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生徒会議事録だよっ☆  作者: masterpiece (村右衛門&モ虐)
6/8

生徒会室防衛戦議事録

「いやぁ、人手不足やな」

「そうですねぇ」

「そろそろ深刻になってきてるよな…………2年生しかおらんけど体育祭どうするんこれ」


 前々から話題に上がっていた人手不足問題。

 アニメに出てくる生徒会のようにいろんな権限を握っているわけでこそないものの、ポスター作成などの作業や行事の運営など幅広い事を請け負っているのが生徒会である。

 人手が足りないと何かと不便ではあるがもちろん誰でも良いわけではない。


「話は聞かせてもらったッ!!」

 勢い良くドアを開けて乱入してきた高橋祐介は、

「帰れ」

 勢い良くドアに向けて突進してきた石井美緒に突き飛ばされた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 と、思われたが

 実際には祐介が見事にカウンターを決めたため突き飛ばされたのは美緒だった。

 とはいえ、祐介もある程度加減しているので美緒は突き飛ばされたとはいえその場でよろける程度で、コケずにすんでいる。

「危ねぇ……生徒会室で暴れんなよ…………なぁ大輔?生徒会って蛮族の集まりやったっけ?」

「その聞き方だと僕も蛮族にされてない!?」

「君の、"精神を突き刺す槍(理論武装:正論パンチ)"を武器と見なせば十分すぎるくらいに蛮族や」


「なぁ高橋、それって普通に頭脳派じゃね?」

「私が蛮族扱いされてることにツッコむ人おらんのなんでなん?」

 超が付くほどレアな里奈の冷静なツッコミと、美緒の悲痛な叫びをスルーして祐介は大輔を見つめる。


 物理的な強さはおそらく皆無であろう大輔だが、流石は実質的生徒会長というべきか、言葉の武道にはある程度心得がある。

 Twi●terと呼ばれ続けるSNSでレスバをさせたら、そんじょそこらのインターネットの住民相手だと勝負にもならないだろう。

 ファクトチェックの精度もGr●kより高いだろう。

 そんな大輔もSNSのレスバが主戦場ではない。


 大輔の主戦場は学校。

 校則に関しては一語一句違えず暗記しているため校則の穴を突こうとする行動も場合よってはその欠陥を突いて、止めることができる。

 運動以外の才能があまりにも高すぎると生徒も先生も認める最強の生徒。

 大抵の生徒は大輔に対して「あの人はバケモン。 すごすぎる」と尊敬している。捻くれ者と親しいものは例外だが。それでも大輔はそれほど人に慕われている人間でもある。


「まぁ、学校のカースト最上位の蒼井が一目置くような存在やからなぁ

精神的暴力による戦争で勝ち抜いた歴戦の王やろ」

 ーーーー蒼井拓也。

 運動神経は抜群。頭脳も大輔ほどでこそないが学年で考えても10位以内には確実に入ってくるであろうほどの実力を持っている。

 大輔と里奈、美緒、瀬崎などがトップを争っている中そのちょっと下にいるイメージだ。

 ザ・陽キャというべきか、友達が周りに多い。しかも友達じゃない人でも容赦なく絡みに来るタイプだ。


「まぁ、蒼井くんが僕のことを一目置いてくれているのはありがたいことやけど……そんなふうに思われるのは少し心外やね」

「じゃあなんで蒼井だって成績悪いわけじゃないのにあそこまで大輔に執着するんだ?」

「生徒会長の座でも狙ってるんじゃない? 絶対あげないけどね」

 …………ありえそうだなあのクソ陽キャなら。


「話が脱線しまくったけど、人手不足なんやろ? 俺がお手伝いを……」

「させませんよ?」

「させるわけないやん」

「なんでできると思ったん?」


 生徒会室から追い出されそうになった祐介は手をバタバタさせながら必死に抵抗をした後、慌てたように(・・・・・・)大きな声を上げて叫ぶ。

「おい大輔さん!? 『生徒会役員共って結局何してんだ?』的なこと思ってるやつが増えてきて困ってるんちゃうん? 一つ素晴らしい提案を持ってきた」

後半は祐介の表情に余裕が戻ってきたように(・・・・・・・・)見えた。


「…………一応聞くだけ聞いてみましょうか」

「生徒会ラジオを学校で放送するんよ」

「「「生徒会ラジオ?」」」

 祐介はどこからともなく資料を取り出し、大輔達に見せる。

 給食時間中に放送を行い日々の活動について話したり、事前に来ていた質問に答えたりするラジオ形式の放送を行うための企画書であった。

 給食時間中の生徒会による放送の許可を記した紙まで用意されていた。


 給食時間中に放送、というのも生放送である必要はないので事前に収録していたものを流せば生徒指導部等の承諾を得やすいこと、トラブルを未然に防げること、生徒会本部のメンバーのランチタイムを確保できること、などなどかなり具体的に案が練られており…………


「まぁ、これを渡されてしまっては今すぐにでも出ていけというのもあんまりだね」

「そう言ってくれると思ったよ。じゃ、門番の蛮族……門蛮族さんとっとと退いてくれ」

「門蛮族ってなんなん!?」


 こうして、生徒会室の敷居を祐介は跨いだ。




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