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遺跡


戦士「さて、そろそろ再開するか」


通路のドアを開けて少し探索すると部屋のような空間が広がる場所へと出た。


部屋ともよべるような構造で、今入ってきたドア以外に対角線上に2つもドアがある。


スカウト「ドアだらけだと、分岐点になるからめんどくさいな」


魔剣「この場所はドアだらけの空間だから拠点にできないな」


戦士「とりあえず、どちらかのドアをくぐるしかないな」


ドアを開けた先には、曲がりくねった細い通路があった。


スカウト「またドアがあるぞ」


スカウトはうんざりした感じで言った。


僧侶「開けないで進んでみますか?」


一行はドアを開けずに進むと、通路の進行方向右手にまたドアが現れた。


スカウト「これも無視するぜ。左手に沿って移動中だからな」


また曲がりくねった通路の行き止まりにはドアがあった。


戦士「ドアか・・・・」


スカウトは慎重にドアを開けて中を覗き込んだ。


そこには広い空間が広がっていた。


スカウト「ん?ここはさっき通ったドアが多かった部屋だな。うちらの足跡がある」


僧侶「1周してきたということですね」


魔剣「そのようだな」


スカウト「では、さっきのドアをでてすぐのドアに入るか」


一行はまたもスカウトを先頭に歩を進めた。


細い通路の先にはドアが見える。


戦士「ドアドアドアドア!めんどくせーーー」


スカウト「騒ぐと魔物が寄ってくるぞ」


慎重にドアを開けると、さっきの部屋に戻ってきた。


スカウト「またこの部屋か。最初にこの部屋に入ったドアだったのかこれ」


魔剣「マッピングに苦戦しているようだな」


スカウト「すまんな。正確に距離を測って書いているわけじゃないから、どうしてもな」


魔法使い「地図の魔法つかって調べてもいいんだけど、大事なリソースだからね」


戦士「地図魔法のアイテム購入すべきだったか」


スカウト「今言っても始まらん。あきらめろ」


一行は地図とにらめっこし、進むべき方向を見出した。


先ほど進行方向右手にあったドアの前に立ち、ドアをあけた。


そこには先ほどの部屋の倍以上の広さの空間が広がっていた。



スカウト「あちこち壁が欠けまくった大部屋みたいな造りの空間とその欠けた壁から延びる通路の連続。

カンベン願いたいね、マッピングがひどいことになっていく」


戦士「まださっきのドアドアドア通路通路通路な方がよかった?」


スカウト「マッピングを記入するだけならな」


魔法使い「一度地図魔法使ってみる?」


魔剣「スカウトさん、おおよそ町へのワープ方向は把握してるんだろう?」


スカウト「まあな」


戦士「ならば地図魔法は控えておくか」


魔剣「スカウトがマッピングに苦労しているところをみると、

一度魔法でスカウトの頭の整理をした方がいいかもしれんぞ」


僧侶「なるほど」


魔法使い「どうするの?魔法使う?使っていいの?」


戦士は皆をみまわし、使うように促した。


魔法使いの前に等身大の地図が表示された。


魔法使い「今日、私たちが歩いたとこしか表示されてないからね」


スカウト「十分だ。助かった。地図を修正して、、、と」


スカウト「進む方向が見えてきた。行こうか」


魔法使い「よかった。役に立てたっ」


僧侶「戦闘でも十分役に立ってますよ」


戦士「ああ、この階層はゴブリンと犬だらけで睡眠撲殺作戦がスムーズだったからな」


スカウトがドアを開けると、部屋のような空間が広がっており、休憩に適した場所だった。


スカウト「さっき休んだが、どうする?」


スカウトは部屋を探索しながら返事を待っていた。


戦士「階段が見つからないということは、どこかにシークレットがあったか、

まだ歩いていないとこにあるか」


僧侶「歩いていないところを潰して、ダメならシークレット探しでしょうか」


そんなやりとりをしていたとき、スカウトが何かに気づいた。


スカウト「なんかスイッチみたいなのがあるぞ?」


戦士「なんだろうか」


魔剣「押したいが、トラップの可能性もあるな」


スカウト「少し調べてみる」




スカウトが調べている間、ほかのメンバーは入口を警戒していた。


スカウト「罠ではないようだ」


戦士「じゃあ押してくれ」


スカウトは頷くとスイッチを押した。


・・・・


何も起きない。


戦士「ん?何も起きてないが?」


魔法使い「だれかが仕掛けたイタズラ?」


スカウト「そんなことする奴いるか?こんなとこで」


魔剣「さっきの真っ暗部屋。あそこをもう一度見に行ってみないか?」


戦士「なぜだ?」


魔剣「そのスイッチであの暗闇トラップが解除される仕掛けだとしたら?」


スカウト「冴えてるな。その可能性にかけてみるか」


一行は先ほどの真っ暗部屋に向かった。すっかり休憩することを忘れて。




スカウトは慎重に真っ暗部屋のドアを開けると、部屋の片隅にわずかに光が射していた。


スカウト「お、ビンゴ!何かあるぜ」


僧侶「ランプ持ちも一緒に部屋に入って、ランプが消えたら私のランプ魔法を使って町への転移陣に行きましょう」


戦士「わかった」


一行が部屋に入り、ドアが閉まったがランプは消えなかった。


スカウト「さっきは何もなかったのに、光が射した場所がドアみたく開くようになってるぞ」


戦士「魔法のドアってことか」


ドアを開けて進むと通路とドア地獄が待っていた。


魔法使い「休憩に使えそうな部屋がたくさんね」


とあるドアを開けると、ものすごく広い空間に出た。

幅は100m以上あり、高さも10mはある広さだ。


そしてその空間には強固な城壁の様なものがあり、目に飛び込んできた。


戦士「なんだこりゃあ」


魔剣「過去の遺物。遺跡といったところか」


スカウト「お宝が期待できそうだな」


城壁の周りを探索するが何もめぼしいものは無かった。


戦士「ここに来るのもうちらが最初じゃなくて、すでにたくさん来ていたのかな」


魔剣「このダンジョンも発見されてずいぶん経過するからなあ」


今見たのとは反対側の城壁を見てみることにした。入口はどこだ?


