決戦 前編
僧侶が召喚された悪魔をディスペルで対応すると、コボルト王は攻撃魔法の詠唱を始めた。
戦士と魔剣は、目の前の護衛の相手で手一杯である。王の詠唱を阻害したいが、動けなかった。
ここはスカウトが動くとベストであったが、彼は後方で待機したままだった。
魔法使いが対魔法用の障壁を展開した。
障壁により威力を弱められた王の魔法は、パーティーの中心で炸裂した。
ライナー系魔法の様で、火傷や行動鈍化などの状態異常はなかった。
ディスペルを完了した僧侶は、すぐに継続治癒する回復魔法を詠唱し始めた。
以前も使われた魔法だが、簡単に言えばリジェネレーション効果の魔法だ。
徐々にHPが回復するという魔法だ。
コボルト王は回復役に動かれるとやっかいだと判断したのか、再度召喚魔法を詠唱し始めた。
魔法使いが護衛に向かって状態異常魔法を使うが、魔法を無効化されてしまったようだ。
僧侶がまたディスペルに入る。
それを見た王は、別の魔法の詠唱を開始した。
魔法使いは援護を確実にするため、魔法無効化能力を低下する魔法を詠唱した。
護衛の魔法無効化能力が低下したが、僅かである。
そのとき、王の魔法が戦士に炸裂した。
戦士「うぐっ!」
戦士を眩暈が襲った。
戦士「毒!?」
戦士の態勢が崩れた。そこを護衛が追い打ちをかけた。
僧侶は毒をどうにかしなければ、戦士が動けないことを理解していたが、体力の回復も必要であることがわかった。
体力回復魔法を優先し、戦士に掛けた。
リジェネ魔法との相乗効果で、効果は出ていたが、毒が相当強いようで、すぐにまた膝をついてしまった。
魔法使いは対魔法障壁の魔法を重ね掛けし始めた。
戦士「くっ」
膝をつく戦士に、護衛の一撃が振り下ろされた。
絶命かと思われたそのとき、護衛の態勢が少し崩れ、致命傷を避けることに成功した。
隣で戦っていた魔剣が、魔法無効化されにくいライナー系魔法で護衛に援護射撃をしたのだった。
そしてすぐに魔剣は、自分の担当する護衛との戦いに戻った。
僧侶は体力回復魔法をかけようとしたが、その瞬間、戦士が倒れた。
僧侶「!!」
僧侶はしまった!と思ったが手遅れだった。致命傷はさけたが、毒によりやられてしまったようだ。
戦士を倒した護衛は、後衛に向かってきた。
スカウトが対応する。
魔剣と魔法使いの2人で護衛1体を相手し、スカウトがもう1体に対応する形になった。
王はフリーになってしまっている。
僧侶がスリッパの使い時かと思ったその時、ドアから何かが入ってきた。
僧侶は兵が戻ってきたかと思い、スリッパを取り出した。
すると声が聞こえた。