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地上に戻った冒険者たち



転移魔法で地上に戻ってきた戦士たち。


獣人騎士から王冠を受け取り、報酬の山分けを約束した。


その時、声を掛けられた。


冒険者1「おお、戻ったか。遅かったから全滅したかと思ったぜ」


冒険者2「こちらは強制転移後、すぐにスリッパで脱出したのよ。あなたたちは?」


戦士は王冠を見せた。


冒険者3「あのまま継続したのか、やるなぁ」


人間騎士「我々は転移先で、殲滅に成功したから王との戦いに駆け付けたんだよ」


僧侶「それが無ければスリッパでしたね。もう少しで叩き割るところでした。いや、ほんとに間一髪ですよ」


戦士「俺は死んだからなぁ」


冒険者4「すまんな。泡食ってしまって、うまく動けなかった」


冒険者1のパーティーは、済まないと謝罪をしてきた。


魔剣「とっさの判断だ。仕方ないさ。無事帰還したんだ、もういいじゃないか」


そういって謝罪をやめるよう言ったのだった。


獣人騎士「そう言えば、お前らには説明しとかないとな」


そういって、冒険者1のパーティーの面々を見た。


獣人騎士「俺たちは王の討伐という名声はパスする。金銭の報酬だけ山分けを申し出たんだ」


冒険者1「そうだったのか。俺たちには名声を得る資格はないな。そもそも戦いに駆け付けることすらできなかったんだ。報酬も・・」


言いかけたとき、戦士が割って入った。


戦士「報酬は3等分だ。3パーティーあったから討伐を決心できたんだしな」


そういうと冒険者1の肩を叩いた。


冒険者1「すまねえな。わかった。それが総意なら従うぜ。これ以上迷惑はかけられねぇ」


どうも萎縮してしまっているが、仕方がないだろう。


スカウト「じゃあ、俺たちはこれから大聖堂に報告に行く。あんたらはついてくるか?」


冒険者1「いや、ここで見送らせてもらうよ。ギルドで待ってるからな。またあとで」


そういうと手を挙げて挨拶し、ギルドへ向けて去っていった。


人間騎士「俺たちもギルドで待機するよ、あとは頼んだぜ」


そういって彼らもまた、ギルドへ向かった。


一行は、大聖堂に勝利を報告しに行くことにした。



大聖堂

いつものごとく、大扉の前の司祭に話しかける。


戦士「闇の宝珠を持ち帰りました。これです」


そういうと王冠を司祭に渡した。


司祭「な、なんと!ここでお待ちください」


司祭は急いで大聖堂の中に走っていった。


魔法使い「また行っちゃった・・・」



しばらく待っていると、先ほどの司祭が歩いて戻ってきた。



司祭「皆さま、こちらへどうぞ」


司祭は落ち着きを取り戻したのか、先ほどとは違う様子で対応していた。


一行は例の会議室代わりの大聖堂別館に通された。



前回も面会した司祭3人がそこにはいた。


司祭1「お待ちしておりました。そちらにおかけください」


メンバーはデカいテーブルにそれぞれ着席した。


司祭2「王を討伐したとか。この王冠がその証拠だと」


戦士「証拠というより、それが闇の宝珠では?」


戦士は王冠についた黒い玉を指さした。


司祭1「これは単なる宝石ですが?」


魔剣「それが闇の宝珠ではないのか?」


このやり取りを見ていた司祭3は、静かに席を立つと、隣にいた司祭1に耳打ちした。


司祭3「あとはまかせたぞ」


やれやれといった表情で退出していった。


司祭1「皆さま、ほかにはないのですか?」


戦士「戦利品はそれだけですが・・・」


不穏な空気が流れる。


司祭1「これは闇の宝珠ではありません・・・」


スカウト「だが王は、それを大事そうに持っていたぞ。簡単に渡せないとも言っていた!」


司祭2「奴らが何と言おうと、これは闇の宝珠ではない。偽物をつかまされたのかもな」


僧侶「なんてことだ。じゃあ、本物はどこに・・・」


司祭1「玉座にはなかったのですか?」


魔法使い「玉座にあったのは、その王冠でしたよ」


司祭2「うーん。王のいた場所を調査したほうがよさそうですな。頼みましたぞ」


そういうと2人の司祭は、案内してきた司祭に帰すよう指示すると退出していった。


司祭「・・・残念でしたが、本物を持ち帰ることを期待しております」


誰も言葉を発しなかった。そのまま大聖堂をあとにし、ギルドへ向かった。




ギルドに入ってきた戦士たちを見ると、冒険者1が手を振って、こっちだーっ!と合図した。


そちらに向かっていくと、2パーティーの面々が食事を囲んで談笑していた。


冒険者1「おつかれさん!どうだった報酬は。勲章とかも貰えたのか?」


笑顔で質問をしたが、顔色を見ておかしいと気付いた。


冒険者1「どうした?何かあったのか?」


戦士「偽物だった」


冒険者1「え?すまん、もう一度言ってくれ」


スカウト「あの王冠は偽物だったらしいぜ」


冒険者3「どういうことだ?」


魔剣「闇の宝珠はあれじゃないそうだ」


獣人騎士「あんなに必死に守ったのに、宝珠じゃなかったのか?」


人間騎士「宝珠じゃないとすると、奴らの王としての証にすぎない品だったということか」


フェアリー4「じゃあ、宝珠はどこにあるの?」


戦士「もう一度、王のいたところを探せって大聖堂で言われたよ」


冒険者5「なんてことだ」


人間騎士「まあ、今度は王もいないから探索自体は楽だろう」


スカウト「早速行ってみようと思う」


フェアリー2「なら、私が転送するよ」


冒険者1「よし、全員で行こう。残党がいるかもしれんし、何より俺らが逃した集団が戻っているはずだ」


僧侶「ああ、そうか。そうですね。皆でいきましょうか」


人間騎士「転移魔法の回数は大丈夫か?」


フェアリー1「まだあるよ」


冒険者2「私は1回分しかない」


フェアリー3「なら、あんたたちは私が転送する」


魔力量に優れるフェアリーたちは、各パーティーに散って転送を担当することになった。


獣人騎士「それじゃあ、いったん宴は中断して、行くか」


そういうと全員が席を立ち、出口に向かった。


最高レベルの集団が大勢で行動するのを見て、まわりはざわついていたが、彼らは気に留めずにギルドを後にした。



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