スカウト「城壁の前に誰かいるぞ?」


戦士「ほんとだ」


慎重に近づくと数名の騎士に守られた魔法使いらしき人物が壁を見ている。


戦士「あのー」


戦士は警戒させないよう、離れたところから声をかけた。


騎士たちがこちらを見る。


騎士「なにかね」


戦士「何をしているんですか?」


騎士「君らも冒険者か。私たちは学者の先生の護衛だよ」


そういうと騎士は壁に向かって立つ魔法使いらしい人を指さした。


”君らも”、ということは他にも冒険者がいるってことだろう。


エルフの学者「この城壁の紋章。かつては地上にあった国の紋章だな。

遺跡ということになるが、、、地上にあった城が地盤沈下か何かで地下に落ちたのか?・・・」


学者は何やら考え込んでいる。


学者の奥には城壁内部への入口が見えた。


入口付近の城壁前にも誰か立っている。


モコの学者「随分と昔にも、今と同じようにダンジョン地下へ侵入した歴史があったと文献にあるが、

何が目的だったのやら。ところで君らは財宝、つまり遺物狙いかね?」


ウソを言ってもしょうがない。


戦士「そうですよ」


モコの学者「そうか。まあ地上でじっくり遺物観察できるし、持ち出しはよしとするか」


騎士「城壁内部はところどころ、崩れやすい。気を付けろよ」


スカウト「敵意はないし、遺物収集の邪魔をするわけでもないようだな」


戦士「遺物があるか探してみよう」




城壁内部を探索していると話し声が聞こえてきた。


ドアを開けると別の冒険者の一団がいた。


身なりのいい冒険者「もっとお宝があると聞いていたのに、何もないじゃないか」


冒険者1「坊ちゃま。我々はダンジョン探索の後発組です。

過去の冒険者がすでに持ち去ったのでしょう」


冒険者2「今はこちらにある小物で我慢してくださいませ」


身なりのいい冒険者「それならば、もっと地下へ行くことにしよう!

そうすればきっとイイモノがあるに違いない!」


女性冒険者「あ、あの。そろそろ残りの魔法力が少ないので一度戻ったほうがよろしいかと・・・」


見なりのいい冒険者「くっ!ここは一度戻るしかないか。

また全滅でもしてハゲタカどもに金品を奪われてはかなわん!」


冒険者1「素晴らしい判断です!ぜひとも一度帰還しましょう」


身なりのいい冒険者がこちらの存在に気づくと話しかけてきた。


身なりのいい冒険者「なんだ?盗み聞きとは気持ち悪い!道をあけろっ!」


そう言うと部屋を出ていった。


女性冒険者「お騒がせしました・・・」


一礼して一団は去っていった。



スカウト「金持ちのドラ息子の相手をするのも大変だな」


そう言うと再び探索に戻った。




今度は衛兵が現れた。どうやら祈りを捧げているようだ。


衛兵「一応侵入者になるからな。

過去の住人の冥福を祈ることで自身の罪悪感を薄めているのさ。ハハッ」


そう言うとまた祈り始めた。


戦士「いろんな奴がいるな。皆あの真っ暗部屋トラップに気づいたってことか?」


スカウト「どうだろうな。シークレットがあったのかもしれんし、別通路があった可能性もある」


僧侶「こっちへ来てください」


僧侶が大声で皆に呼び掛けた。


声のする方に集まると、広い部屋に出た。

そしてその部屋の左右にはドアがあり、ドアに何か書かれている。


まずは片方のドアに近寄り、何が書いてあるかを確認した。


”作戦会議室”


魔剣「作戦会議室?とりあえず入ってみるか」


中に入ると、がっしりとしたミスギル製のテーブルがあった。


ミスギル製。

かつて天上人が使っていたとされる魔法金属「ヨスギル」をまねて地上種が作成した魔法金属。

簡単に言えば、ヨスギルの劣化版である。



戦士「確かに遺物だが、、、いかんせんデカすぎるし、重すぎる」


僧侶「皆そう思って放置していったんでしょうね」


魔法使い「うちらも同じ判断ね」


スカウト「収納魔法でも入らないな」


魔剣「まだ奥があるぞ?」



”給湯室”


スカウト「何もない部屋だな。別の部屋を探索しよう」



”武器庫”


戦士「これは期待できるぞ」


魔法使い「そうかなぁ」


戦士は期待して中に入ると、そこには何もない空間が広がっていた・・・


全部地上へ運ばれた後のようだ。


部屋の奥にまたしても人影がある。


粗末な鎧の冒険者「いやー、矢の1本でも落ちてないか探してるんだよ。

お金が落ちてると一番うれしいがね」


戦士「だめだこりゃ」


おーい!


スカウトの呼ぶ声がした。


一行が集まると、スカウトの前にはドアがあった。


スカウト「地下への階段だ」


魔剣「なんと、こんなところに」


スカウト「いったん戻った方がよくないか?」


戦士「そうだね。通路も把握したし戻ることにしよう」


一行は地上へ向けて移動を開始した。

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