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王への報告2

王との謁見が終わるはずだった瞬間、大司祭補佐が口を開いた。


補佐「お待ちください。先ほどの報・・・」


王「直ちに取りかかれと言った。異論は認めぬとも言った。

この言葉に逆らうことが何を意味するか理解しての発言か?」


王は低く威圧する声で補佐の発言を止めた。

だが、ここで終わるわけにはいかない。補佐はそのまま発言を返した。


補佐「理解した上での発言です」


王「・・・続けよ」


補佐のまっすぐ王を見る目から覚悟を悟った王は発言を許した。


補佐「ありがとうございます。

先ほどの報告は住民への報告に使う内容であり、真実ではありません」


王城側の人間には衝撃だった。王に嘘の報告をした?


王「ほう。では真実とは何か。申してみよ」


補佐「闇の宝珠を光の宝珠で浄化して消し去り、地下勢力の憂いを断つという大司祭の計画。

この計画には”夜”という副作用が一時的に発生するだけというものでした。

しかし、大司祭は夜を発現させることが目的であり、闇の宝珠の浄化は方便であったということです」


王城側の人間には驚きしかない内容だった。


王「ほう。では夜を除去すればよいのではないか?」


補佐「残念ながら夜を500年間除去できないように大司祭が細工をしたため、それができないのです」


王「それはどうにかできるものでは無いのか?伝説の浮遊大陸での所業であろう?

かの地に浮遊大陸人がいると報告を受けている。

彼らと協力して対処できないのか?」


補佐「天にある光る玉。浮遊大陸ではこれを”天球”と呼称していました。

我々は知りませんでしたが、天球の管理調整を彼ら浮遊大陸人はやっていたようで、その彼らから

夜の除去が500年できないと報告を受けたのです。

彼らは我々地上種以上に夜の忌避感が強い種族です。

その彼らが無理だと判断したことから、除去は不可能と断言致します」


広間はしばしの静寂が訪れた。


王「わからんな。なぜ大司祭の目的が夜の発現だとわかった?

夜の除去に失敗した諸君らの言い訳ではなかろうな」


少し語尾を強めて王が話す。


補佐「大司祭自身の口から確認しました・・・

そして驚くことに彼は浮遊大陸人だったとも告白しました・・・」


王城側の人間には驚きの連続である。


王「奴が浮遊大陸人だと?本人がそう言っただと?

なぜ本人を蘇生し、この場へ連れ出さぬ」


補佐「かの大罪人を王城へ通すなど畏れ多くできませんでした。

代わりに地下種の王を倒した冒険者一行が、証人として現場に立ち会っています」


王「冒険者など金で買収できよう。信用なるものか。直ちに蘇生し、登城させよ」


補佐「残念ながらもう復活できないのです。

蘇生魔法の失敗により魂が失われました」


王「証拠隠滅か?蘇生させるつもりが無いのになぜ魂を失うような事態になっている?

蘇生魔法の失敗がなければ魂は失われないはずであろう」


補佐「実は神の使いと名乗る人物が現れ、大司祭にトドメを刺したため、我々では蘇生できない状態であることに違いは無いのです」


神の使い。また聞いたことのないものが出てきた。

王城側にはこの荒唐無稽な存在まで出して、夜の除去の失敗を大司祭に擦り付けようと必死になっているようにしか見えなかった。

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