勲章授与
地上へ戻った一行は、鑑定屋で椅子がミスギル製であることを確認し、ゴブリンから僅かに入手した武具を売却した。
魔剣「よし、では本題の大聖堂へ報告にいくか」
スカウト「全滅場所はマッピング済みだ」
大聖堂の大扉前にいる司祭の一人に声をかけた。
戦士「全滅パーティーの情報を持っています」
司祭「おや、それはそれは」
そういうと脇で待機している使用人らしき人物を手招きした。
使用人「こちらへどうぞ」
大聖堂の中に入っていく。
天井は10m以上あり、とても高かった。
2階部分あたる壁はステンドグラスが張り巡らされていた。
天井は白い格子状の模様の中央が青く塗られ、金が所々散りばめられていた。
使用人「さあ、こちらです」
使用人に案内され、ある部屋のドアの前にきた。
ドアは木製で観音開きになっていた。
中に入ると別の司祭がテーブルに着いていた。
司祭「ここに来たということは、そういうことか」
そう言うと司祭は立ち上がり、こちらに向かって歩き出した。
すると、部屋の壁沿いにいた騎士も寄ってきた。
司祭「場所はどこですかな?」
スカウトは地図を取り出し、地下7階の隠し通路の先であることを説明した。
騎士「そんな場所に。隠し通路の先とはまた運の悪い」
司祭「まあ、仕方ない。遺体回収はこちらでしておく」
そういうと司祭は控えていた使用人に合図した。
使用人「今度はこちらへどうぞ」
先ほど司祭のいたテーブルに着くよう促された。
使用人「しばしお待ちください」
周りを見渡すと、騎士たちは別の者と相談しており、これからの回収の算段をつけているのだろう。
司祭は何やら箱を抱えてこちらに向かって歩いている。
司祭「お待たせしました。勲章を授与したいと思います。冒険者証をいただけるかな?」
全員が冒険者証をテーブルに置いた。
すると、司祭が何やらスタンプを押していく。
司祭「これは魔法のスタンプで、消えたりしませんのでご安心を。さて、と、、、」
そういうと司祭はこちらのメンバー全員の顔を見回した。
司祭「今回、皆さまは初の勲章授与ということのようですので、少々説明させていただきます」
使用人はまた手招きされ、呼ばれた。
司祭は説明するよう指示を出すと、その場をあとにした。
使用人「それでは勲章の有無による違いを説明いたします。
ギルドで勲章持ち専用クエストを受注可能になります。
また、冒険者の格付けといいましょうか、ランクが同じでも勲章持ちの方が優勢となります」
使用人「街の中には、勲章持ちにしか売らない物を取り扱ったりする店や人物がいると聞きます。
今後は今までと違うことが起きるでしょう。説明は以上です」
スカウト「なるほど、大聖堂のお墨付きってことで信用があるのか」
僧侶「これは報告して正解でしたね」
魔法使い「ランクかぁ。何もしてないな」
そのやり取りを聞いていた使用人が口をはさんだ。
使用人「ランクについて聞きたいなら、ギルドへ行くといいですよ」
その言葉を聞いて、一行は椅子を処分してからギルドに向かうことにした。
ギルド
カウンターにいる職員にランクについて尋ねた。
職員「基本的にはまず、一人前と言われるレベルになるまではランクに差はありません。
基準はレベルが優先です。一人前と言われるレベルは、スペルキャスターなら自職の全魔法を習得した
者のことですね。なので職業により一人前と言われるレベルは異なります」
魔法使い「まだまだだなぁ」
職員「一人前になった冒険者はレベルと功績でランクが上がっていきます。大聖堂のクエスト達成や、このギルドのクエスト達成、住人達からの感謝の報告などで評価されます。また、稀ですが王様からの指示により変動することがございます」
魔剣「まだ気にする内容ではなさそうだな」
戦士「だけど、大聖堂のクエスト達成も評価に入ることがわかっただけでもよかったかな」
スカウト「内容はわかった。ありがとな」
職員「いえいえ。ランク以前に、死んでしまっては意味がないことをお忘れなきよう・・・」
僧侶「そうですね。気を付けますよ」
そう言うと一行は宿に向けて移動した。
戦士「さて、今日も中途半端な探索だったけど、明日は休息日、明後日再開にしようと思う」
スカウト「それでいいな」
魔法使い「また魔法の練習したいし、それでいい」
魔剣「決まったな。では明後日またよろしく」
僧侶「じゃあ、まずは食事にいきますか」
一行はいつもの食事処で疲れを癒すのだった。