表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/183

戦利品




地下11階の一度歩いた区画を再度調査する一行。


スカウトも休憩したおかげで集中力を保っており、もしシークレットドアがあれば発見できそうな感じだった。


戦士「通路の突き当りは、2つとも何も無しですね」


スカウト「あとは部屋が2つか」


1つの部屋はダークゾーン、もう1つは普通の部屋だった。


スカウト「ダークゾーンの中にシークレットがあったことが前に1度あったな。今回もその可能性を考慮してゆっくり進ませてもらうぜ」


真っ暗な部屋に入るとランプが消え、スカウトの手探りによる調査が始まった。


その時、ぼやーっと白い影が空間に浮かんだ。


戦士「幽霊だ!」


戦士は身構えた。続いて僧侶がすぐにディスペルに入った。


魔法使いは、魔法対策用のシールド魔法を詠唱した。


幽霊の氷系魔法を防ぐことに成功し、僧侶のディスペルが決まった。


スカウトは、順調そうな戦いを見て、すぐに調査に戻った。


僧侶「ふぅ。ダークゾーンでの戦闘は初めてですね」


魔法使い「獣人系はいないだろうけど、目に頼らない、幽霊とか昆虫は攻撃してきそうね」


魔剣「昆虫か。この暗さで攻められたら、我々前衛は何もできんな」


魔法使い「なら私が魔法で処理するから、後衛の防御に徹してくれる?」


戦士「そうしたいんだが、そもそも昆虫が見える気がしない」


僧侶「ああ、そうか。ダークゾーンでは敵の魔力の流れを感知できないときついですね」


魔剣「私は魔法を使うおかげか、なんとなく位置がわかる。ダークゾーンでは私が護衛を担当しよう」


戦士「すいませんが、よろしくお願いします」


僧侶「もしかして・・・」


そういうと僧侶はクラス1のランプ魔法を詠唱した。


光の玉が空中に発生し、直径3m位を照らし出した。そして30秒くらいすると光は消えた。


戦士「お、これなら近くにいる奴は、どうにかできそうだぞ」


僧侶「回数制限ありますから、毎回とはいかずとも、魔力感知から敵数が多そうなら詠唱することにしましょうかね」


新たな戦い方を発見していた一方で、スカウトは壁の調査を続けた。


魔法使い「ねえ。そのランプ魔法で壁を照らせば?」


僧侶「それはいいですね!やってみましょう」


そういってスカウトの声のする方へ歩いていき、壁を確認するとランプ魔法を詠唱した。


空中に光の玉が発生し、あたりを照らすが、壁は真っ黒なままだった。


スカウト「くそっ!すべての光を吸収しちまう上に、凹凸もわからんくらいに真っ黒だな」


僧侶「ランプ魔法で照らす作戦は失敗ですね」


魔法使い「いい手だと思ったんだけどなー」


魔剣「ダンジョンの未知の部分は、やってみるまでわからんからな。いい提案だと思うぞ。おかげで壁の特性がわかったからな」


残念そうに言う魔法使いを魔剣が慰めた。


スカウト「ダメだな、ここには何も無さそうだ」


戦士「ではもう1つの普通の部屋ですね」


魔剣「普通の部屋なら、とっくにシークレットが見つかってそうだがな」


あまり期待せず、もう1つの候補の部屋を調査すべく移動を開始した。



戦士「この部屋ですね」


そこは何もない空っぽの空間。かつては大量の物資があったであろう倉庫に、一行は立っていた。


スカウトが調査を開始して少しした時だった。スカウトは何かに気づいた。


スカウト「お、これは」


隠し通路だった。しゃがまなければ通れないほどの狭さだが、確かに通路だった。


戦士「やりましたね。早速いきましょう」


隠し通路を抜けた先にはドアがあり、看板が下がっていた。


”戦利品保管庫”


中に入ると、誰も入った形跡がなく、物資が少し保管されていた。


スカウト「杖と剣が1本ずつだけか。あとは何もないな」


魔剣「この剣、ミスギルの剣と似ているというか、ほぼ同じ気がするぞ」


魔法使い「嫌な魔法使いは、本物に似せた武器に呪いをかけるって言うよ」


戦士「それは危険だ」


魔剣「収納ボックスに格納しておくか」


更に部屋をみると、長方形の部屋の一角には壁が出っ張っている部分があり、ドアがついてた。

そして、そのドアには、看板がかかっていた。


”素材置き場”


