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対峙

メモを貰って部屋を出た戦士たちは、フェアリーのセイジであるソーサの協力で付近のドアに、Centralと書かれたプレートが無いことを確認した。

次は最初に見えた、通路の奥にあったドアだ。

このドアの上にはプレートが無かった。つまり、何かの部屋というより通路を区切るためのドアという可能性が高かった。


スカウト「ここのドアは、少し開けて先を確認するっていうダンジョンでの技が使えないのが、困りものだな。遭遇戦が怖いぜ」


そういうとスカウトはドアの横にあるプレートにカードキーを当てた。


ドアが開くと同時に、遭遇戦に備えて戦士と魔剣が構えた。


ドアの先は同じような広さの通路が広がっており、前方50mほど先に20名ほどの人影が見えた。


スカウト「獣人種?浮遊大陸勢か」


向こうもこちらに気づいて、ゆっくりと近寄ってきた。

とその時、突然両者の間に身長が2mを超える大柄なリズマンと思われる人影が現れた。

その人物は黒い鎧を上半身にだけ装備し、腰には大刀を下げていた。そして戦士たちに背を向けたまま、左手で戦士たちに待ての合図をしていた。


魔剣「新手?」


魔法使い「逃げたほうがいいんじゃ」


その発言をするとすぐにリズマンらしき人影が話し始めた。


???「両者とも動くな」


浮遊大陸勢も動きを止めた。


???「諸君らの武具はドラゴン製ではないか?それの使用は"マスター"から認めれていないはずだが?」


浮遊大陸勢に向けられた発言だった。


???「我が名は龍人種のキングドラゴン。仲間からはドラゴンと呼ばれているがね。さて、諸君らの武具に使用しているドラゴン金属は”たいほう”いや”太陽”だったか?その制御パーツとしての利用しか"マスター"は認めていないはずだ。すぐに武装解除せよ」


獣人隊長「"太陽"?」


隊員「"天球"のことです。神の使いが天球をそう呼びます」


隊長「神の使いか。面倒だな。龍人種ってのも神の使いの種族か。龍ってのが何だかわからんが」


ドラゴン「聞いているのか?」


隊長「いま本部に対応を問い合わせる」


隊長が通信機で本部に連絡を取った。


本部「今モニターで見ているよ。神の使いか。確かに神から天球の制御用にとドラゴン金属を譲渡されたらしいが、それを武具に加工する技術は我々の開発成果だ。見たところ奴もドラゴン製の武具のようだな。だが、鎧は上半身にしか装備していないし、おまけにノースリーブ型で四肢はむき出しだ。対してこちらはフルプレート型の防具だ。やってしまえ」


隊長「了解しました・・・」


隊長がドラゴンの方に向き直ると口を開いた。


隊長「我々が独自に開発した武具だ。問題なかろう。それに貴方の後ろにいる奴らは、闇の宝珠を放置して世界を破滅させようとしているのだ。神といえど望ましくない状況だろう?」


ドラゴン「世界の破滅?知らんな」


隊長「言っても無駄か」


そう言うと隊長は剣を抜いた。


ドラゴン「ふん。龍に蟻が勝てると思うのか?」


隊長「?。龍?なんだそれは」


ドラゴン「そうか。この世界には龍がいないんだったな。話が通じないのか、面倒な」


隊長「何を言ってるのかわからんが、かなうわけないという話なら、彼我の戦力を見て物を言うといいぞ。腰に下げた大刀を握らずにナイフを握ってどうするんだ?動揺しているのか?」


龍人種の右手に握られているのは、本来であれば刃がある部分に龍の頭部の装飾がある刀の柄だった。


ドラゴン「戦力差か。俺の本職は戦士だ。相手を見極められなければ"死"という世界にいた。その俺からすると、そうだな、、俺の戦力を100とすると、お前らはゼロに等しい。ゼロは何倍してもゼロだ。つまりは、何倍という比較すら出来ない。それが俺とお前らの戦力差だ」


