解明の始まり
スカウトはふと目に留まった本の題名を見た。
"闇への対策と種族" "グスタ=バス=バーグ著"
ダンジョン深層にいる強力な種族である悪魔種や吸血鬼種などへの対応策でも記載されているのかと思い、本をめくった。
・・・全然違う内容であった。
地上で生活する種族は夜になると原則として睡眠をとる。
つまり、言うと睡眠をとる時は明るい場所を好まない。
逆に我々天上人種は寝るときであっても明るい場所を好む。暗闇は不要なのだ。
かつて同胞たちは"セレス種"と呼ばれていた。光バカ種という意味だ。
つまりは蔑称である。そう呼ばれるほどに我が種族は闇を嫌っていた。
”ルター=ウィン=サルタバ著”の"昼と夜"に記載があるが、昼のみの世界にした場合、闇の宝珠の管理者、監視者ともいえる者が必要であった。
そこで地上にいる原生種を基に獣人種を魔法科学で作り出し、彼らに闇耐性を持たせ、我々が苦手な闇しかないダンジョンでの監視任務に就かせるのがよいと判断した。
そう、現地上種にとっては夜はあっても困らない物であり、むしろ睡眠のためには必要なものであった。だから彼らに闇の宝珠の監視を依頼しても反故にされることは火を見るより明らかだった。
我々の選択肢はこれしかないのである。
獣人種作成については"フォル=サンドーリャ=ロン著"の"遺伝子について"を参照されたい。
・・・読み進めても悪魔種や吸血鬼種については何の記載もなかった。
何よりも衝撃的なことが書かれていた。
獣人種を作り出した?自然の生物ではないということ?
確かに人型生物とのキメラみたいだなとは思っていたが、人間とドワーフみたいな差とも思っていた。
浮遊大陸人が作り出した生物、それが獣人種だった。
スカウトは本を棚に戻すと急いで"遺伝子について"の本を探し始めた。
各員は熱中しているようでピクリとも動かない。
そんな中をすり抜け、目当ての本をスカウトは発見した。
"遺伝子について" "フォル=サンドーリャ=ロン著"
これだ。