一行は部屋の中に入ると、1つを除いて何もなかった。


スカウト「狭い部屋だな。これはスイッチか?」


スイッチを押すと、目の前が真っ白になり、光が薄くなると別の場所に立っていた。


スカウト「地図魔法で場所を確認してくれ」


魔剣が地図魔法を詠唱し、地図を表示した。


戦士「倉庫群に飛んできた場所の近くですね」


スカウト「だな」


そして一行が飛んできた部屋を見渡すと、そこはとても広い空間で、ドアが近くに1つだけあった。


僧侶「そのドアの先はダークゾーン部屋ですね。すでに踏破した場所に出るようです」


スカウト「ここは調査したときに、ダークゾーン部屋からは何もわからなかったな」


魔剣「一方通行のドアってことだろうな」


魔法使い「閉じたら壁になるやつかー」


ドアがあるのとは反対側の壁際を見ると、いくつか木箱が詰みあがっていた。

木箱は腐っており、崩れていた。

調査をすると、金属の塊が出てきた。


戦士「遺物ですかね」


スカウト「おそらくな」


僧侶「地図魔法を見る限り、あと怪しいところはなかったですし、ここまでにして帰還しますか」


戦士「そうだな。階段もわかっているし、ランプも消費したから戻ろう」


スカウト「毎回スリッパ使うのはもったいないな」


魔法使い「徒歩だと悪魔の館を抜けるのが大変なんだよね。それによくみるとあそこ、出口側から入るところがないのよね」


スカウトはハッとした。


スカウト「ん、なんだと。ということは別の通路があるってことだ。地図魔法をもう一度頼む」


魔剣が地図魔法を唱え、地図が表示された。


スカウト「この王城の入口にある壁、両サイドが怪しいな。それにワープステーションからこの区画に飛んできたが、地図をみるとこの通路の壁全部を調べれば、シークレットがあるはずだ。でなければ戻ることができないからな」


魔剣「なるほどな」


戦士「ではまだ余力がありますし、調査を再開しましょうか」


まずはワープステーションから飛んできた空間と、そこから延びる通路を調べることにした。


スカウト「ビンゴ!あったぜ」


魔剣が地図魔法を詠唱し、地図を表示した。


戦士「なるほど、意味のなかったダークゾーン通路につながっているんですね」


一行は見つけたドアを通り、ダークゾーン通路へ抜けた。全員が抜けるとドアは壁になってしまった。


魔法使い「一方通行ドアだったみたいね」


スカウト「探しても何もないはずだぜ」


戦士「次は王城入口付近ですね」


引き続き王城入口付近の壁を調査していった。


スカウト「ここも当たりだ」


悪魔の館を抜けた先の空間の一角にある、短い行き止まりの通路。その先の壁が回転し、ドアになった。

そして、通路に出るとまた正面にドアがあった。

そのドアの先も通路が続き、ドアが正面と左にみえる場所に来た。


魔剣は地図魔法を詠唱した。


スカウト「最近、地図魔法使ってほしいなってタイミングで、魔剣が詠唱開始してくれて助かるぜ」


魔剣「それはよかった」


2つのドアのうちの1つは、階段のすぐ横に出られる一方通行ドアのようだった。

もう1つのドアは、まだ先へ続いているようだった。


スカウト「先に続くドアの先を調査するか」


ドアを開けると小さな部屋にでた。


僧侶「休憩にはよさそうな場所ですね」


スカウト「階段も近いし、用はないな。シークレットだけ調査しておくか」


スカウトはそういうと部屋を調査したが、何もなかった。


戦士「ではそのドアから階段に出ましょうか」


一行が2つのうちのもう1つのドアを通ると、全員が通ったところでドアは壁になってしまった。


魔剣「やはりか」


戦士「悪魔の館を素通りできるとよかったんですが、これでは無理ですね」


少し歩くと上り階段がある。


スカウト「この階段は地下9階への階段だな。俺らがこの階層に降りてくるのに使ったやつだ」


僧侶「ということは、この通路の先は悪魔の館ってことですね」


スカウト「そうだ」


魔法使い「じゃあ、歩いて戻ろうよ」


僧侶「スリッパ代の節約ですね」


戦士「悪魔の館を抜けてワープステーションから戻るより、この階段の方が安全か」


スカウト「そういうこった」


一行は階段を上り、この地下11階に来た時と同じ道をたどって地上へ戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