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継続

ギルドでは報酬を5等分する作業が行われていた。

僧侶の代役になる新メンバー探しは、報酬をきっちり分けて、区切りがついてからと皆が考えていた。


スカウト「結構あるからな。もう少し待ってくれ」


僧侶「時間はありますし、構いませんよ」


魔法使い「あんたとも、もうすぐお別れかぁ」


僧侶「いままで皆さんにはお世話になりました」


魔剣「最初は俺以外に経験者がいなかったから、どうなるかと思ったが、ここまでこれたな」


昔話をしながら戦士の帰りを待っていた。

しばらくして、ギルドのドアが開いた。戦士だ。


魔剣が手を大きく挙げて場所を教える。戦士が大きな袋を抱えて歩いてきた。


魔剣「ん?なんか持ってるぞ?」


皆がギルドの入口のほうを見た。

確かに何か袋を抱えている。


スカウト「この袋と同じくらい大きいな。追加報酬か?」


ちょっと期待に胸を膨らませ、戦士の到着を待った。


戦士「お待たせしました」


戦士の顔に疲れが見える。


スカウト「お疲れ。と、その袋はなんだ?追加報酬か?」


皆の視線が金袋に集まる。


戦士「ああ、これですね・・・」


戦士がゆっくりとしゃべると、袋をテーブルに置いて席に着いた。


魔法使い「追加報酬なの?」


魔法使いが戦士の顔を覗き込みながら聞く。


戦士「皆に報告がある」


そう言って戦士は皆の顔を見回した。


戦士「まず、皆が気になっているこの袋は追加報酬ではありません」


魔剣「では、何なのだ?」


戦士「理由が報告になります」


皆の顔は疑問にまみれていた。


戦士「我々は新天地探索組の後詰に指定されました。そのための準備金です」


一同は驚いた。


僧侶「ということは、我々は浮遊大陸の調査を続行ということですか?」


戦士「そうです。なので僧侶さんの代わりも不要だし、僧侶さんは脱退する必要もありません」


僧侶にはうれしい報告だが、他のメンバーには最悪だ。


スカウト「くそっ。安全なダンジョン探索しようと思ってたのに」


魔剣「俺も同じだ」


魔法使い「断れなかったの?」


戦士「大司祭様と取り巻き司祭、更に先日の騎士団長も同席だぞ?こっちは1人なのに」


スカウト「圧迫面接だな。その金を叩きつけて蹴っちまおうぜ」


戦士「どうしても拒否はさせないという感じでしたよ、あの大司祭」


魔剣「ペナルティがありそうだな」


魔法使い「後詰って言ったよね?先発じゃないんだよね?」


戦士「ああ、先発隊は今朝出発したらしい」


スカウト「なら、まず危険な目に合うのは先発隊だ。少しは安全か」


戦士「そうとも言えないな。大聖堂の入口の演習跡、あれは演習じゃなくて襲撃跡だと説明された」


魔剣「襲撃?誰からだ?地下種たちか?」


戦士「浮遊大陸の勢力だそうだ」


僧侶「そんなものがいるんですか・・・」


戦士「浮遊大陸に行く前に、宝物庫で天上人と獣人種の部隊と戦闘しましたよね?あれが浮遊大陸勢力らしいですよ」


魔剣「あのヨスギル製品を装備してたやつらか」


スカウト「隙だらけの天上人を確かに始末したな。そうか、やつらのアイテムで浮遊大陸に行けたんだったな」


戦士「なので、ここにいても襲撃の危険があるってことです。そのために防衛組と騎士団が大聖堂で待機しているみたいです」


僧侶「どっちも危険、、、ですか」


魔法使い「残念だけど、行くしかないのかぁ」


スカウト「後詰ってことは、他にも行く奴がいるのか?」


戦士「僧侶さんが話していた募集中の案件で集まった人達が、後詰メンバーになるみたいですよ」


僧侶「あれか」


魔剣「ということは、まだどれくらいの戦力になるか不明ってことだな」


スカウト「ダンジョン最下層までこれるやつじゃないと戦力にならんぞ?」


戦士「そこはどうやって線引きするのか、わからないし、言ってなかったな」


僧侶「募集要項にも書いてなかったですね」


魔剣「実力があっても低層、中層でやりくりする奴はいるからな。募集してきたやつを直接見極めるつもりだろう」


スカウト「あてにならねえ戦力だな。とにかく先発隊の報告待ちだな」


戦士「ええ。今すぐ出発じゃないって大司祭様も言ってました」


スカウト「まずは先発隊からの報告を待ってから出発したいな。出発命令がきたら、そう言ってみてくれ」


戦士「わかりました」


魔法使い「追加の袋を見て、なんとなーくイヤな予感はしてたけど、当たっちゃったわね」


魔剣「女の感は鋭いってな」


スカウト「変な予感を感じるなよ。迷惑だぜ」


皆がその言葉に笑った。


魔法使い「感じちゃったものはしょうがないじゃない」


戦士「まあ、これは魔法使いさんの予感以前に決まっていたので、悪くないですよ」


魔法使い「なんか慰められてる」


僧侶「私としては、皆さんとこれからも共闘できることになってよかったですよ」


スカウト「そうか、この中で唯一恩恵を受けるのはお前か」


皆が僧侶を見た。


僧侶「恩恵というか、皆さんも余計な後任探ししなくて済むし、いいじゃないですか。不幸中の幸いってやつですよ」


魔剣「何か言いくるめられている気がするが、メンバーが変わらないことだけは良い報告だな」


魔法使い「その部分だけね」


戦士「さて、結果は覆りませんし、任務達成の打ち上げでもして気分転換しましょう」


魔剣「よし、いつもの店行くか」


スカウト「いつもは遠慮してたメニューも金があるから行けるぞ」


魔法使い「おうちに入れなくていいの?」


スカウト「大金だ。大丈夫さ」


戦士「じゃあ、行きましょうか」


気持ちを切り替えてギルドを後にした。

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