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決戦 後編


人間騎士「いくぞーーーーーー」


騎士2人とフェアリーたちだった。


僧侶は心底ほっとしていた。


人間騎士はスカウトに加勢し、敵を引き受けた。スカウトはフリーになった。

獣人騎士は、王の相手をすべく突進を続けていた。

魔剣はそのまま護衛1体の相手をしている。

フリーになったスカウトは、戦士の体を担ぐと僧侶の元へ走った。


僧侶は蘇生魔法の詠唱を開始した。

戦士の体が光に包まれ、光が消えると戦士はむせ返った。

蘇生は成功した。


僧侶「こっちは大丈夫です!戦士さんも復活しました!!」


それを聞いて、ほかのメンバーも安心したようだった。


フェアリー1「マルプロテクトを護衛に掛けるよーー」

ほかのフェアリーたちがOKを出す。4人で同じ魔法を一斉に詠唱し始めた。


”マルプロテクト”

対象の速さを若干落とし、魔法無効化能力を少し下げる魔法。

これ自体は無効化されることがない魔法。


一気に魔法無効化能力を剝がされた護衛は、続けて着弾した魔法使いの石化魔法で石になった。


フェアリー4「やったぁー」


手の空いた人間騎士は魔剣の加勢に入る。


一方で獣人騎士と一騎打ちをしていた王は、だんだんと劣勢になっていた。

生粋の戦士でもある神殿騎士と、まともに打ち合って勝てる見込みはなかった。


王「くそ、もはやここまでか」


王に致命的な一撃が入った。

剣を落とし、膝をつく王。


それを見た獣人騎士が、トドメを刺すべく振りかぶったときだった。


王「待て!」


そういうと片手を前に突き出し、待てのゼスチャーをしていた。


もはや戦意のないことを悟った獣人騎士は、剣を下ろした。


王はポーションを取り出すと、それを飲んだ。


戦意がないことを理解していたため、一行はそれを見守った。


王「我の負けだ」


そういうと、フラフラの状態で、玉座のひじ掛けに手をかけて、何とか立ち上がった。


王「これが目的であろう?」


そういうと王冠を差し出した。


獣人騎士がそれを受け取った。


王「何に使うのかは問わん、ただ、持ち去らないという選択肢も考えてくれるとありがたい」


人間騎士「それはできんな」


王「そうか」


王は、やはりな、といった様子だった。


王「さて、あとは我を滅ぼせば終わりか?冒険者よ」


獣人騎士「ああ、悪いがそうなるな」


戦士「待ってくれ、その前に聞きたいことがある」


戦士は、トドメを刺そうとした獣人騎士に向かってそう言い放った。


戦士「王よ、なぜ我々を、この部屋に入った劣勢の我々を見逃したのだ?本当は対話による解決を望んでいたのではないのか?」


王はビックリした様子だった。今まさに死を覚悟した瞬間に、生の時間が延びたのだから。


王「それを聞いてどうする?そうだと答えれば、王冠を我に返してくれるのか?冒険者よ」


戦士は返答に困った。王冠は持ち帰りたい。ただ、いきなり攻撃してこなかった王の行動原理は、大聖堂がいうような策略によるものではない気がして仕方なかったのだ。

それを確認するのは今しかない。そう思っての発言だったのだが、、、


王「沈黙。それが答えか。ハハハハハ」


王は笑って答えた。


戦士「王冠を持って、地上種と対話するということをしなかったのはなぜだ?悪魔や吸血鬼種と違って、王はコボルト種だ。地上にある光の宝珠の影響も小さいはず。だからこそ、地上に来て対話をするということも選択肢にあったんじゃないのか!」


戦士と王のやりとりを騎士2人は見守っていた。


王「ふむ。それも1つであっただろう。だが、王冠を地上種に渡した後、地下種はどうなる?」


戦士はハッとした。そう、闇の宝珠なくしては地下種は生きられないのだ。


王「わかったようだな。最初から無理な相談というものだ。心優しき冒険者よ」


戦士「王よ、あなたにトドメを刺す前にひとこと言わせてくれ」


戦士は姿勢を正し、王に向き直った。そして、、、


戦士「我々が劣勢でこの部屋に突入した際、撤退の選択肢を与えてくれたこと、まことに感謝する」


そういうと膝をついて、王に握手を求めた。


王「こんな冒険者もおったのだな。最期に良き者に出会えたようだ。こちらこそ最期の時に、この瞬間を与えてくれたこと、礼を言うぞ」


そういうと王は立っている獣人騎士を見た。


王「そこの騎士よ。もうよかろう。トドメを刺すが良い」


そういうと王は頭を垂れた。


獣人騎士「わかった」


それだけ言うと、獣人騎士は渾身の力で剣を振り下ろし、一撃のもと、王の命を絶った。


戦士の目には涙があった。




人間騎士「さて、経過がどうであれ、とりあえず決着はついた」


獣人騎士「この首はここに埋葬していこう。地上に持ち帰る義理も理由もない」


スカウト「そうだな・・・」


王の遺体を丁寧に埋葬すると、一行はまた集まった。


僧侶「さて、この王冠についている玉が闇の宝珠なんですかね、これを持ち帰れば任務達成ですね」


人間騎士「そうだな。それはあんたらが大聖堂に持っていきな」


戦士「一緒に戦って手にした勝利です。一緒に行きましょうよ」


人間騎士「コボルト王の最期のやり取りを見ていて、お前に託したくなっただけだ。それに王を倒したなんて名声、今後の活動で面倒なことになりそうだからな。あとで報奨金だけ山分けしてくれればいい」


魔剣「ほんとにいいのか?」


人間騎士「ああ、そうしてくれ」


魔法使い「そういえば、あなたたちは戻ってきたけど、もう1パーティーはどうしたのかしら?」


獣人騎士「まだ戦闘中か、全滅したか、逃げたか。まずは地上に戻って、スリッパを使った線を潰してみるか」


戦士「全滅なら、遺体回収は我々でやりたいですね」


スカウト「どこに飛んだかわからんがな」


フェアリー2「じゃあ地上に戻るのも転移魔法でいくよ。そっちのパーティー分は、、、今度はフェアリー4ちゃんよろしくね」


それぞれのパーティーは地上へ転移した・・・

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