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とある冒険者たち

地下9階



長い階段を降りると、ちょっとした空間に出た。左右に道が分岐しており、分岐した先にも道が分岐しているのが見える。

そして、あたりを伺うと、どうも先ほどの古城のようなものとは様子が異なり、ゴツゴツとした岩がむき出しの洞窟となっていた。


スカウト「先ほどまでとは空気が違うな」


僧侶「大分下層に降りてきましたからね」


魔剣「それだけ闇の宝珠の力も増しているはず。地下種も強力になっているだろう」


まだ城の面影が残っており、通路と部屋がある程度規則正しく並んでいる。


通路は分岐が多いが、すぐ別の通路と合流しており、人が多い時代なら、ぶつからずに人数をさばける構造だった。


スカウト「分岐だらけで嫌になってくるぜ」


戦士「すぐ合流するのが面白い構造ですね」


魔剣「複雑だな。地図魔法で確認して地図を改めるのも手だぞ」


スカウト「そうするか」


魔剣が地図魔法を詠唱し、目の前に等身大の地図が表示された。


スカウト「修正、修正っと」


魔法使い「ほんと複雑だねえ」


戦士「地図魔法を使えるのが2人いるのは助かりますね」


僧侶「地図魔法用のアイテムを購入する経費の削減は成功ですね」


スカウト「こんな構造なら、なるべくドアに入らず通路を歩ききってみるか」


そういうとドアを無視して、通路のマッピングを開始した。



しばらく探索し、通路で囲まれた未踏破区域が浮き上がってきた。


スカウト「次はこの通路に囲まれた空間を歩いて、階段がないか調査しよう」


どこも小規模な空間であり、特に何もない部屋が続いた。


スカウト「次はここか」


ドアを開けると焚火の跡が見つかった。


スカウト「比較的新しいな。ほかの冒険者か、獣人か」


付近のドアも開けてみたが、特に何もいなかった。


そして、次のドアを開けようとすると、話し声が聞こえた。


スカウト「冒険者ぽいな」


ゆっくりドアを開けて中を見ると、身なりのいい冒険者とその一団が何やら口論していた。


身なりのいい冒険者「せっかく古城ぽい場所に着いたと思ったら、なんだこの洞窟は!

宝なんかありそうにないではないか!!」


冒険者1「きらびやかな古城ではなく、こういったところに宝を隠すのも1つなのですぞ、坊ちゃま」


身なりのいい冒険者「む?そうなのか?ならばこのまま探索を続けよう。さぁ行くぞ!」


女性冒険者「あ、あの・・・。もう残りMPが少ないので一度帰還した方がよろしいかと」


恐る恐るそう発言した。


身なりのいい冒険者「何?もうMPが無いのか!式典で護衛についていた宮廷魔術師を連れてくればよかったな。あいつはどうしてこんなのを私によこしたんだ?」


女性冒険者はビクビクとした様子で話を聞いている。


冒険者1「坊ちゃまの遊・・あ、そ、、、あ、そうそう!王に大事な用事を言いつけられたとかで忙しいとおっしゃっていましたよ」


身なりのいい冒険者「ぬぅ。護衛の騎士も本国の仕事があるとかで、この宝探しに同行しなかったし、腹立たしい!」


何やら手を組みながら、顎に指をあてて思案している様子だ。


身なりのいい冒険者「まあ、全滅するよりは良いか・・・。仕方ない、一度帰還するぞ!おい!ポーター!!

軽い盾を持ってこい。それと、そっちのポーターは戦闘が起こりそうになったら、この盾を持ってこい!」



ポーター。

職業の一種。普通は街で待機し、パーティーのアイテム保管係や金庫番をやっている。

レベルの上昇や魔法習得はしない職業である。

そのため、ダンジョンに連れていく価値はない。



身なりのいい冒険者がそう言うと、奥に控えていたポーターの一団がいそいそと準備をし始めた。


そして身なりのいい冒険者がこちらに気づくと、近づいてきた。


身なりのいい冒険者「ん?汚らしい恰好の冒険者どもめ。さっさと道を開けろ!」


そう言って部屋を立ち去り、仲間の冒険者たちが後に続き、女性冒険者がこちらに一礼すると、急いで部屋を出て行った。



準備しているポーター達を見ていると、魔法使いが突然転移魔法で現れた。

そしてスクロールや薬をたくさん取り出し、それをポーターに渡すと、また転移魔法で去っていった・・・


戦士「いきなり現れたと思ったら、消えた・・・」


魔法使い「転移魔法でこのアイテムを届けに来ただけなの?」


僧侶「同行しないんですね。強力な魔法使いなはずなのに」


そんな会話をしている横では、ポーター達が魔法使いから受け取ったアイテムを整理している。


とその時、部屋に獣人の一団が入ってきた。


魔剣「ゴブリンと犬、コボルトもいるぞ」


戦闘態勢をとり、相手の様子を伺いつつ、魔法使いが魔法の詠唱を始めようとした。


ポーターの数人が即座に反応した。


ポーター「大丈夫です。ちょいと失礼」


そういうと、横にいたポーターの範囲魔法が炸裂した。


そして獣人の一団を一瞬で全滅させると急いで部屋を出て行った。


スカウト「あれ、絶対ポーターじゃねえだろ」


魔法使い「最上級攻撃魔法使ってましたよ?」


戦士「でも装備は前衛職のものだったぞ?」


魔剣「私の将来の姿だな。魔法剣士のマスターだろうよ」


僧侶「さっきの転移してきた人といい、あの坊ちゃん、相当護衛されてますね」


スカウト「ちげぇねえな」


気を取り直して、探索を再開した。


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