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講習

数日待機した後、大聖堂から宿に呼び出しが来た。


戦士「遂に出発のようですね」


僧侶「私は楽しみですが、皆さんは違いますよね」


魔剣「そうだな。不安が多いな」


スカウト「先日も大聖堂に襲撃があったと聞く。浮遊大陸に行った先発隊の相手をしつつ、地上にも部隊を派遣できるだけの戦力があるってことだ」


魔法使い「私は行かなくていい?」


戦士「ふざけた事を言ってないで行きますよ」


戦士に促され、全員が宿を後にした。

外は薄暗くなっていた。

民家の庭では、まだダンジョン宿泊ごっこをやる人がいるようで賑やかだった。


スカウト「寝る時に暗い部屋を利用するだけの我々からすると、暗い場所での活動は調子が狂うな」


魔剣「浄化が完了するまでの辛抱だ」


魔法使い「ランプに照らされた街並みも綺麗でいいものよ」


僧侶「そうなもんですかねえ」


薄暗い中、ランプに照らされた街並みを見ながら歩いて大聖堂に到着した。

司祭と使用人は、相変わらず巨大なドアの前に立っていた。


戦士「後詰めとして招集された者だ」


司祭「おお、では早速案内致します」


そう言うと、使用人が呼ばれて案内された。

場所はいつもの離れにある会議室を兼ねている建物だった。


魔剣「最近は最初の頃に案内されていた、ボッタクリ商人のいた部屋にお邪魔してないな」


戦士「そんな場所もありましたねえ。最近はこの離ればかりだ」


スカウト「面倒事はここなんだろうな」


何組かの冒険者パーティーもすでに集まっていた。

戦士たちの後からも当然入ってきた者がいる。

そして入室者が落ち着いた頃、司祭が皆の前に出てきた。


司祭「皆様、募集頂きありがとうございました。選抜をくぐり抜けた精鋭ですので、あとは未知の土地で油断なさらぬよう、お気をつけて」


そういうと司祭は引っ込んだ。そして違う司祭が出てきた。


司祭「さて、皆様には先発隊からの報告をお知らせします。新天地の探索に役立ててくださいませ」


そうしてまた司祭が引っ込むと一人の冒険者が出てきた。


先発隊「私は先発隊として参加した一冒険者である。大聖堂より、諸君ら後発組に話をするよう依頼を受けた。今後の探索のためにもよく聞いてほしい」


後発組の冒険者は彼の方に向き直り、真剣に聴く体勢になっていた。


先発隊「まず、ダンジョンとの違いだが、ランプが不要なほど、どこも明るい。次にドアだが、鍵穴がないのに施錠されている。開け方は、ドアの鍵としてこの板切れをドアの横にあるプレートに当てて解錠することになる。よって、ダンジョンでの解錠技術は不要であると同時に役に立たん」


そこまで話して、カードキーを回覧させた。

司祭も別のカードキーを取り出して回覧させた。

どのパーティーも初めて見るものをまじまじと観察していた。


先発隊「ドアの解錠が終わると、自動で全開してしまうため、少し開けてドアの先の様子を探るといったことも不可能になる。ドアの解錠時は遭遇戦に備える必要がある。これがダンジョンと一番違う点だな」


先発隊の冒険者は皆がキチンと聴いているか、辺りを見回したが、皆真剣に拝聴していた。


先発隊「敵についてだが、各種獣人種の混成部隊だ。皆一様にヨスギル製品で身を固めている。諸君らにはハンデにならんよう、我々の回収した武具や着用していたものを提供する」


おおーっ!と歓声が上がった。

一般的に、ヨスギル製の武具は最高級品である。


参加者「気前がいいじゃねぇか」


先発隊「そうしなければ、全滅が早まるだけだからな。仕方ないのさ」


傾聴者「敵魔法使いのレベルはどうなんですか?」


先発隊「全魔法を使用してくる。注意が必要だ。それに奴らは種族的に魔法耐性がある。魔法戦ではこちらが不利だな」


冒険者「効かないわけじゃないんだな」


先発隊「ああ、効果はあるぞ。後はそうだな、天上人が隊長として配属されているときがある。この部隊は強力だ。場合によってはすぐにスリッパで退散した方が良い」


冒険者「それほどですか」


先発隊「指揮がうまいんだろうな。他には、文字が書かれているプレートがついたドアがあるが、天上人の文字なのか、我々には読めない。この文字は出口を表すものだ。出口とは宝物庫への道を指していることがわかってきた。参考にしてほしい」


そう言うと、EXITと書かれたメモを回覧させた。


先発隊「ドアを開けるための板切れも各パーティーに1つ配布予定だ。足りない場合は現地調達してくれ。天上人が持っていることが多いが、獣人部隊の隊長格が持っていることもある」


戦士「鍵はもらえるようですね」


スカウト「俺の技で開けられない鍵が相手だからな。絶対欲しいと思ってたので助かる」


先発隊「あとは移動魔法の制限についてだが、浮遊大陸には直接転移することは出来ない。まずはダンジョンの王の間の前室に飛んで、そこから宝物庫を通って浮遊大陸へ行ってもらう。浮遊大陸内は転移魔法が使えることを確認した。スリッパで町に戻れることは先ほど話したとおりだ。地図魔法は使えるから有効活用してくれ」


スカウト「いざというときはスリッパか」


僧侶「ホントに便利なアイテムですね」


先発隊「いくつもダンジョンとの違いがあって大変だが大事だから伝えていくぞ。次はシークレットドアについてだが、敵専用のようだ」


スカウト「どういうことだ?」


先発隊「我々が調べても反応しないのだ。通路の壁が突然消えて通路が現れ、隊列の真横から奇襲を受けたことがある。戦闘後に壁を調べたが、何の痕跡も見つけられなかった。他の隊からも同様の報告がある。あとは十字路などの交差点で、相手はこちらの存在を知っているかのように先制攻撃を仕掛けてくる。通路の合流地点は注意してくれ。先発隊で作成した地図を後で配布する。通路に書かれた☓印がシークレットドアの場所だ。他にもあるかもしれんから油断するな」


魔剣「厄介だな」


戦士「安全は無さそうですね」


魔法使い「なんかヤだなー」


僧侶「御伽噺の場所ですが、現実は厳しいですねぇ」


先発隊「伝達事項は以上だ」


そう言うと先発隊の冒険者は後ろに下がった。

そして司祭が前に出てきた。


次に大司祭様よりお話です。

そう言うと後ろに下がり、大司祭が前に出てきた。

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