魔法習得
いつもの食事処に到着すると、こちらに向かってくる冒険者がいた。
冒険者1「よお、何かわかったか?」
スカウト「ん?何のことだ?」
冒険者2「どこの地域でも地下に行くほど、闇の宝珠の力が強くなる謎についてだよ」
戦士「ああ、そういえばそんなことを前にここで話しましたね」
冒険者1「で、どうなんだ?」
魔剣「それと関係あるかわからんが、この前地下13階に行ったら、通路や部屋が全部ランプで照らされてたぞ」
冒険者2「え?なんでだ?」
戦士「さぁな。よくわからないんだ」
冒険者1「収穫無しか。わかった。ありがとな」
そういうとまた別の冒険者の一団の元へ走っていった。
僧侶「あ、奢ってもらうの、忘れましたね」
スカウト「店に入ると同時に話しかけて、情報だけ持ってくとは。やられたな」
そのあとは特に何もなく、食事を楽しみ、宿へ戻った。毎回それだけを食べてるわけではないだろうが、塩味肉。飽きないのだろうか。
休息日
魔法使い「魔法の練習しに、訓練場に行ってくるね」
僧侶「私もいきましょう。魔剣さんはどうします?」
魔剣「ん-。行っておくか」
スカウト「スペルキャスター組は全員訓練場だな。ほどほどになー」
練習から戻ったスペルキャスター組から、居残り組は報告を受けた。
魔法使い「ついにクラス7の魔法である転移魔法を習得したよ。その練習もしてきた」
僧侶「私は回復魔法の強化版を習得したのと、同じくクラス7の浄化の魔法を習得しました」
戦士「どんな魔法なんですか?それ」
僧侶「アンデッドや悪魔系を即死か瀕死にする魔法らしい。発動訓練しかできなかったから、実際の効果は実戦で試すしかないな」
スカウト「以前蝙蝠に打ち込んだ聖属性魔法の上位版なんだろうな」
魔剣「私は浮遊の魔法を習得したから、地図や浮遊などの補助はおまかせあれって状態だな」
戦士「魔法使いさんと棲み分けができたのは、いいですね。魔力の影響も小さいでしょうし」
スカウト「すると、次回からはついに転移魔法で現地へ飛んで探索か」
魔法使い「そこなんだけどさー」
そういうと魔法使いは皆を見回した。
魔法使い「クラス7の魔法が2回しか使えないのね。だから往路と復路でそれぞれ1回しか転移できないの」
戦士「それで十分じゃないか?」
魔法使い「例えば現地で、結構分岐まで戻ったりする事あるじゃない?そんなときに使えると、便利だなーって思ってね。でもそれやっちゃうと帰りの魔法使えないし、かといって往路を歩いて王城までいくと、それだけで体力とか消耗するからね。困ったなぁと思ったのよ」
スカウト「確かに便利さを求めたらそうだが、今回は、往路での疲労カットが達成されるだけでも十分だと思うぞ」
僧侶「そうですね。それに帰りはいざとなればスリッパがありますし」
魔法使い「ならいいか。そうねスリッパあるもんね」
魔法使いは納得したようだった。
戦士「じゃあ、あとは明日の出発に向けて各自準備してくれ」
それを聞いて、それぞれが消耗品の仕入れに街に繰り出した。
出発日
戦士「よし、今回は初の転移で出発だ。なんかどきどきするな」
魔法使い「ダンジョンにある、目の前が白くなるワープとあまり変わんないよ」
魔剣「外側からワープする人がどうなっているのか、昨日初めて訓練場でみたな」
魔法使い「じゃあ、この線の中に入ってね」
そういうと魔法使いは杖で地面に円を適当に描いた。
魔法使い「じゃあ、いくよ」
そういうと魔法詠唱を始め、少ししたところで目の前が真っ白になった。
光りが薄れるとダンジョンのある空間にいた。
ランプが灯っているところから、地下13階のようだ。
戦士「ここか」
魔法使い「具体的には、この扉の向こうは、前回強制転移させられた部屋ね」
スカウト「敵もいなかったあの大部屋か」
慎重にドアを開けるも、やはり誰もいなかった。
スカウト「今度は壁際を歩いて、向こうのドアまで行くぞ」
そう言うと、スカウトに続いて全員で壁沿いを歩いて、部屋の反対側にあるドアに向かった。
今度は転移しなかった。
戦士「うまくいったようだな」
スカウト「そうみたいだ」
ドアを開けると小部屋があるだけだった。
スカウトが調査したが、何もなく、行き止まりの部屋のようだ。
スカウト「なんてこった。ということは、どこかにシークレットがあるってことか」
魔剣「だろうな」
手書きの地図をみるスカウトは、怪しい場所に目星をつけた。
部屋と部屋をつなぐ通路の壁、通路が行き止まりになっている場所の壁だ。
スカウト「候補は多いが、調査していくぜ」
行き止まりの通路の壁にシークレットドアがあった。
スカウト「よし、いいぞー」
手ごたえを感じたスカウトは、機嫌がよさそうだった。
そしてシークレットを抜けた先も通路だった。
今度の通路は、正面と右手に2つに分かれていた。
スカウト「とりあえず正面にいくぜ」
正面の通路の先にはドアがあり、ドアの先は広い部屋だった。
広さはこれまでと同じく50m四方で高さは10mくらいあった。
部屋にいた悪魔と蝙蝠、コボルトがこちらに気づいた。
僧侶は習得したての浄化の光の魔法を詠唱した。
悪魔は消え去った。
同時に魔法使いがコボルトに睡眠魔法をかけた。魔剣は蝙蝠に氷系魔法を詠唱している。
動きが鈍った蝙蝠を戦士とスカウトが処理していく。
続いて僧侶が傷ついた前衛に回復魔法を詠唱し、前衛は寝ているコボルトにトドメを刺していった。
戦士「片付きましたね」
僧侶「順調に終わってよかった」
スカウト「じゃあ、先にあるドアに進むぞ」
部屋の反対側にあるドアを開けると通路だった。
通路の先はドアではなく、広い空間が見えている。
戦士「いままでと違う構造ですね」
広場に出たところで、後ろの通路が壁に変わった。
僧侶「魔法の壁だったようです」
今度の部屋は横幅は30m程度だが、奥行きが100mはあろうかという広さだった。
その広場を抜けると、ドアがあり、また通路だった。
通路は90度に曲がっていたが、曲がった先にはドアがあり、看板があった。
”この先 玉座”
戦士「ついに玉座か」
僧侶「やばかったら、即座にスリッパ使いますよ」
スカウト「そうしてくれ」
一行は緊張した状態でドアを開けた。