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ドアの先

大司祭への報告を終えて、ダンジョンに戻って来た騎士は、宝物庫と王の間で作業する人々に号令をかけた。


隊長「騎士団は宝物庫に集合!作業中の冒険者も集合せよ!!」


騎士たちが隣の王の間からどんどんと宝物庫に入ってくる。宝物庫の騎士も部屋の中央にいる隊長のもとへ集まっていった。

作業をしていた冒険者はそれを見て、同じく部屋の中央へ集まり始めた。


隊長「諸君らの活躍により、この板が謎のドアの鍵だと判明した」


その発言を聞いて、どよめきが起こった。


隊長「これよりドアを開けて、その先を確認する。今回はドアの先がどこに通じているか確認するだけで、探索は行わない!」


大声で隊長は続ける。


隊長「各自スリッパを確認せよ!持っていないものはここへ残れ!用意が出来たらそこのドアの先の通路で再集合だ」


隊長は説明を終えると宝物庫にあるドアを開けて、謎のドアがある通路へ入っていった。


冒険者と騎士たちは持ち物を確認し始めた。


騎士は半数が残ることになり、冒険者は各パーティー2,3人が参加という形になりそうだった。


冒険者「なぁ、パーティーが分断されるのは都合が悪い。ここはスリッパを集めてパーティー全員が行けるところから参加にしないか?」


戦士「そのほうがいいですね。うちらは全員が持っているので参加ですね」


冒険者「さすがは王討伐パーティー。準備がいいな」


残った冒険者たちはスリッパを持ち寄り、戦力を考えてどのパーティーが行くか話し合っていた。


僧侶「では我々は謎のドアに通じる通路に向かいますか」


僧侶は残念そうに言った。


スカウト「なんだ。随分残念そうじゃねえか。昔話の浮遊大陸を見れるかもしれないんだぜ?楽しみじゃないのか?」


僧侶はため息をついてから返事をした。


僧侶「危険が潜む場所に、先鋒として行く必要はないかなと思いましてね」


魔剣「獣人種が待ち構えているかもしれないということか」


僧侶「ええ、それもヨスギル製品で身を固めた・・・ね」


魔法使い「そもそも浮遊大陸でスリッパって効果あるのかな?」


スカウト「怖いこと言うなよ」


戦士「まあ、今回はドアを先がどこかを調べるだけなので、危険は少ないでしょう」


僧侶は、あーやだやだといった顔をしている。


魔剣「僧侶殿、あきらめて参りますぞ」


魔剣に手を引かれ、僧侶は通路へと連れていかれた。




戦士たちが謎のドアに至る通路に入ると、騎士たちが整列して待機していた。


隊長は戦士たちが入ってくるのを見ると、声をかけた。


隊長「コボルト王討伐の冒険者だな?ちょうどよかった、お前らには絶対参加してもらおうと考えていたところだ」


隊長は、よしよしいいぞといった表情をしていた。


僧侶「絶対参加か。諦めますか」


僧侶は遂に観念したようだった。


しばらくすると冒険者たちも何パーティーかが通路に入ってきた。


隊長「よし、これで全部だな?これより浮遊大陸と思われる場所へ転移するかどうか、このドアを通って確認に行く」


隊長は話しながら全員の顔をぐるりと見まわし、話を続けた。


隊長「何か危険を感じたら、すぐにスリッパで帰還せよ!そして大司祭様に報告するように。なお、危険がない場合は、全員でこのドアから戻る予定だ」


説明を終えると隊長は板切れを収納ボックスから取り出し、続けてペンダントを首にかけた。

そして、板切れをドアの横にある四角いプレートに当て続けた。


スカウト「あの板切れを穴に入れるんじゃなくて、当てるのか?そんな鍵聞いたことないぞ」


少しするとドアが自動で開いて壁の中に扉が消えた。

周囲から驚きの声が上がった。


隊長「ほんとに開いたな・・・」


ドアの先は30m四方の部屋になっていた。

壁や床は通路と同じくヨスギル製のプレートだった。

部屋の中には特に家具などはなく、装飾もない、なんとも味気ない感じだった。


隊長「騎士団が先に行く! 冒険者はそのあとに続け!」


指示通りに騎士団が先に部屋に入り、そのあとに冒険者が続いた。

そして隊長は全員が通路から入ったことを確認すると、固まった。


隊長「そういえば、ドアの先の操作について何も聞いてなかったな・・・どうしたものか」


そんな隊長を見てスカウトが戦士に話しかけた。


スカウト「おいおい大丈夫か?こりゃ出直しかな」


そう言った直後にスカウトが部屋を見渡すと、ドアの入口にあったのと同じ四角いプレートを部屋の中に見つけた。


スカウト「おーい、隊長さん!そのプレートに板切れを当てればいいんじゃないか?」


スカウトは大声で隊長を呼ぶとプレートのある方向を指さした。


隊長「でかした!そいつだ」


隊長はホッとした表情をし、急いでプレートの下に走り、プレートにカードキーを当てた。

するとドアが現れ、部屋は密室になった。そして、、、



"ぶーーーーーーーん"



そんな低音が部屋に響き渡った。


隊長「何か起きたようだが、部屋に変化はないな」


スカウト「部屋の外を調査してみるぜ」


そういってスカウトがドアの前に来て、ドアを開けようとした。


スカウト「開かねぇ」


ダンジョンでいつもやっていた少しドアを開けて先を確認しようとしたスカウトだったが、そもそもドアが開かなかった。


スカウト「開けるにはさっきの板切れで操作する必要がありそうだな」


そう言った直後にドアが自動で開いた。


ドアから見える景色は先ほどの通路ではなく、違う通路が広がっていた。


その通路は先ほどの3mほどの通路とは違い、10mの幅がある通路だった。


スカウト「違う場所に出たっぽいぞ?」


隊長はドアから見える景色を確認すると、号令をかけた。


隊長「騎士団が先に通路に出る。そのあとに冒険者は続け!」


指示に従い、騎士団から通路に出て行った。

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