いざ浮遊大陸へ
続々と後詰め部隊が浮遊大陸へ出発していった。
戦士達も準備を整え、フェアリー達を待っていた。
暗殺職「あら、意外と早かったのね」
戦士「いつもこんなですよ」
今は辺りは明るい。いつもと変わらぬ風景だった。
暗殺職「あの"夜"ってやつ、慣れないのよね。町が暗いとか、違和感しかないわ」
魔剣「それを止めるための旅だ。さっさといくか」
メイ「じゃあダンジョンの王の間前室に飛ぶわよー。集まってねー」
そう言ってフェアリー種の魔法使いが転移魔法を詠唱し始めた。
光が彼らを包み、それが晴れるとそこには誰もいなかった。
戦士達は王の間を抜け、宝物庫に入った。
そして通路を抜け、浮遊大陸に転移するための部屋に入った。
スカウト「俺等だけで板切れを使って浮遊大陸に行くのは初めてになるな。緊張するぜ」
魔剣「同じく」
僧侶「戦闘さえなければ、楽しい探索なんですけどねえ」
魔法使い「浮遊大陸の獣人種たちも、何で私達を攻撃してくるのかしらね」
メイ「単に侵入者だと判断してるなら、知恵が足りないわね」
スカウトがカードキーをドアの横のプレートにかざすと、
ぶーーーーーーん
と音がして、ドアが開いた。
その先は浮遊大陸の施設内だ。
僧侶「ホントに広い廊下ですね」
幅１０メートル、高さも同じくらいあるヨスギル製のプレートで作られた壁と床が広がっていた。
戦士「さて、私達の探索場所は、この建物を出て、別の建物ですね」
地図を頼りに以前来た時に開けた、外へのドアを開いて建物の外に出た。
相変わらず遠くは霧に覆われ、見渡すことができない。
スカウト「あっちの方角にある建物の調査だな」
スカウトが指差した先には、１００メートルほど離れたところに高さ１５メートル、幅50メートルほどの建物が見えた。
魔法使い「あの建物も外見通りのサイズじゃないんでしょうね」
別棟の建物に向かって石畳の通路を進んだ。
石畳の通路は幅が５メートルほど、その両脇は芝生だった。
スカウト「さて、この建物か。入口を探すために、外周をまわるか」
皆でグルリと一周したところ、入口らしきものは１つしか無かった。
スカウト「プレートはどこだ？」
ドアの横にあるプレートを発見し、カードキーを当てるとドアが開いた。
ドアの先には、これまでの建物と同じく白色をメインにしたヨスギル製の金属プレートで作られた壁と床が広がっていたが、幅１０メートルの通路は両サイド１メートルほどが金属むき出しで、残りの場所には暗い青色カーペットが敷かれていた。カーペットの端には黄色の線の刺繍がされていた。
また、壁には装飾なのか石造りの太さ１メートルほどの円柱が１０メートルおきに配置されており、円柱は幅１０センチほどの板を張り合わせたような装飾がされていた。
戦士「天井がまた高いな。あとはなんだか天井光ってるし」
スカウト「窓の光が天井から入ってきてる感じたな」
僧侶「柱があるせいか神殿を思わせますね」
シフ「スカウト職の私は戦力にならないだろうから、少し先を見てくるね」
そう言ってパーティーの先頭から離れたところを進み始めた。
スカウト「小さいから、安全か」
僧侶「我々には出来ない芸当ですね」
今歩いているメイン通路には２０メートルおきに十字路が配置され、どこかへ通じているようだった。
戦士「そういえば、大聖堂で受け取ったメモに書かれた文字があるドアを探さないといけないんでしたね」
スカウト「まずはドア探しか」
メイン通路にはドアはないようだった。
魔剣「脇道に入ってみないか？この広い通路には無さそうだぞ？」
先行していたフェアリーのシフが戻ってきて、ドアのありかを伝えた。
ドアの前に来たが、ドアには文字の書かれたプレートは無かった。
スカウト「はずれか」
ドアの先にはまた通路が広がっており、どうやら通路を区切るためのドアだったようだ。
しばらく探索を続け、いくつかドアを発見するも、通路を区切るためのドアばかりであった。
スカウト「これは食料を用意して、数日待機する必要がありそうだな」
魔剣「地図魔法によると、まだ入り口も表示されている。いざというときは転移魔法で入口に戻れるな」
僧侶「ならば大丈夫でしょう。探索を続けましょ」
しばらく探索を続けていると、通路の両脇にドアがたくさん並んだ場所に出た。
ドアの上には何やら文字が書かれたプレートがあった。
僧侶「お、これは期待できるかな」
ドアの上にあるプレートには、天上人の文字が書かれていた。
スカウト「なんて書いてあるか分からねえが、メモにあるのと同じ形のやつを探せばいいんだろう？」
魔法使い「なんだかどれも同じように見えるわね」
メイ「ソーサなら読めるんじゃない？」
ソーサと呼ばれたフェアリーが前に出てきた。
メイ「この子、私達のパーティー唯一のセージなのよ」
ソーサはプレートの文字をゆっくりと見て回った。
ソーサ「メモにあった文字列は無いわね」
戦士「先に進むなら、どれか選んで進むのが良さそうですね」
スカウト「８つあるドアのどれを選ぶか、それが問題だ」
ソーサ「６つかな。１つは出口、もう一つは入口って書かれてる。恐らくこの建物の入口に行くドアと、地上に戻るための施設に行くドアだと思うわ」
僧侶「それでも６つあるんですよね。ほかはどんな意味なんでしょう」
ソーサ「ごめんなさい。私も天上人の古代文字は勉強始めたところだから、単語もあまり詳しくないのよね。ただ、どこが文字の区切りなのか、その辺はわかるから、メモにある文字列を探すことはできるわ」
魔剣「確かに、この文字列がどこで切れるものなのか、わからないと同じ形を見つけるのも困難だな。俺には単なる図形にしか見えん」
メイ「戦士さん、貴方がこのパーティーのリーダーでしょ？貴方が決めて」
戦士「うーん、じゃあここにするか」
プレートにカードキーを当てるとドアが開き、中に全員が入って少しすると、
ぶーーーーーーん
という音がした。
一行が入ったドアには
"Labo"
と書かれていた。
