進展
地上に戻った一行は、いつもの鑑定屋へと向かった。
鑑定屋のカウンターにアイテムを並べ、店員が鑑定人を連れて戻ってくるのを待っていた。
魔剣「この武器が気になるな」
魔法使い「私はこの杖かな」
僧侶「スクロールには誰も期待してないんですね」
鑑定人がカウンターに入った。
鑑定人「さて。おお、これは」
そういうと金属の塊を手に取った。
鑑定人「ミスギル製の塊ですね。ふむ、こちらの鑑定料は無料となります」
続けてほかの品の鑑定を開始した。
しばし待つと、鑑定人が口を開いた。
鑑定人「今回の品は、これらになります。併せて鑑定料はこんな感じです」
そういうと紙に品物名と鑑定料が記載されていた。
”ミスギルの剣”
”銀の鎖帷子”
”ミスギルメイス”
”チェインキャップ”
”眠りのスクロール”
”Midポーション2つ”
”毒消し2つ”
魔剣「やはりミスギルの剣だったか。利用者がいないから、また売却だな」
魔法使い「この杖って、特殊効果はあるんでしょうか?」
魔法使いは期待しながら返答を待った。
鑑定人「これは単に護身用ですので、魔法具の類ではありませんね」
魔法使い「またか・・・」
スカウト「いるのか?」
魔法使い「いらない」
鑑定人「特殊効果のある杖なら、武器屋を巡るのも1つだと思いますよ」
魔法使い「うん・・・」
魔法使いは残念そうだった。
魔剣「また箱に期待だな」
僧侶「どんな杖を狙ってるんですか?」
魔法使い「魔力強化のやつかなー。次に魔法効果が込められてるやつね。自身の沈黙対策に」
僧侶「なるほど」
スカウトは提示されている金額を支払うと、皆で鑑定屋を出た。
スカウト「次はこの塊を大聖堂で買い取りしてもらうか」
戦士「ですね。いきましょう」
大聖堂の大扉の前にはいつものメンツが立っていた。
司祭数人と使用人である。
戦士「遺物を持ってきました」
そう挨拶すると、司祭が反応した。
司祭「おお、では!」
そう言うと、使用人を呼び寄せ、案内させた。
使用人にいつもの取引部屋に通され、商人を待った。
商人「おやおや、またあなた方でしたか。今度は何でしょう?」
戦士「これですね」
そういってミスギルの塊をテーブルに出した。
商人「おや、珍しい。ミスギル塊とは。金額はこのような感じですね」
そういってお金をテーブルに取り出した。
戦士「よし、次は防具屋か」
スカウト「だな。いくか」
いつもの変わらぬ商人の対応に、一行も変わらず対応して終わった。
このやり取りを特別な感情を持って遠くから見ていた人物が1人いた。
大司祭である。
大司祭「また奴らか。いいぞ。あれはミスギル塊。この前のパーティーといい、そろそろかの」
大司祭はニヤリとすると顎髭を撫でた。
魔剣「またあの防具屋にいくのか?」
スカウト「あちこち回って価格を比較してもいいんだが、お得意になった方が便利だろうからな」
戦士「なるほどね」
一行は防具屋に入っていった。
店主「いらっしゃい。おお、あんたらか。この前のミスギル鎧!高く売れたよ。ありがとなー」
店主は上機嫌だった。
戦士「またミスギルの剣を持ってきましたよ。あとは珍しく杖ですね」
店主「ほうほう」
そういってカウンターに並べられた品々を店主は見ている。
店主「ミスギル製の杖に剣か。またレアモノでいいねえ。この銀の鎖帷子はいらないのかい?」
店主は続けた。
店主「後衛でもローブの下に着ておくと、何かと便利だぞ」
僧侶「では私が着用しようかな。仕事柄、幽霊とやりあうし」
スカウト「じゃあ、この鎖帷子は引き取りなしで頼む」
店主「わかりました。あとは買い取りでよろしいでしょうか?」
戦士は一行を見渡し、同意すると頷いた。
戦士「次は魔法具の売却と仕入れですね」
店主「ああ、そうだ。出来たらでいいんだが、フェアリー用の武具を見つけたら持ってきてほしい。
相場より高めに買い取らせてもらうよ。あとは、そうだなあ」
店主は天井を見ながら、一呼吸置くと
店主「銀武器のコーティングを割引で請け負ってもいいぞ」
スカウト「わかった。考えておくぜ」
そう返答して、一行は道具屋へ向かった。
戦士「いい条件を引き出せましたね。この依頼をこなせば、あの店にさらによく扱ってもらえるかな」
スカウト「かもしれんな」
魔剣「頼られるというのも、よいものですな」
戦士の剣と鎧を見て、目を輝かせている冒険者の一団がいた。
戦士「昔の自分だなぁ。銀の剣が特にうらやましかった」
魔剣「今は銀の鎧まで使っているからな、相当なもんだぞ」
僧侶「2人の前衛が銀武器とミスギル武器なんて、よく考えたらすごいですね。当初は考えられなかった装備だ」
魔法使い「そうだねー。私たちの魔法も強くなったけど、前衛も順調に強化されてるよね」
話しながら移動し、道具屋に到着した。
店員「いらっしゃい。今度もスリッパですかい?」
楽しそうに声をかけてきた。
僧侶「今回はスリッパは不要ですね。前回のが残ってるんですよ」
店員「そいつぁ、残念」
スカウト「この品を買い取ってほしい」
そういうとカウンターに薬品とスクロールを並べた。
店員「お、眠りのスクロールはいい品だな。回復ポーションもいいじゃないか」
店員の目が輝いている。
店員「これなら、こんなもんでどうだい?」
金額のメモを手渡してきた。
戦士「まあ、いいんじゃないですかね」
スカウト「ふむ」
店員「じゃあ、この額で」
そういうと店の奥の金庫からお金を取ってきたようだった。
戦士「ではこれで用事は済みましたね。あとは宿で整理して、食事ですか」
魔剣「いつものコースだな。うむ」
そういうと皆で宿に戻っていった。