戦士達の報告2
大柄な人「初めましてだな。私は大聖堂で騎士団の隊長をしている者の1人だ。横に座っているのは補佐官。まあメモを取る雑用係みたいなものだ、気にせんでくれ」
"雑用係"と言われた小柄な女性は、隣に座る大柄な男をちらりと睨むと、戦士たちの方に向き直った。
隊長「さて、椅子は3つしかないので、誰が掛けてもかまわんよ。残りは後ろに立って報告に参加してくれればいい」
かなりぶっきらぼうな言い方で、事務職というよりまさに現場の人って感じだった。
戦士「では私と、、」
戦士は左右を見て、フェアリーのソーサに目配せした。
戦士「私とは別パーティーでしたが、同行したセイジ職の方です」
紹介をしたところで、スカウトと魔法使いが戦士の両脇の席に着いた。
そしてその二人の両肩に紹介されなかったフェアリーたちが止まった。
紹介を受けたセイジ職のフェアリーはテーブルに座った。
隊長「はっはっは。かわいいフェアリー種のお嬢さんがたくさんだ。なるほど、これなら椅子は関係ないな」
今の発言に何かあるのか、隊長の横に座る補佐官の女性が隊長を睨んだ。
それを見た魔法使いは楽しそうな表情をしている。
隊長「さてさて、本題に入ろうか。浮遊大陸の探索報告とのことだが、聞かせてもらえるかな」
まじめな顔になった隊長は話を切り出してきた。
戦士「えっと、何から話したらいいものか・・・色々あったので・・・」
困惑する戦士を見て、隊長は質問で聞き出すことにした。
隊長「なるほどな。では質問といこう」
隊長は両の手のひらを目の前で組むと、テーブルの上に置いた。
隊長「制御室は見つかったかな?」
戦士「いいえ。それはまだですが、そこへ至る手がかりを見つけました」
隊長「ほう。どんなものだ?」
戦士「これです」
そう言うと戦士は1枚のメモをテーブルに並べ、隊長に差し出した。
隊長「ん?文字が書かれているな。・・・・読めん」
隊長は横に座る補佐官を見たが、そっぽを向かれてしまった。
隊長「これは何かな?書いてある文字がわからんのだよ」
テーブルに座っていたセイジ職のフェアリーが話に入った。
ソーサ「セイジ職のソーサといいます。それは古代文字で書かれており、意味は"中央"です」
隊長「ほう。して、中央とはどういうことだ?」
戦士「我々が浮遊大陸に侵入した建物から"中央"と呼ばれる場所に転移し、そこから"制御棟"という場所に転移できるそうです」
ソーサ「転移するにはドアに入るのですが、ドアの上には転移先が表示されていて、そのメモにある文字が書かれたドアに入れば目的地に近づけるということです」
隊長「なるほどな。"中央"とは目的地への中継場所の名前か」
隊長は後ろを振り返り、近くにいた騎士1名を呼び寄せた。
隊長「これを大司祭様にすぐ届けろ」
騎士「ハッ!」
騎士は返答すると、急いで部屋を出て行った。
隊長「すまんね。大司祭様から貴重な情報はすぐ報告するよう言われていてね。では再開しよう」