会合
側近「ここで待機していればいいのかね?」
転移部屋を出た通路で皆が歩みを止めたことで、側近が質問してきた。
補佐「中央に転移すれば感知できるので、迎えをよこすと浮遊大陸側から言われています」
団長「この施設にはあちこちに我々を監視する魔力装置があり、我々の存在はすでに彼らの知るところとなっています」
魔力装置。地上では使われていない代物であり、唯一ダンジョンの転移装置がある程度だった。
側近「そんなものが。これまであったドアなどの魔力装置もそうですが、こちらの文明には驚かされますな」
しばらく待っていると、防衛長官が天球長官と一緒に転移してきた。そして地上勢力を視界に収めると、彼らもまたこちらに気づいたようで、互いに手を振りあった。
団長「確か制御室にいた方々ですね。肩書は失念しましたが、責任者と認識しております」
防衛長官「ああ、あなたは騎士の団長さんだったかな」
団長「大司祭亡き今の代表を紹介いたします。こちらが大司祭の後任の大司祭補佐殿、こちらが王の側近の歴史学者殿です」
それぞれ紹介され、会釈をした。
防衛長官「私は防衛長官。この浮遊大陸の安全管理の責任者で、こちらが天球長官。天球、あなた方から見ると空に浮かぶ光る玉の管理者です」
天球長官「良いときに来てくれた。1つ大事なことを確認し忘れていてな。こちらから訪ねようかと思っていたところだったのだよ」
団長は自分が対応しようか、紹介が終わったので補佐に譲ろうか迷ったため、補佐の方にちらりと目をやった。
補佐は軽く頷くと、私が引き継ごうという感じで話し始めた。
補佐「それはどういったことでしょう?」
天球長官「実は・・・」
話しかけたところで防衛長官が手を挙げて遮った。
防衛長官「お話は別室でやりましょう。ここは往来の場ですので」
ごもっともな意見に反対する者はいるはずもなく、一行は長官の後についていくことになった。
浮遊大陸のとある部屋に到着し、中に入るとそこは幅10m奥行き15m高さ3m程度の部屋で、白を基調としたヨスギル金属プレートで作られた壁と天井があった。
部屋の突き当りには大きな窓があり、外から光が差し込んでいたほかには、部屋の奥にドアが1枚あった。
部屋の中央には幅3m長さ5mほどのテーブルを持つ応接セットが1つだけあり、部屋の奥にある窓際にはイスが2脚置かれていた。
天井には例の謎に光るプレートが埋め込まれており、窓際しか外光が差していないにも関わらず、部屋全体は明るかった。
防衛長官「こちら側へどうぞ」
長官に着座を促され、側近、補佐、団長、戦士、上級司祭が着座し、フェアリーは机に降り立った。
他のメンバーは壁際に置かれていた予備と思われる椅子をテーブル近くに移動させて着座した。