禁忌と神の使い2
冒険者たちの話は続いていた。
魔剣「その時の太刀筋というか、動きがまったく見えなかったのも印象的だったな。
獣人部隊は一人一人に縦横それぞれ一撃いれて両断されていたんだが、、、
その、なんだ、何と言うか、横はとても大きな武器で1回横なぎすれば切れたとして、縦はそれぞれの個体に一撃ずつ入れる必要がある。それをやってのけていた。
動いたことすらわからない速さでな」
スカウト「太刀筋については、そうやったと巨大リズマンが自分で説明してくれたな。
ただ、20m以上離れた相手をその場で切り伏せることが出来る武器だったのか、その速さを活かして高速で接近して攻撃後に、また高速で元の位置に戻ってきたのかどっちかはわからんがな」
戦士「あとは、そうだなぁ、、、上鎧しか着用していなくて、腕や脚がむき出しだったので、そこをドラゴン金属の武器で攻撃されたらダメージを受けるのではないかと質問したのです。
無傷だと返答されましたけど」
防衛長官は自分も長官会議の場で神の使いに色々質問したが、彼らも負けずに質問していたんだなと思うと同時に、有用な情報が得られたことがありがたかった。
魔剣「見えないスピードの技と、上位金属でもダメージを受けない存在を前に、我々も終わりかと思ったが、ルール違反していないということで見逃してもらえたな」
セイジ「私たちの敵でも味方でもないとも言ってたかな」
防衛長官「我々の部隊がやられたときは、腰に下げていた刃に実体のある剣で攻撃していたな。
ということは、我々が見ていない武器が本命だったということか・・・」
神の使いのドラゴンと対峙し、散っていった獣人の特異種達。
彼らは実体のある武器で攻撃されていた。
つまりは遊ばれていたということだ。実際に戦闘をモニター越しに見ていて、本気ではないことは何となく感じていたが、武器までも手抜きされていたことが今判明した。
司書長官「君らはそのあとどうしたんだね」
防衛長官が何やら物思いにふけっているようだったので、司書長官は話を進めようと口を挟んだ。
先を促された冒険者たちは、時々視線を上に向けて思い出しながら話し始めた。
戦士「全身黒いローブの人影が現れて、巨大リズマンと一緒に転移していなくなったのを確認してから浮遊大陸を離脱しました」
補佐「!! そうだ。その黒ローブの男!
大司祭室に現れて聞いたことのない魔法を使っていました!」
防衛長官「あの男も現れたのか。
その聞いたことない魔法。クラス119相当の魔法とのことだ・・・」
冒険者全員の顔がポカンとなってしまった。
防衛長官「驚くのも無理はない。
聞き間違えでなく、クラス119なのだ。
実際に彼らの攻撃により患った毒や石化は、失敗しないはずの治癒魔法でも治すことが出来なかった」
補佐「クラス119?なんですかそれは!?」
セイジ「クラス8以上があるってこと?えっ?」
防衛長官「地上にも解毒魔法1回で治せない有毒生物がいることは把握しているが、彼らの毒はそんな次元ではなかったよ」
魔剣「まさに神様だな」
部屋には沈黙が訪れた・・・