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説得

防衛長官の命を受け、大司祭に天球の調整では夜が消えないこと、闇の宝珠の分離が必要なことを説明するため、2人の学者は防衛管理室を出ようとしたとき、長官に呼び止められた。


長官「そうだ、1つ伝えておくことがある。我々の目的が闇の宝珠の分離であることを伝えるために、すでに出発した部隊があるが、彼らは地上種が勘違いしているということを知らない。急ぎ合流し、地上種に天球の調整では夜が無くならないことを説明してくれ」


そう言って1つの命令書を手渡した。


長官「先行しているのは軍人だ。それを見せたほうが早い」


学者「では急ぎ出発致します」


そういうと2人の学者は部屋を出て、地上へ行くための準備を開始した。


学者1「ペンダントを忘れるなよ?地上は闇の宝珠の力が強いからな」


浮遊大陸にいる天上人は闇の宝珠の影響を嫌っている。その影響から身を守るために、魔法のペンダントを付けて地上に行くことが多い。以前、ダンジョン宝物庫で遭遇し、始末した天上人もペンダントを身に付けていた。


学者2「またダンジョン経由で、宝物庫を通って地上に出るのか?」


学者1「いや、宝物庫の確認は終わったから、直接地上に降りる」


学者2「わかった」


準備を終えた2人は、地上への転移装置を使って浮遊大陸を後にした。

ダンジョン付近に転移すると、大聖堂の位置を確認するのを忘れたことに気づいた。


学者1「やっちまったな。大聖堂ってどこにあるんだ?知ってるか?」


学者2「いや、知らないな。街の人に聞くか」


その時、ちょうどダンジョンへ向かうパーティーに遭遇した。


学者1「あ、すみません。大聖堂がどこにあるかお聞きしたいのですが」


パーティーメンバーは不思議そうな顔をしたが、ダンジョン探索には異邦人も来るので、そんな人たちかなと判断した。


パーティーリーダー「ああ、それでしたら」


そういうと地図を取り出し、現在地と大聖堂の位置を指で示した。


学者1「助かりました。ありがとう」


手を挙げて別れの挨拶をすると、パーティーはダンジョンに入っていった。


学者2「さて、場所もわかったし、急ごう」


通りを進んでいると、大きな白い建物"大聖堂"が目に入ってきた。そして、入口では司祭と使用人の他に、獣人種の団体がいた。


学者2「あの獣人種はウチラのやつか」


学者1「天上人がいるな。合流しよう」


2人は走って大聖堂の入口に向かった。

入口に近づくと何やら言い争いしているような声が聞こえてきた。


天上人「大司祭に話がある。重要なことだから直接話したいとさっきから何度も言ってるだろう!」


司祭「後ろにいる獣人は何ですか?武装までしていては怪しくて通せませんよ」


司祭の後ろには大聖堂の騎士たちも集まり始めていた。


天上人「コイツラは護衛だ。丸腰で入るなど出来るか!」


互いに譲らず争いは続いていた。


学者1「くだらねえことで争ってんな。護衛なんか外しちまえば、サッサと進むのにな」


学者2「軍人はいかんねぇ」


学者2人は争っている天上人に近づいていくと、護衛の獣人種が武器で行く手を遮った。


獣人種「ん?同志とお見受けしますが、何用でしょうか」


学者2「そこの軍人さんを助けてやろうかと思ってね。我々も大司祭に用があるんだ」


獣人種「そうでしたか。どうぞお通りください」


獣人種達が武器を下げて、学者を通した。


学者1「あー、そこのお二方、よろしいかな」


大声で言い争いをする2人に声をかけた。

司祭と天上人の軍人が学者を見た。


天上人「ん?何だ貴様。今忙しいのだ。後にしろ!」


学者はヤレヤレといった様子で天上人の軍人に話し始めた。


学者2「あんたも浮遊大陸の人だろ?こちらも大司祭に用があるんだよ。命令者は恐らくあんたらと同じ"防衛長官"だよ」


"あんたも"、"防衛長官"というキーワードに軍人天上人は反応した。


天上人「ほう。見たところ、軍人ではないようだが?」


学者2「その通り。軍人じゃなくて学者だな。人手不足で駆り出されたんだよ」


天上人「で?」


学者2「ここの人らに事情を説明に来たんだよ。あんたが知らないことも含めてな」


天上人「私が知らないこと?」


学者2「そうさ。あんたもうちらの後ろで聞いていくといい」


天上人「なぜ学者風情に命令されなくてはイカンのだ?」


学者は長官から受け取った命令書を天上人に手渡した。軍人は命令書に目を落とし、読み終えると頭を上げて学者を見た。


天上人「なるほど。確かに受け取った。ここはあんたら学者さんに任せよう。引くぞ!」


そう言うと獣人種達を引き連れ、現場から立ち去った。


学者1「やれやれ」


学者2「えっと、あなたはここの関係者かな?」


学者が司祭に確認の質問をした。


司祭「そのとおりでございます」


学者2「闇の宝珠と夜について、あなた方が勘違いしていることを伝えに来ました。責任者はおられますかな?」


先程の軍人とは違う態度に、司祭も態度を軟化させた。


司祭「少々お待ち下さい」


そう言って司祭は大聖堂の中に入っていき、しばらくすると先程の司祭が戻ってきた。


司祭「中へどうぞ」


学者たちは大聖堂の中に通され、大司祭の部屋に案内された。










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