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秘策

てっきりドラゴン金属の部隊を付けてもらえるものと思っていた天球長官は、想定外の回答が返ってきたことと、防衛長官の険しい顔つきから、ただ事ではないと察した。


天球長官「ほう。それは口外できないことかな?」


防衛長官「長官会議で報告する予定でしたが、ここで先にお話ししておきましょう」


天球長官は防衛長官の口ぶりから予想が当たっていると確信し、椅子に座りなおすと聞く態勢に入った。


防衛長官「問題というのは、ドラゴン金属の武具転用は認めないというメッセージが神の使いから届いたことです」


天球長官「ふむ。それで?」


防衛長官「ちょうど地上勢力と遭遇した我が部隊がドラゴン金属装備だったのですが、神の使いを名乗るリズマンが現れ、全滅しました」


天球長官「私の認識だと神の使いは長髪男女のペアだったはずだが?」


防衛長官「ええ。メッセージを届けにきた者は我々もよく知る長髪の男女ペアでした」


天球長官「ということは、神の使いには我々の知らない存在がいたということか」


防衛長官「はい。それも恐ろしいまでの戦闘力を備えています」


天球長官「メッセンジャーは長髪男女、実力行使はそのリズマンの仕事ということか」


防衛長官「恐らくは。我々の優位を確実にするためにはドラゴン金属の利用は何としても成立させたいところです」


天球長官「うむ。で、どうするのだ?」


防衛長官「そのリズマンをどうにかしないと、ドラゴン金属の部隊を動かせません」


天球長官「そういうことか。貴官の話だと、そのリズマンさえどうにかしてしまえば、あとはメッセンジャーの男女2人組だけだ。どうにでもなるだろう」


防衛長官「はい。リズマン討伐のために、隊長格と"極秘戦力"で構成した最高の部隊を奴に当てるつもりです。

その準備にはもう少し時間が欲しいので、今回の技師の護衛は通常戦力で我慢頂きたい」


天球長官「そういうことなら仕方ない。念を押すが、地上の奴らは今度は勘違いなどで技師を殺したりしないだろうな?」


防衛長官「そうならない為にも彼らと話し合いをし、撤退という行動を示してもらい、技師の派遣についても要望をもらっている」


天球長官「そうか。それならよい。防衛長官、貴官が知っているかは分からぬが、大事なことなので話しておこう。

天球調整技師は夜の無い時代には不要な職であり、仕事もない。

よってこれまでのように天球を安定させられるようになってからは、非常用の2名を現役配置、後世への伝授用に予備要員2名という極々少数で構成されている。

先の戦いで現役技師2名を失い、今回派遣するのは伝授用の予備要員2名だ。

彼らまで失うのは、天球調整の技の途絶を意味する。

それは我々浮遊大陸の人々にとって破滅にも等しいことだ。十分に安全を確保し、分離作業に臨んでほしい」


防衛長官「今回は彼らの要請もあります。技師を失うことは無いでしょうが、万が一、万が一、失った場合の策は無いのですか?」


天球長官「門外不出にするために口伝で継承されている。万が一にも彼らを失えば、あとは国家機密レベルで保管されている図書館の文書から探し出して

、調整方法を学ぶしかない」


防衛長官「最後の手段は残っているということか。それを聞いて少しは安心したよ」


天球長官「おいおいおい、今回の技師を失うようなことは無いように、くれぐれも頼むぞ?」


防衛長官「わかっております。今回は我々を地下種の手勢だと勘違いする輩もおりません。護衛も付けるので大丈夫でしょう」


天球長官「それならよいが・・・で、いつ出発するんだね」


防衛長官「あまり大勢の護衛で彼らを変に刺激したくないので、護衛の選抜をするのに1日ほどいただきたい。明後日には出発しようと考えています」


天球長官「明後日か。技師に伝えておこう」


防衛長官「ではこれにて失礼」


2人の長官は互いに礼をすると、防衛長官は転移室へ移動した。

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