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戦士達の報告3

隊長は軽く座りなおすと、質問を再開した。


隊長「その"中央"とやらには行ったのかな?」


戦士「いえ、ドアだけは確認しましたが、まだ中には入っていません」


隊長「ドアを目の前にしておきながら、どうしてだ?」


戦士「ドアを確認したのは"とある出来事"のあとでして、それも含めて急ぎ報告したほうが良いと判断して帰還しました」


隊長「出来事?事故か何かかな?」


戦士「距離にして50mほどでしたが、浮遊大陸勢力の獣人種部隊と遭遇しました」


隊長「ほうほう」


色々と追加で質問したい気持ちを押さえながら隊長は相槌をした。


戦士「戦闘になるかと身構えたところで、我々と彼らの間に1人のリズマンが急に現れました」


隊長「リズマン?獣人種の?それもたった1人か。ふむ」


戦士「身長が2mはあり、後ろに控える我々の魔剣職のリズマンより筋骨隆々といった体躯でした」


隊長「たかがリズマン1人がどうしたんだ?」


戦士「浮遊大陸勢力の約20名全員を一瞬で殺害しました・・・」


そう報告する戦士の両手がテーブルの上で小さく震えていることに隊長が気づいた。


隊長「20名を一瞬か。ただ事ではないが、最高位全体魔法でも使っただけ、というわけでもなさそうだな」


隊長はやや身を乗り出し、戦士に問いかけた。


戦士「魔法ではなく、剣で瞬きする間に"彼"はそれをやってのけたのです」


隊長はそれを聞いて言葉に詰まった。


戦士「そして自分は"神の使い"だと名乗っていました」


隊長は眉をひそめ、戦士を見て質問を再開した。


隊長「"神の使い"?聞いたことないな。1つ、いや2つほど確認したい」


それを聞いた戦士は、テーブルに落としていた目を隊長の顔に合わせた。


隊長「そのリズマンは両者の間。つまりは浮遊大陸勢力まで少なくとも10m以上は離れていたわけだ」


戦士「そうです」


隊長「攻撃手段は剣のみであるということで、よろしいか?」


戦士「そうです」


隊長「ふむ。先程の報告は、君の単なる言い間違えではないということか。うーむ」


隊長は両手を組んで少し考えているようだった。

そして背筋を伸ばして戦士の目を見ると、威厳のある口調で話し出した。


隊長「本件は大司祭様のもとで続きを行うものとする。よって、ここでの聴取はこれで終了とする」


隊長は横に立っていた騎士を指さすと、命令した。


隊長「お前は、至急、大聖堂へ戻り報告会をする旨、大司祭様に伝えよ」


今度は隊長が戦士の方を見ると、優しく語りかけた。


隊長「重要案件だと判断した。すまないがこれより我々と一緒に大聖堂まで同行してもらおう」


そういうと隊長は席を立ち、別の騎士に何かを指示すると部屋を出て行った。

そして、隊長から指示を受けた騎士が小走りで戦士のところへ駆け寄ってきた。


騎士「馬車を外に待機させているので、それにお乗りください」


戦士は頷くと席を立ち、後ろを振り返った。


僧侶「なんだか大事になってきましたねえ」


魔法使い「今度は大聖堂に移動かぁ」


ソーサ「メモ1枚で伝令走らせたり、報告1つで大聖堂行きとか、大司祭様は情報を相当欲しているようね」


戦士「とりあえず、言われた通り大聖堂までいきましょうか」


緊張した様子の戦士を見て魔剣が戦士に近寄り、肩に腕を回した。


魔剣「別に食われるわけじゃない。単なる報告だ。気楽に行こうぜ、な?」


魔剣は戦士の背中を軽くバンバンと叩くと部屋を出て行った。


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