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大司祭の復活

騎士が武器を持ったまま、微動だにしないことに気づいた大司祭は疑問を口にした。


大司祭「なぜ彼らは襲ってこないのでしょう?先ほど私が彼らに殺されたと思ったのは幻だった・・・?」


混乱している様子の大司祭を見て、スフィンは説明した。


スフィン「あんたが、彼らに殺されたのは事実だな。襲ってこないのは麻痺して動けないからだ」


簡単に状況を説明したが、大司祭は狐につままれたような気分だった。


大司祭「よくわかりませんが、動けないのは本当のようですな・・・」


復活できないほどにまで殺した男が会話をしている。その事実が信じられない騎士たちもまた、化かされているのかという感じだった。


スフィン「どうやら両者とも状況がうまく呑み込めないようだな。私の使った蘇生魔法"レイズデッド"はあんたたちが使用するクラス7を超える魔法だ。

だからこそ、復活不可能なはずの状態から復活できた」


騎士たちは驚いた。クラス7を超える魔法?そんなものがあるのかと。


スフィン「大司祭よ。お前はこ奴らに伝承しておかねばならぬことがあるのではないか?」


大司祭はそう言われたが、なぜ誰にも話していないことを知っているのかが不思議だったが、神の使いなら何かしら知る方法があったのだろうと自分で勝手に納得することにした。

大司祭が話そうとした、その時だった。スフィンが割って入った。


スフィン「おっと。両者に先に言っておくことがある。このジジイ・・・大司祭の伝言が終わったら、こいつには先ほどと同じように死んでもらう。

だからそっちの騎士さんたちが手を下す必要はない。

これからお前たちの麻痺を解除するが、大司祭への攻撃は私への反逆と見做し、攻撃は阻止したうえで、攻撃者には死んでもらう。

よいな?」


スフィンは騎士たちを見渡すと、麻痺を解除した。

その瞬間、スフィンに一番近かった1人の騎士がスフィンに切りかかった。

しかし攻撃が弾かれ、その者は石化した。

「!?」


スフィン「わかってもらえたかな?私への攻撃と大司祭への攻撃は阻止させてもらう」


騎士たちは身構えたが、団長が大きく手を挙げた。


団長「わかった。攻撃はしないでおこう。何やら我々の知らない事情がある様子。

まずはそれを解決してからの方が、色々とよさそうな気がしてならない。

大罪人の大司祭よ。何か我々に伝えることがあるというのは本当か?」


大司祭を見つめながら、団長が問いかけた。

大司祭も団長を見て、頷いた。


大司祭「攻撃はせんでくれよ?」


大司祭は立ち上がると自席まで歩いていき、そこに腰かけた。


大司祭「さて、まずは騎士諸君には、そのローブの人物が何かわからないことだろう。まずはそれを説明しよう」


先ほどまで死んでいたとは思えないほど、動きはなめらかで、ダメージを受けた箇所を庇う動きもなかった。


ふむ。刺された場所の痛みすらない上に、体の衰弱を感じない。

単なる蘇生魔法ではないことは、魔法を受けた自分だからこそわかるというものか。

大司祭は聞いたことのない蘇生魔法の効果を実感していた。


大司祭「神の使いとは、この世界を作ったとされる神が使わす者。何かしらのメッセージを届ける役を担っている者だ」


騎士たちは"神"が単なる概念の存在ではなく、実在することに驚きを隠せなかった。


団長「神が実在する・・・!?」


大司祭「直接会ったことがあるわけではないが、その使者が実在するなら、神も実在すると推測はできるじゃろ」


団長「なぜそのことを我々には話してくれなかったのだ?」


ごく当然な質問を団長は大司祭にした。


大司祭「地上で暮らす者には関係ない。影響がないと思ったからだ」


団長「地上で暮らす者・・・どういうことだ?」


大司祭「浮遊大陸で暮らす者には関係がある。だから浮遊大陸にいる者だけが知っていればよい知識だと判断して話さなかったんじゃよ」


団長「地上で暮らすあなたが何故それを知っている・・・まさか・・・」


団長の顔が変わった。悟ったようだった。


大司祭「そうだ。団長よ。私は元浮遊大陸で生活していた者だ。

浮遊大陸人というやつじゃな」


浮遊大陸のドアのシステムや文字に強いわけだ。

今だから分かるが、ドアの横に板をかざすとドアが開くことが大司祭に代々伝わる書物に書かれていた?

全ては奴の知識だっただけだ。それをうまくごまかすための存在が”代々伝わる書物”ってことか。

団長の中でこれまでの色々な出来事が腑に落ちていった。




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