はこの世界。

相手を殺傷系魔術は普及しているが、回復などの治癒系の魔術はあまり伝わっていない。

殺傷系の場合は本人の魔力と魔術を使える才能が必要だ。

これでもかなり絞られる。

回復系はこれらの中に含まれていて治癒系の才能が不可欠なのだ。

さらに言えばその才能があっても高い才能でなければ効果は極めて低くなる。

だからこの世界では回復魔術を使える人間は極わずかしかいない。

その大多数が魔法都市と呼ばれるところで働いているがそんなこと竜也が知るわけが無い。


「けが人を一か所に集めてくれ。その方がやりやすい。」


「は、はい!分かりました!?こっちに集まっているはずです。」


青年が歩き出す方に付いていく。

人を助けるために人を殺した。

そんな矛盾が彼の中でグルグル回りながら。



ダークです。

とてつもなくダークです。

今回は竜也が始めて人を殺してしまったという葛藤です。

こういう異世界系では無くてはならない話です。(一部例外はありますが)

今まで多くの喧嘩でならしてきた彼ですが。

実際の戦場とわけが違う。

ということも書きたかったんです。

それでは今日はこの辺で。

次はその後です。

投稿はなるべく早めにします。

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