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訪問

夜が明け、明るい世界が広がった時間。

大聖堂の入口はいつものように訪問者がたくさんいたが、その中に異彩を放つ集団が現れた。

浮遊大陸勢の獣人種護衛10名と天上人4人だった。

入口にいる司祭は、他の冒険者への対応と同じように接した。

冒険者を相手にしていれば変わった組み合わせのパーティーなどいくらでもいるせいで、彼らは対応に慣れていたといえる。


司祭「ご用件は何ですかな?」


いつもと同じ、他の冒険者にするのと同じセリフを吐いた。


天上人「大司祭様に取次ぎを。浮遊大陸の者です」


ニコリと笑顔で返答すると、司祭はこれは大変と、使用人ではなく自身で報告に走った。

大聖堂に消える司祭を見送り、浮遊大陸勢はその場に待機した。

最高級品であるヨスギル製品一式で武具を揃えた武人が10人もいる。

他の冒険者からの視線を彼らは集めていた。

しかし護衛たちは引率者である天上人の指示に従い、特に威嚇することもなく立っていた。


学者1「まさか前回の交渉が成功したからって、また地上に来ることになるとはね」


学者2「今回は闇の宝珠の分離作業があるから、それだけは楽しみだな」


学者1「確かに、好ましくない場所だけど、滅多にというか、まずお目にかかれない場面に立ち会えるなら、この"汚れ役"も悪くないかなって思えるね」


学者2「これはいいレポートが書けそうだ」


最初は気持ちの沈んでいた2人の学者だったが、これからの大事業に立ち会えることへの期待から気分はよくなっていた。

警戒心がゆるゆるの学者に変わり、護衛の10人は何があってもすぐに動けるよう、警戒をしていた。

しばらくすると、先ほどの司祭が戻ってきた。


司祭「お待たせしました。案内致します」


学者、技師、護衛は司祭の後について行って大聖堂の中に入っていった。



この少し前の時間。入口の司祭が浮遊大陸勢の訪問を知らせに来た時の大聖堂の様子は次のようなものだった。


司祭「大司祭様に浮遊大陸勢が来たと伝えてくれ」


入口にいた司祭は大聖堂の中にいる上級司祭に報告した。


上級司祭「承知した。では予定通りの場所に案内するよう動け」


上級司祭は司祭に指示すると、大司祭の部屋に走った。

大司祭の部屋の護衛に状況を説明すると、大司祭の部屋に入るように促された。


上級司祭「大司祭様。ついに浮遊大陸勢が来ました。ほんとに計画通りにしてよろしいのでしょうか?」


大司祭は自席から立つと、窓の外を見てから上級司祭を見て言った。


大司祭「かまわん。手筈通りにうまくやれよ」


それだけ言うとまた窓の外を見ていた。


上級司祭「直ちに騎士団に連絡します」


上級司祭は、そう言うとあわただしく部屋を出ていった。

そして大司祭の計画通りに騎士たちが大聖堂の中に配置されていった。

件の離れにある会議室には隊長格が配置され、襲撃の合図を待っていた。

そんな状況の会議室に浮遊大陸勢は案内されてきた。


学者1「大きな建物だと思ってましたが、離れまであるんですね」


学者は呑気に別棟に関して感想を述べていたが、同行した護衛達は部屋に騎士が配置されていることに気づいて警戒し始めた。


護衛「学者さんよ。なにやら腕利きの騎士様がたくさんいるが、これはどういうことだ?」


学者はそれを聞いて、自分では答えを導けなかったので、素直に案内役の司祭に尋ねた。


学者1「司祭さん。なぜこんなに武装した騎士がいるんでしょう?」


司祭「この部屋は特別でして、常に警護がいるんですよ。あなた方は特別なお客ですので、万が一にも賊の侵入があっては大事ですからね」


それらしい回答を貰った学者は満足し、護衛の方を見た。

護衛は納得していなかったが、これ以上のやりとりは無駄に思えたので警戒を続けて対応することにした。



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