隊長「ハッタリを」


獣人種魔法使い「隊長!私の魔法が効きません!」

獣人種部下「攻撃魔法は全て無効化されています!」


ドラゴン「ん?魔法?あぁ、能力値を下げるやつなら効いているぞ?対等になる前に最初にかけた魔法の効果が切れるだろうがな」


隊長「最上位デバフ魔法の重ね掛けなのに効果が薄い?」


ドラゴン「これは、武装解除には応じないってことでいいんだな?」


龍人種は語尾を強める言い方をすると、姿勢を変えた。

龍人種は右足を前に出して膝を曲げ、左足を後ろに引いた。そしてダラリと下がる左腕の肘の部分に右手に握る柄の部分を持ってきた。


魔剣「斬る構え?刀を持ってないのに?」


隊長「かかれっ!!!」


号令と共に獣人種たちが一斉に襲い掛かった。

次の瞬間、龍人種の姿勢が仁王立ちに変わると同時に静寂が訪れ、浮遊大陸勢は1人が4つになった。


「!?」


魔剣「何が起きた?」


龍人種の背後には横一閃で両断され、縦にも一撃で両断された浮遊大陸勢の死体が転がっていた。


スカウト「あいつがやったのか?」


龍人種がこちらに向き直ると、ゆっくりと近寄ってきた。

そして戦士と魔剣が構えた。


ドラゴン「構えずともよい」


戦士「あんたは味方なのか?」


ドラゴン「敵じゃないな」


魔剣「味方とは限らないということか。なぜ奴らをやってくれたんだ?」


ドラゴン「奴らはルール違反をしたからだ」


戦士「ルール違反?」


ドラゴン「"太陽"の調整にしか使わないという用途で譲渡したドラゴン金属を武具に転用したことだ。地上、地下、浮遊大陸。全員がヨスギル製で戦うのはかまわん。だが、ヨスギルの上位金属であるドラゴン金属を1勢力だけが使うなど、フェアじゃないだろう?」


戦士「太陽?上位金属?ヨスギルの上があるっていうことか?」


ドラゴン「そうだ。それがドラゴン製だ。太陽ってのは、空に浮かぶ光る玉のことだな。この世界では何て呼んでるのか知らんがな」


スカウト「勝ったからよかったものの、むき出しの四肢をドラゴン製武器で斬られたら、やばかったんじゃないのか?」


ドラゴン「何も問題はないぞ?俺の肌はドラゴン金属では斬れないからな」


スカウト「なら何で鎧なんか着ているんだ?」


ドラゴン「カッコいいだろ?あとはそうだな。相手が油断してくれるってのもあるな。むき出しの四肢を狙えばってな」


スカウト「実際は斬られても大丈夫というわけか」


魔剣「奴らを武器も使わずにどうやって斬ったんだ?まったく見えなかった」


ドラゴン「ん?この刀で斬ったぞ。横薙ぎ1回と、あとは1人ずつ縦に一撃入れたな」


魔剣「一人ずつに入れただと?あの短時間で?というか、そもそもその武器には刃がないが?」


ドラゴン「ハッハッハ。そうか見えぬか、そうか。ハッハッハ。これはドラゴン製の上位金属である夜空製の刀だ。力なき者には扱えないし、見えもしない刀だ。まぁ、腰に下げたドラゴンソードでやっても結果は同じく瞬殺だな」


魔剣「さらに上位金属に見えない刃だと・・・」


ドラゴン「夜空製やドラゴン製は神の使いが扱う金属だ。ヌシらが知らずとも仕方のないこと」


戦士「我々のことは斬らないのですね」


ドラゴン「ヌシらが使っているヨスギル製の武具ならルール上問題ないな。ふむ。ちょっと無駄話をしすぎたようだな。おい!スフィン!!」


スフィン「ドラゴン様、お呼びで?」


どこからともなく、全身黒いローブにフードという姿の人影が現れた。


ドラゴン「ああ、残りの集団はどこだ?」


スフィン「それでしたら転移で案内しましょう」


そういうとフッと2人の姿が消えた。


僧侶「これは、、、いったん報告に戻りましょうか」


いままで黙っていた僧侶が口を開いた。


戦士「そうだな・・・。目指す場所のメモも手に入れたし一旦情報共有のため戻ろう」


戦士たちはスリッパを叩きつけ、地上に戻っていった。


さて、突然神の使いが現れましたが、名前は覚えなくても問題ありません。

戦士たち地上種の勢力、浮遊大陸勢力、神の使い勢力がいるんだなってことだけ理解していただければと。

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