第十四話 雨降って地固ま・・・・・・・らない
遅れてしまいました。
大変申し訳ありません。
---------------------sideレイス------------------------
「邪魔をするなら叩きつぶす!!」
周りの追跡者。
いや。
本当は彼女のよく知る人物たちが臨戦体制に入っていた。
各々の武器を構える。
彼らは私が知る限りの精鋭。
元論。
世界にはもっと強い人物がいることは知っている。
しかし、その人物がそう都合よくいるわけではない。
隣の人物を見る。
「?」
彼もこちらを見ている。
まるで今の状況が分からないような顔をしている。
(このような方が強いわけがない。)
彼女も武術の心得があるから分かる。
彼には武術家にあるべき覇気を感じられなかった。
つまり素人。
しかもこのような場面にあったことが無いような。
(ここは私が時間を稼ぐしかない!)
この人数で勝てるとは思えない。
だが、しばしの間は稼げる。
ダッ!
追跡者らが動いた。
私は、前に出て庇おうと前に出る。
しかし、
バッ!!
それよりも前に彼が飛び出した。
しかも速い。
彼女も武術家なので動体視力は人一倍良い。
だが、彼の動きは見切れなかった。
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
追跡者たちも驚いている。
ドゴッ!!!
一番前にいた短剣を掴んでいた者が吹き飛んで転がっていた。
吹き飛ばしたのはこの場でただ一人。
彼女が身を呈してまで助けようとした、青年だった。
レイスの常識が覆った瞬間だった。
---------------------side out-----------------------------
しばしのにらみ合いの後、一斉に襲いかかってきた。
自分だったらそんなのどうってことないが、今は後ろに守らなければならない存在がいる。
(まずは敵の数を減らすのが最優先か。)
自分の体を魔法で強化させ縮地を使い突撃した。
まず、一番前にいた奴に一気に近づいて、裏拳でぶっ飛ばした。
ドゴッ!!!
ゴロゴロと広場の端まで転がって行く。
(皆驚いているな。だが、それは命取りだ!)
また縮地を使い、相手の後ろに回り込み回し蹴りを打ち込む。
ガスッ!!!
盛大に顔面から倒れて昏倒する。
そんなことを繰り返して確実に無力化していく。
「固まれ!!固まってお互いの死角を補って牽制しろ!」
美青年が指示を出す。
真っ先に驚きから脱し的確に指示を出すのは称賛ものだった。
あくまで常人の範囲でだが。
「オラッ!」
一番離れていた奴に近づき軽く怯ませて、両肩を掴み思い切りジャイアントスイングのようにぶん回した。
ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!
「ドリャーー!」
三人くらいにかたまっていた奴らに投げる。
砲弾のように飛んで行ってまとめてなぎ倒す。
「くっ!」
一人がレイスに向かって走り出す。
レイスは逃げようとするが。
「まあ待てよ。」
そんなことさせないぜ。
「ヒッ!」
俺はまん前に出てUターンして逃げようとする奴の襟と腰の部分をつかみ持ちあげて、地面に叩きつけた。
他の奴らは家の壁に背を取り背後からの奇襲に備えていた。
弓を持っているやつは矢を番えようとしていた。
剣を持っているやつは前に突き出して正面からの攻撃に備えている。
「面倒だ。」
バスケットボールサイズの火炎を二百個位作る。
それを残りの奴らに一斉にぶつける。
ドゴン!!バゴン!!ドカン!!
盛大な花火が上がる。
一応言っとくがこれまでの攻撃と今の攻撃も含めてちゃんと手加減している。
いくら頭に血が上っているからってそこら辺は冷静だ。
「ふう~。」
片づけたな。
そう思っていると爆煙の中から誰かが飛び出してきた。
あの美青年だ。
火傷の痕があるが真っ直ぐ向かってきている。
「もうちょっと待ってて。」
後ろにいるレイスに伝えて横に五メートル程移動する。
美青年君は進路を変えてこちらに来る。
この場での最優先事項が竜也を倒すことに変わったらしい。
(その判断は間違ったものじゃないな。)
彼は近づいて拳と足の連打を竜也に繰り出すがひらりひらりとかわす。
よく見れば彼は他と違って武装は手甲と脚鋼だけだった。
素手で剣を持つ者に勝つには三倍の実力が必要だ。
つまり素手対素手になれば実力差は三倍になる。
(まあ、俺もそのうちの一人なんだがな。)
避けながらどうでもいいことを考える。
完璧に見切っているので避けるのはたやすい。
いかに三倍の実力があろうと、竜也はそれ以上の実力がある。
なれば、彼がどう頑張るろうと勝てない
なのに彼は攻める手を止めない。
むしろさっきより激しい。
「なあ、もう終りにしようぜ。どうせ実力差分かってんだろう。お兄さんは怒って無いからさ。」
「うるさい!!貴様のような危険人物にお嬢様を近づけさせるわけにはいかない!!!」
あー、なるほど。俺があまりにも驚異的で、得体のしれない奴だから安全を確保しようとするのか。
逆上して攻め立てる。
かわし続ける。
(しょうがない、叩きのめすか・・・。)
右ストレートを左手でさばきつつすくいあげるように手首を回し、そのまま腕を脇に挟めがっちり固定する。
そのまま右拳を腹に叩きこむ。
「ガッ。」
肩を掴み頭突きする。
「ぐわ。」
最後に背負い投げのように投げ飛ばして、顔面に拳をすれすれのところで止める。
「・・・。」
どうやら完全に戦う気が失せたみたいだ。
大の字に寝て茫然とこちらを見ている。
無視して立ち上がりレイスのところに行く。
「レイス。怪我はないか?」
「は、はい。おかげさまで大丈夫です。」
「そうか。良かった。」
とりあえず無事みたいだ。
「それで、どうする?」
「え?どうするとは?」
「こいつらのことだよ。」
襲撃者達を指さす。
「もし、まだ回りたいところがあるなら案内するけどこいつらに妨害されるのは嫌だからしばらく気絶してもらうとか。」
「・・・いえ。それには及びません。」
彼らに近寄るレイス。
「街の案内はもう十分してもらいました。そろそろ帰らないといけません。」
そう言って倒れている奴らに目を向ける。
「彼らは私の警護の者なのです。本来ならば私は家を出てはいけないのですが・・・。」
なるほど。それで血眼になって探しまわっていたのか。
「分かった。それはそうとこいつら治療してやろうか?」
襲そわれはしたが、自分でも結構やり過ぎた感じはした。
「治療ですか?」
「うん。殴っておいてなんだけど。」
「いえ、お願いします。」
「よし、それじゃ一か所に集めさせておいて。」
「?分かりました。」
一か所に集まる。
「ベホマズン!」
お詫びも兼ねて全回復の方がいいからな。
「す、凄い・・・。」
瞬く間に全員の傷がふさがる。
「これで、大丈夫だ。」
全回復だし。
「それじゃ、俺はもう行くよ。」
別れもそこそこにして立ち去る。
色々聞かれると面倒なんだ。
レイス達はただぼうっと彼が去って行くのを見続けた。
今回は長めです。
おまけにほぼ丸々一話戦闘です。
やはり、戦闘シーンは難しいですね。
他の方の小説は短く終わらせることが出来るのに、作者はだらだらと長くなってしまいます。
次回は家を購入します。