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ふいうち


先陣を切る魔剣に遅れること一瞬、戦士が続いた。

スカウトは敵の動きをみて対応しようと、後衛の近くで待機している。


魔法使いの詠唱していた全体魔法は、先ほどの光の現象の驚きで中断されていた。


魔法使い「奇襲失敗か」


僧侶「敵が少ない分、詠唱の長い全体魔法じゃなくていいです。撃って!」


すぐさま魔法使いは詠唱に入った。


王は側近を戦士たちにぶつけると、なにやら両手を体の前で合わせて詠唱を開始した。


側近と戦士たちがぶつかると、王の魔法が発動した。


側近たちと王のいる場所の間に魔法陣が現れ、悪魔が召喚された。


僧侶「くっ!すぐにディスペルします!!気にせずそのまま護衛をやって!!」


僧侶がそう叫ぶと、悪魔を見て一瞬ひるんだ戦士の体に、また力が入った。


的確な後衛のサポートで、前衛も崩れずに対応できている。

本来であれば、このあたりでフェアリー軍団が加勢に来たであろう。しかし今はいない。



その頃、別パーティーはというと・・・

別の部屋に兵と一緒に転移していた。


冒険者1「強制転移!?王の間自体がトラップ部屋だったのかよ!!!」


冒険者3「今更言っても始まらん、スリッパで脱出してくれ!」


冒険者2「待って!こいつら放置して、ほかのメンバーは大丈夫なの?そっちがやられることにならない?」


冒険者4「くそっ。なんてことだ、こんな事態は想定してなかった」


冒険者5「余裕はない!スリッパを使うぞ!」


突然の転移は、全体魔法による奇襲という作戦を失敗させ、立て直すだけの手順を考える余裕を彼らから奪っていた。これが平時であれば立て直して対応することは十分可能だっただろう。しかし転移による混乱で思考がうまくできなかった彼らは、離脱を決定した。



同時期、別の部屋に転移したもう一方のパーティーはというと、、、


フェアリー4「!! 転移!?」


フェアリーたちの詠唱が止まった。

人間騎士はすぐにピンチを悟った。

獣人騎士は光が薄れると同時に、睡眠魔法の詠唱を開始した。

それを間近で聞いたフェアリーたちは、順次行動阻害魔法を詠唱し始めた。


人間騎士「よし、いいぞ」


戦闘態勢をとった彼だが、前衛で戦闘態勢なのは彼1人だけだった。

兵たちはその1人めがけて殺到し、残りは後衛にいる獣人騎士に向かっていった。

フェアリーは小さくて居場所がわかりにくかったようで、初回には狙われなかった。

人間騎士が最初の攻撃を防ぎ、食らいながらも対応していると、睡眠魔法を詠唱していた獣人騎士は、複数の兵から攻撃を食らっていた。彼は詠唱中だったため、防御ができなかった。


獣人騎士「へへっ。いいぞぉ。狙い通りだ」


大ダメージを受けながらも、その顔は、してやったり!という表情だった。

彼は自分が犠牲になってでも、意識の不意を突かれたフェアリー部隊を現実に引き戻すために、睡眠魔法の詠唱を開始したのだった。

狙い通りにフェアリー達は、魔法の詠唱を開始してくれた。


そして次の瞬間、コボルトや悪魔、オークといった兵たちは氷結魔法で行動が遅くなり、そこに睡眠系魔法がヒットし、さらに全体状態異常攻撃のフレンジーミストが炸裂した。

これで兵たちの不利が確定した。

悪魔系以外の獣人たちは動きを止めた。

攻撃されていた獣人騎士も、目の前の獣人の攻撃を耐え、いまや悪魔の対応をしている人間騎士を補助すべく駆け付けた。


人間騎士「おー、無事・・・じゃないが生きてたか!」


人間騎士は、チラリと横を振り向き、獣人騎士が活動できていることを確認すると、また目の前いる悪魔の対応に戻った。


フェアリーたちは次の魔法の詠唱に入った。

対魔法障壁を展開する魔法、無属性魔法のライナー系魔法、混乱魔法、窒息魔法を立て続けに放った。


騎士たちは魔法障壁で守られ、魔法の抵抗力が増した。

せっかく展開させたが、悪魔も魔法を詠唱する余裕はないだろうから、意味はないかもしれない。だが保険にはなる。

混乱魔法にかかった悪魔は、明後日の方向に向かって、なにかしている。

騎士とぶつかる悪魔には、ライナー系魔法が追い打ちをかけ、つばぜり合い的なことをしているときに横やりを入れられ、悪魔は体制を崩した。

その隙を逃さず、騎士はトドメの一撃を入れた。

そして窒息魔法が、動きをとめていた獣人たちに炸裂し、一斉に死に絶えた。

ほぼ勝負は決まった。

あとは狂った悪魔1体と騎士が相手している2体の悪魔だけだ。

今度は魔法無効化能力を低下させる魔法をフェアリーたちは一斉に放った。

これで魔法の通りがよくなる。

すぐに状態異常魔法や攻撃魔法で追撃を開始した。

クソうざったいフェアリーを始末したい感情にとらわれた悪魔だが、手遅れだった。

小さくても対象を魔力感知で探せば問題ないが、すでにそんな集中をする余裕が悪魔にはなかった。

目の前の前衛をどうにかしないと、自分がやられるからだ。

ついに最後の悪魔が倒された。


人間騎士「ふぅ、みんな無事か?」


周りを見渡すと、皆が駆け寄ってきた。


フェアリー3「大丈夫よ。当初の作戦は失敗したけど、どうにかなったわね」


フェアリー4「おそらく別のパーティーも転移してるだろうから、王の間にいるのは1パーティーかな」


獣人騎士「よし、応援にいくぞ」


フェアリー2「転移魔法はまだ余裕あるから、いけるよ」


人間騎士「まずはお前の治療だろ」


そう言われて獣人騎士は、自分が大けがを負っていたことを自覚した。

興奮して忘れていたようだった。



さて、王の間では、、、


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