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大司祭の伝言

浮遊大陸人だっと明かした大司祭。

皆が驚く中、話を続ける。


大司祭「ワシの知っている神の使いは姿が違うのじゃが、それは今関係あるまい。

伝えておきたいこと・・・か」


一呼吸おいて、机の上で紙に何か書いている。それが終わると話を再開した。


大司祭「まずは500年のちに使うことになるコードを渡しておこう。浮遊大陸の天球管理室長官に渡せばいい。あとは彼らが保管してくれるだろう」


大司祭は団長にメモを手渡した。


大司祭「もう1つ。浮遊大陸の司書長官に伝えてもらいたいことがある。

司書長官室にある専用書庫。その中にカードキーをかざす装置があるのだがー

ああ、カードキーというのは浮遊大陸やダンジョンで使ったヨスギル製の板のことじゃよ。

板と呼んでいたが、浮遊大陸ではカードキーと呼んでいる。鍵という意味だな」


手でカードキーの形を示すと、あれのことかと冒険者と騎士たちはすぐに何かわかった。


大司祭「その装置の前でカードキーをこのように動かしてもらいたい」


そういうと大司祭は手を動かして何かの図形を描いているようだった。


大司祭「もう一度やろう。間違えたら意味がないからな。しっかり見とれよ」


もう一度実演すると、皆も真似をした。それを大司祭は見ていた。


大司祭「団長と補佐。それでよい。それを忘れるでないぞ」


団長「これをするとどうなるというんだ?」


大司祭「浮遊大陸の奴らも知らぬ知識が得られるだろうよ。

この世界の秘密だ。彼らと共に見るといい。

そうすればワシがやったことが本当に悪かどうかわかるじゃろう。

見たうえでも悪だと思えるなら、それもそれじゃ」


そこまでいうと大司祭は窓際にいたスフィンの方を見た。


スフィン「以上でおわりか?」


大司祭「ああ。これで終わりだ」


大司祭は続いて部屋の方へ向き直り、皆を視界に収めた。


大司祭「これからの生活は今までと一変するじゃろう。

苦難があるだろうが、地下種とうまくやってくれ。

彼らを抑えすぎたのだ。共存が大事なのだがな。

浮遊大陸の奴らはそれが我慢できなかった。

宝珠を2つに分けただけで済まさず、浮遊大陸での生活を選んだのだ。

身勝手な奴らじゃ。

まあ、今回のワシの行動も身勝手といえるがな。

どう判断するかは歴史が決めるじゃろう。この目でこの世界を見れなくなるのは残念じゃが、仕方ない。こうなる結末も覚悟はしていた。

さらばだ。そしてありがとう。

これまで大聖堂に尽くしてくれた騎士諸君、司祭諸君、そして我が野望に手を貸してくれた冒険者よ」


そこまで言うと大司祭はスフィンをちらりと見た。


「デス」


大司祭は再び床に伏した・・・


スフィン「さて、用事は済んだ。あとはジジイの遺言に従って動いてもらいたいところだな」


そういうとスフィンの姿がスッと消えた。

しばらく誰もその場を動けなかった。


団長「さて、さっきと同じくやってくれ滅魂よ」


クラス5や7の蘇生魔法で復活するわけもなく、蘇生は当然のように失敗した。


団長「よし、これを教会裏手の空き地に埋葬する。運び出せ。

都合よく今は夜だ。見られることもあるまい」


こういうことをするには夜は都合がよかった。

運び出される大司祭の遺体。それを冒険者は見守っていた。


団長「さて、これで冒険者諸君の仕事は終わりだ。

あとはダンジョンから来るであろう地下種対策。これが決まったらギルドに依頼を出すので、こなしてほしい。

恐らくダンジョン入口付近での警備だろうな」


戦士「わかりました。

浮遊大陸の人へ伝える任務はどうしますか?」


補佐「証人として彼ら冒険者にも随行してもらおう。その方が今後のためにもよいだろう。

今回の件で大聖堂への心象は最悪だろうしな」


笑いながら補佐が団長に言うと、団長も納得したようだった。


団長「ではもう少し我々に付き合ってもらうとしよう。

世間への発表と王への報告を済ませてから出発となるだろう。

一週間後、また連絡員をお前たちのいる宿に行かせよう。

それまで自由にするといい」


戦士「わかりました」


そういうと一礼し、冒険者たちは大聖堂を後にした。


補佐「浮遊大陸に行くのは私と団長、騎士と上級司祭数名でしょうかね。あとは冒険者か」


団長「そうですね。浮遊大陸人と会合する場所は彼らから指定されて決まっています。

彼らとのコンタクトは問題ないでしょうから、あとは報告と発表対策ですね」


補佐「とんでもないことになったものだ。

大司祭さ・・・は、やり遂げて満足そうな顔をしていたが、我々は彼を始末したとて素直には喜べんな」


団長「色々と話をしたいところですが、浮遊大陸で大司祭が見ろといっていた知識。それを知るとまた話の内容が変わりそうです。ですので今この場では何も言わないでおきます」


補佐「そうか。彼に同行した君としては色々あるだろうな」


フゥと息を吐くと補佐はドアに向かって歩き始め、団長に背を向けたまま話し始めた。


補佐「では発表内容と報告内容を自室で考えてくるよ。またあとでな」


補佐は片手を挙げて別れの挨拶をし、大司祭の部屋から出ていった。


団長「我々も持ち場へ戻る。護衛の2名は引き続きこの部屋への侵入者を防いでくれ。

鍵は私が預かろう」


団長が騎士たちに指示を出すと自身も部屋を退出した。

そして大司祭の部屋に静寂が戻った。



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